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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女お仕事を始める。
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幻獣様、いつかの未来。13


ヴィオとお風呂に入って、ちょっと赤い顔で一緒に出てきたセス。


二人でさっぱりした顔をしているのが、なんていうか堪らなく可愛い。思わず見ているだけで頬が緩むけど、マルクさんなんかニッコニコだし‥。まぁ、いっか!



タオルを肩に掛けたままのヴィオが不思議そうにマルクさんやニケさん、ベルナさんを見る。



「あれ?マルクどうしたの?」

「夜分遅くに申し訳ありません、キートの騎士団から気になる事の報告が来まして‥」



以前行ったキートの騎士団から?ニケさんが書類をヴィオに渡す。


私はというと、セスを膝の上に乗せてまだちょっと髪が濡れているのでタオルで拭き取ってあげる。ヴィオが書類を読みつつ、チラチラこちらを見るけど‥何か大事な事が書いてあるのかな?



ニケさんが神妙な顔つきをして、ヴィオを見る。



「アスタルとテレッサから事情聴取をした時に、黒い影が神殿で見えたって話してたらしい。ただ、騎士達はあまり黒い影が「魔の者」って知らないのもいたから報告が遅くなったって‥。とはいえ、俺も気付けなくてすまない」



私とヴィオが目を丸くする。

淀みがあるとヴィオは言ってたけど‥、魔の者が神殿にまで入って来たって事??それって大分、大事件じゃない??



「ヴィオ、神殿に魔の者って入れるんですか?」


「黒い鳥くらいの大きな力を持っていれば‥、でもどんなに大きくても神殿に神様に守られているから、本来は「魔の者」である以上入れない‥。入れるとすれば‥」



ヴィオの言葉がちょっと詰まる。


え?

何??その間は‥。き、気になるんだけど‥。私がソワっとしているとマルクさんがちょっと目を伏せて‥、



「心に入るんです」

「「心!??」」


「はい、人の心の隙間に入って人を惑わせます。恐らくアスタルもテレッサも、そんな心の隙を突かれたのでしょう。その為に幻獣には禁忌とされている鈴まで使ったと思います。そうなれば魔の者が神殿へ入ってもおかしくないのです」



禁忌の鈴‥。

って事は、魔の者のせいなのでは?

そう思ったけど、心に隙が出来るのは仕方ないけれど、それでも神官だからこそ、自分を見失ってはいけないのだとマルクさんが話す。そうかぁ‥、なかなか厳しい世界なんだな。


って、それは私もか!!

ハッとして、思わず姿勢を正した。



「心に入られたら、流石に神殿に入ってしまえるんですね‥」

「うん、キサは異世界の乙女だから大丈夫だとは思うけど‥、どうなるかが全然分からないんだ」



分からない‥。

それが一番不安だ。

セスの体をそっと抱きしめると、セスが私を見上げて小さく笑う。



「大丈夫、神様帰ってくる」

「セス‥」

「幻獣、皆で守る」



セスが‥。

人間界が怖いって逃げて、魔の国で500年も眠っていたのに‥。

私もヴィオも、マルクさん達もそんなセスが守るって言ってくれて、嬉しくて‥。マルクさんなんて早々に涙腺が決壊してしまっている。号泣である。


ベルナさんがすぐにハンカチを渡してくれてたけど‥。

私もその気持ちよく分かります。



「‥セス、ここに来てくれて本当にありがとう」

「?何もしてない?」

「ううん、セスが来てくれて心強いです」



不思議そうな顔をするセスの頭を優しく撫でる。

怖がりなのに、誰かを守ろうとするのは幻獣様だからなのかな?それでも、その優しさがとても嬉しかった。


ニケさんとベルナさんが、警備を強化してすぐまた穢れの情報が入ったら知らせてくれる事になって、遅い時間帯になったので私達も休む事にした。



セスをベッドに寝かせると、ヴィオが私の隣に座る。

よく見ると、お風呂上がりだったせいで髪がまだ濡れている。


「ヴィオ、髪を乾かした方が‥」


私がそう声をかけると、ジトッと私を見て、


「‥‥僕も、セスみたいに乾かして‥欲しい」


小さい声で「子供っぽくてやだけど‥」と、ちょっと目を逸らして話すので思わず笑いを堪えた。‥もしかして、あの話中こちらをチラチラ見てたのって、乾かして欲しかったの??



ヴィオの手を握ると、ヴィオが私をちょっとワクワクした顔で見る。



「キサ?」

「小さくなりましょうか?」


「「えっ!!??」」



シュウっとヴィオを10歳くらいにすると、セスが驚いた顔でヴィオを見る。


「「キサ!!なんで小さくするの?!!」」

「子供の方が恥ずかしくないかなって?」


「「もう!!それじゃキサを守れないでしょ!!」」

「髪を拭いたら元に戻しますよ」


そういうと、ええ〜〜〜!!?と、言いつつヴィオが髪を拭かせてくれたけど、セスはそれを布団の中から可笑しそうに小さく笑って見ていた。



‥幻獣様は、まだまだ甘えん坊だから、セスもすぐに大人にならなくていいんだぞ〜と、ばかりに私はセスに笑いかけたのだった。




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