幻獣様、いつかの未来。7
アイムさんのフィーリング重視の説明はさておいて、ヴィオがセスに力の事を説明してくれた。
「力は、この世界に溢れているんだけどそれを分けてもらう感覚かな?今、この辺りにある光は見える?」
ヴィオもセスの隣でしゃがんで、ちょっと上を指差す。
私も周囲を見ると、水の精霊のおかげでこの世界にふわふわと漂う光の粒が見える。‥神様から見る世界って、こんな感じなんだなぁ。
セスも見えるのか静かに頷くと、ヴィオは指を上に向けたまま、
「世界の光よ、力を少しだけ分けてくれ」
そう言うと、ヴィオの指先に淡い小さな光が集まった。
あ、これがアイムさん的にいえば、力こーい!ってやつね。私はその指先をじっと見ると、ヴィオが今度は鉢の芽に指先を向ける。
「この植物に祝福を‥」
そういうと、指先からまるで光がサラサラと溢れるように降り注ぎ、芽が白く淡く光ったかと思うと、静かに消えた。こうやって力を出していたんだ〜〜!!初めてしっかり光が動くのが見えたので、私も興味津々だ。
「すごく綺麗ですね〜!!!」
「‥言葉がなくても出来るけど、最初はこうして言葉にしてお願いすると集めやすいんだ」
そうなんだ〜!!
確かに今は何も言わなくても出来るなぁ‥。
ベルナさんが「よく練習しましたね‥」と、思い出すように話していて‥、そういえば指先から火を出した時もあったなぁなんて思い出した。
セスは、そんなヴィオやベルナさんを見て、
自分も指を上にあげてみる。アイムさんはそれを見て、ワクワクした顔になる。
「光よ?」
「そうそう、光を指先に集めてみな!」
セスの小さい指の先に、光が少しずつ集まってくる。
わ、すごい!初めてなのに出来ちゃうの?!驚いて目を丸くする。
アイムさんは、セスの前に鉢を置いてあげると、「ここら辺にあげるといいぞ」と声を掛ける。セスは小さく頷いて、指先をアイムさんの言ってくれた箇所を指して、
「しゅくふくを‥」
そういうと、小さな芽が黄色の光に包まれた!
ヘェ〜〜、セスは黄色の力なんだ。そういえば光だもんねぇ‥。
芽は淡く光ったかと思うと、小さく消えたけれど、その芽の周囲はヴィオとはまた違うキラキラ光を発している。
「へ〜〜!!これがセスの光なんですね。あったかい感じですね」
「‥うん、光の力ってこんな感じなんだね」
私とヴィオで感心したように芽をみると、
セスはちょっと照れくさそうに俯く。
アイムさんは、そんなセスを見て大層可愛らしい!と、思ったのか‥、頭をガシガシと撫でまわした。
「「おっまえ、可愛いなぁ!!」」
「ちょ、ちょっとアイムさん、強い!!強いです!!!」
慌てて止めるヴィオに、セスは髪の毛がグシャグシャにされてちょっと呆然としている。ああ、刺激が強かったかな?
ヴィオに抱き上げられたセスを見ると、小さく微笑んで‥、
「光、出来た‥」
これまた小さく呟くので、その場にいた一堂の心が鷲掴みされた。
私を取られた!とばかりのヴィオも、流石に可愛いと思ったらしい。胸を押さえて何かを堪えている‥。
「キサはすごく可愛いけど、セスはまた違う可愛さだね‥」
「ヴィオ、今はそういうのいいから‥」
どんな時でも私が一番というのは、ヴィオの中では決定らしいけど‥、ちょっと照れます。
そうして、植物にセスとヴィオで力を上げてから朝食を食べに行ったけど、アイムさんはセスが可愛くて仕方ないのだろう。ず〜〜〜っと膝の上に座らせて、「これ食べるか?」「こっちも美味しいぞ!」と猫可愛がりしていた。ものすごく溺愛するタイプなんだなぁ。
そんな風に思ってたら、私の隣に座っているヴィオが私を見て、
「今度、あれをしたい‥」
「「だ、ダメです!!!」」
「なんで?僕もあんな風にキサを大事にしたいのに!」
「「じゅ、十分して貰ってますからぁああああ!!!」」
朝から勘弁してくれ〜〜〜!!!
ニケさんとベルナさんのなんとも言えない微笑みに、私は天を仰いだ。‥ちなみにアイムさんは朝食が終わると、スメラタさんが素早く回収して連れ戻された‥。お疲れ様です‥。