幻獣様、いつかの未来。12
魔の穴の者達がこちらの世界を神様のいぬ間に狙っているらしい‥という話を各国の幻獣さん達にすると、すぐにお互い気を付けようと連絡が来た。
幻獣さん達も、どこか空気がいつもと違う事を感じていたようだ。
ヴィオも薄々感じていたらしいけれど、やっぱり感覚が全然違うんだなぁ。金色の力を持っていても、どんな力かいまいち分からないしなぁ‥。
とはいえ、うちの幻獣様ヴィオはそんな状況だけど、ただいま中庭でセスに魔術をベルナさんと教えている。
い、いいのかなぁ???
中庭の椅子に座って、ニケさんとマルクさんと見ているけど‥。
私は若干、心配だぞ?神様に知られてもどうか怒られませんように〜なんて思ってしまう。
セスはやはり完全な幻獣ではないので、大きな力はないけど、元々の光の力はあるらしい。光の玉を手の平から出してみたりはできるらしい。
「はあ〜〜、やっぱり幻獣様ってのは、力が違うんだなぁ」
「そうですねぇ、この調子だと次回来たら、魔術も使いこなしそうですね」
感心するニケさんに頷いてしまう‥。
そもそも魔術だけでなく、剣も振り回しそうで怖いけど。
マルクさんは、そんなセスの様子を見て「まさか生きて白虎様に会えるとは‥」と感動している‥。
「マルクさん、穢れとか呪いってこの国では報告されているんですか?」
「そうですなぁ‥、どれも小さいものですが以前よりは増えてきていると‥。騎士団や神殿に聞きました。今の所、周辺の神殿の神官が対処できるものですが、大きくなればやはりシルヴィオ様に頼るほかありません‥」
以前よりも増えている。‥一度は減ったのに‥。
神様の動きを、魔の穴の人達が把握してるのも怖いなぁ。それじゃあ防戦一方だよね?
う〜〜〜んと、腕を組んで考えていると、
「「キサ〜〜!!!見て!セスが小さい火を出せた!!」」
キラキラした顔で、ヴィオが嬉しそうにこちらに手を振る。
うーん‥、もうすっかり弟が可愛いお兄さんモードな気がする。私が微笑んで、セスに「すごいね」と話すと、セスも照れ臭そうに笑う。うう、どっちも可愛いなぁ〜〜〜。
そうして、あっという間に夕方だ。
夕食も食べて、何事もなく1日を過ごせてホッとした私‥。
ヴィオとセスは、二人でスメラタさんやレオルさんから貰ったオモチャで遊んでいる。すっかり仲良しだなぁ〜。
「セス〜、眠くなる前に一緒にお風呂に入ろうか!」
私がセスにそう声をかけると、ヴィオがオモチャを手から落とす。
「「だ‥ダメーーー!!!!ダメダメ!!」」
「ヴィ、ヴィオ‥。でも、一人では何かあったら危ないですし‥」
「「セスは僕と入る!!ね、セス!??」」
ヴィオの剣幕に、セスはコクコクと頷くだけである‥。
そうなの??まぁ、ヴィオも人間になれたら自分で入る!って言って、一人で入ってたしなぁ‥。そう思い出して、ヴィオにバスタオルを渡す。
「じゃあ、ヴィオお願いします?」
「‥‥本当にキサは、もうちょっと気を付けてね?」
「??はい??」
「「もう!キサはもうちょっと僕の奥さんって自覚して!!」」
ヴィオはジトッと目元を赤らめて私を見るので、ようやく私の姿をセスにも見せたくないって分かって、私まで照れ臭くなってしまう。‥う、うわぁああ、ちょっと恥ずかしいですけど!??
「‥は、はい」
私が意味を理解したのを分かったヴィオはホッとした顔をすると、セスを抱っこしてお風呂場へ連れていった。‥うーん、我が家の幻獣様は子育ても上手そうだなぁ。
‥子育て。
い、いやいや、まだそういうのはね?!早いっていうかね!
結婚したばっかりだしね!!
なんか恥ずかしくなってベッドに思わずゴロゴロ寝転がって身悶えていたら、マルクさんが最近の周辺の様子を知らせる為に部屋へ来たけれど、そのノックの音に驚いてベッドから転げ落ちそうになった私‥。もうちょっと落ち着かないとだなぁ。