幻獣様、いつかの未来。9
ヴィオの剣の練習が終わるまでセスと一緒に見てたけど、
静かに隣に座って見ていたセス。
練習を終えて、ヴィオがこちらへやって来ると、ヴィオを見上げて‥、
「‥僕もやりたい」
「「えっ!!??」」
私が思わず声を上げると、セスはふにゃっとまた笑って、
「‥僕も乙女、守る」
ぐわ〜〜〜〜〜!!!!
そんな可愛いこと言われたら、私がキュンとしてしまう!!!
いつか来る乙女はどんな子か分からないけど、これは大事にされそうだなぁ‥。そんな言葉を聞いたヴィオもいたく感動したらしい。
「じゃ、ちょっとだけ剣を持ってみる?!」
「「ヴィオ、早いです!!そんな長剣危ないですから!!」」
張り切るヴィオを止めようとすると、ニケさんがそれを見て笑いつつ、
「まずはセス、この木刀かな」
と、木刀を持ってきてくれた。
そうでした!ヴィオもまずこの木刀でしたね‥。ヴィオもそれを見て思い出したらしい‥、セスに「こうやって持つんだよ?」と、しゃがんで教えてあげていた。うん、年の離れた兄と弟みたいで可愛い。
ニケさんも加わって、剣を持って3人でワイワイ話しつつ振っているとベルナさんが呆れた様子でこちらへやってきた。
「‥まったく、剣が好きなのがもう一人増えてしまいましたね」
「本当ですね。まぁ楽しそうで何よりです」
「勉強もこれくらいしっかりしてくれるといいんですが‥」
「そこはなんとも言えません〜〜」
私が思わず笑って話すと、ヴィオがちょっと口を尖らせて「頑張リマス」というので、ぜひ頑張って頂きたい。
なんだかんだと剣の話をしていたら、あっという間にお昼だ。
セスと一緒にお昼を食べていると、疲れたのか食べながらウトウトしている。‥マルクさんが、可愛さの余り口元に手を抑えてプルプルしてる。でもその気持ちよく分かります。
「セス、眠いならもうおしまいにしましょうか?」
「‥‥ん」
もう目がほぼ閉じている‥。
お花に光をあげたり、剣を触ってみたり、きっと疲れたんだろうなぁ。
私が抱っこをしようとすると、ヴィオがサッとセスを抱き上げて部屋へ連れていってくれた。
部屋のベッドに寝かせて毛布を掛けると、ホッと息を吐いて静かに寝入ったセス。その白いふわふわした髪を撫でると、ヴィオが私の隣に来て、
「‥‥僕も小さくなろうかな」
ボソッと呟いて私を見るので、吹き出してしまう。
「い、いいんですか??甘えるのはできるかもですけど‥、子供扱いされちゃいますよ?」
「‥だって、キサ‥、セスばかり見るし」
「小さい内は、特に危険がないようにって思いますしね」
ヴィオが小さい時はそれはしっかり見ていたんですけど?
それは忘れちゃったのかな?
ヴィオの綺麗な銀色の髪を撫でると、嬉しそうに耳がピクピクと揺れる。うう、大きくても可愛い!!!目を細めて、その耳もそっと撫でるとヴィオが気持ちよさそうに目を瞑る。
「‥小さい時もこうして撫でてくれた」
「あ、覚えてたんですね」
「だって、つい最近まで小さかったし‥」
そう言いつつ、私をギュッと抱き寄せて嬉しそうに微笑んだ。
そうだよね、こんなに大きくなるなんて知らなかった私は未だに大人のヴィオにはドキドキしちゃって慣れないです。
二人でちょっと顔を見合わせて笑ってから、セスを起こさないようにそっと離れたソファーに座って、今度仕事で行く神殿の話をしていると、ベルナさんがやって来た。
なんだか深刻そうな顔に、ドキリとする。
ヴィオがベルナさんに声を掛けると、
「神殿周辺の空気がちょっとおかしいんです。申し訳ありませんが、シルヴィオ様一緒に神殿の周辺を調べて頂けますか?」
「わかった。すぐ行く。キサ、ここにいてね」
私が頷くと、ヴィオはホッとした顔をしてすぐに神殿の方へ向かっていった。‥何事もないといいな。そう思いつつセスの寝ているベッドに腰掛けるとものすごい寒気がする。
え、これ、魔の者!???
慌てて周囲を見回すけど、何もいない‥。
水の精霊の力を使うと、部屋の天井から銀色の光がチラチラと落ちてくる???こ、これ、何!??思わず体を固くするけど、どうしよう〜〜〜!!!