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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女お仕事を始める。
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幻獣様、いつかの未来。5


2人きり‥ではないけれど、その晩は甘えるヴィオに構い倒された私‥。うーん、上の子もちゃんと時間を取ってあげた方がいいんだなぁなんて思った‥。



そうして翌朝、目を覚ますとセスがいない!!



ガバリと体を起こして、辺りを見回す。

あれ?!!一緒に寝てたのに!


「セス!??」


私が呼ぶと、カチャと部屋の扉が開いてヴィオとセスが一緒に部屋へ入ってきた。その姿にほっとすると、セスは私を心配そうに見つめてくる。



「‥キサ?」

「おはよう、セス〜。いなかったからビックリしちゃった。ヴィオと一緒に神殿へお祈りに行ってたの?」



私がそう聞くと小さく頷いた。

ヴィオは私の頬に、流れるようにキスをしてからセスを見て、


「一応、神殿のお祈りの仕方も覚えておいた方がいいかなって思って」

「そうだねぇ〜、その内ここへ来るだろうし‥」


私の側へ来たセスを、ヴィオがちらりと見て、


「あ〜‥、セス?キサをキサって呼んでいいのは僕だけだから、キサさんね?」

「‥ヴィオ、ヴィオどんな風に呼んでもいいですから‥」


僕のキサ!!というヴィオ‥。

君は、今日も朝からしっかり主張するねぇ。


セスは「キサさん?」って呼び直してくれるけど、キサで全然いいんだよ?今日も可愛いなぁって思って、頭を撫でていると、ヴィオがじっとこちらを見て「僕も‥」と話す。‥大人は撫でなくてもいいんじゃなかったっけ?



身支度をして、スメラタさんとレオルさんが持ってきてくれた絵本を、セスに読んでいるとベルナさんが部屋へやってくる。


「そろそろ朝食の時間ですが、その前にレオル様とスメラタ様が持ってきた植物のお世話もしてみませんか?」


あ、確かに!

セスが不思議そうな顔をして私を見上げる。



「ロズとダズの国を綺麗にする為に、植物を育てて植えてもらっているんです。セスも一緒にお水をあげてみましょうか?」



そう話すと、セスはちょっと顔を曇らせる。

あれ?頷くと思ったのに‥。


「ロズと、ダズ‥怖い」

「‥セス」


そう言って、私の膝のスカートをぎゅっと握って俯いた。怖くて行きたくないって、魔の世界へ逃げたくらいだもんね。



綺麗にするための行為でも、怖い気持ちを思い出しちゃったのかな‥。ヴィオとベルナさんが顔を見合わせて、黙ってしまう。私はセスの髪をそっと撫でて‥、



「‥怖いですよね。それなのに今回、この世界に来てくれて嬉しいです。それとね、もし、いつかセスがこの世界へ来ても、私達がいるから大丈夫ですよ?何かあっても、なくても、セスを守りますから!」



そう話すと、ハッとした顔をして顔を上げる。


「一人じゃないですよ?」

「‥‥本当?」

「はい、私もヴィオも、スメラタさんもレオルさんも皆味方です!」


セスはそれを聞いて、ようやく少しだけホッとした顔をする。

少しずつ…、この世界に慣れていけばいい。

確かに嫌な事も、怖い事もあるけれど、きっと皆で助け合えばこの世界をセスも好きになってくれると思う‥。



「さ、植物‥一緒に見に行きましょうか?」

「‥見る」



そうセスが言って、ヴィオもベルナさんも嬉しそうに微笑んだ。



その時、中庭にドドン!!!

と、ものすごい地響きがする。



‥セスはビクッと体を跳ねさせて、私の後ろへサッと隠れる。



「‥やっぱり来たね」

「朝まで待ったのだから、良い方かも?」



私とヴィオでそんな会話をして、中庭を見るとめちゃくちゃ笑顔のアイムさんが、何やら色々抱えてこちらへ手を振っているのが見えた。



思わず笑ってしまうけど、びくびくと驚いているセスの頭を撫でて‥、


「あの人は、ケルム国のアイムさんで‥、えーと、まぁ、幻獣のお兄さんの一人‥かな?」


私がそう言うと、ヴィオがちょっと考えて、



「弟のような時もあるけどね」



そうサラッと言うので、私とベルナさんが同時に吹き出してしまってセスが驚いている。う、うん、良い人だよ。良い人。ちょーっと勢いがすごいけどね?



そんな会話をされているとはつゆ知らず‥ニコニコこちらへ歩いてくるアイムさんに、セスを紹介すべく中庭の方へと私達もちょっと笑いを堪えつつ向かっていったのだった。



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