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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女お仕事を始める。
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幻獣様は、乙女が一番。13


仕事をしていると、主張するヴィオに明日ベルナさんに聞いておこうと決意して、二人で眠る。


すっかり大きな大人になったのに、私に擦り寄ると嬉しそうに微笑むヴィオ。小さい時と同じで可愛いなぁって思って、ぎゅっと私が抱きしめると、安心したように目を瞑る。


こういう所、変わってなくて安心する。

でも、これって変わってる??

そんな事を思いながら私も目を瞑る。




そうして、まだ深夜のはずなのに、ふと何か音がして、目を薄っすら開ける。



あれ?



まだ夜中だよね?

ヴィオにくっ付いて寝ているはずなのに、体がブルッと寒気で震える。あれ??何かおかしい。そう思った瞬間、



リン‥と、どこかで鈴の音がする。



鈴!??



ガバリと体を起こすと、ヴィオがいない!!

この鈴の音‥、ロズやダズが来て小さいヴィオをおびき寄せようと使った鈴の音に似てない!?ってことは、ヴィオはその音を聞いて何処かへ行ってしまった!?



急いでサンダルを履いて、ヴィオを想うと、ふんわりと金色の細い糸が何もない空間に浮かびあがる。



「えっ、この金色って‥以前にも見えたのだ‥」



今更ながら、ヴィオを辿れる事に気付いた‥。

ハッとして、ランプを手に取ると私は急いで扉を開ける。廊下には騎士さん達がいたはずなのに、誰もいなくて‥ひっそりとしている。



な、なんで!?

部屋の前で警備してくれているはずなのに!

キョロキョロと周囲を見るけれど、やっぱり誰もいない‥。



ドキドキするが、リン‥と、奥から鈴の音が変わらずにする。

怖いけど、ヴィオを助けなきゃ!!

急いで、金色の糸を辿って廊下の向こうへと走って行く。ロズやダズは以前、ヴィオが助けると約束して以来こんな風に危害を加えようとしなかったのに‥、またこんな事をしたんだろうか‥。



そんな事を考えつつ廊下を走って行くと、ぼんやりと明るい部屋が見えた。



あれは確か‥神殿の「水の器」がある部屋?

ランプの明かりを消して、そっとその部屋へ近付いていくと、鈴の音がまたする。そぉっと顔だけ部屋を覗くと、アスタルさんが金色の鈴を鳴らして、水の器と呼ばれたふちに座っていて、ヴィオや騎士さん達がぼんやりとした顔で、水の器の方へゾロゾロと歩いている。



まさか、ヴィオをおびき寄せたのってアスタルさんなの!?目を見開いて、見ているとアスタルさんは、ゆっくり立ち上がり、妖艶に微笑みながら、ヴィオに手を伸ばす。



「さぁ、シルヴィオ様‥、私のお話を聞いて頂きましょう」

「「だ、だめ!!!!」」



あ、思わず飛び出てしまった!!!

アスタルさんは、私を見て一瞬驚いた顔をするけれど、にっこり微笑む。


「あら?奥様、ごめんなさい?貴方の幻獣様は私に興味がおありのようよ?」


「‥でしたら、その手に持っている鈴を離してください」

「これはただの鈴ですわ?」


ふふっと面白そうに笑うけど、それは違う。

幻獣を呼び寄せる鈴だ。

私はヴィオを見て、



「ヴィオ、目を覚まして!!」



そう叫ぶけど、ヴィオはピクッと動いただけでこちらを見ない。

ど、どうしよう。

アスタルさんは、可笑しそうに笑って、


「異世界の乙女ってどんなものかと思ったら、本当に何の力も持たないのね?」


気にしていた事を言われて、胸がぎゅっと痛くなる。

いや、そんな私でもヴィオは十分だって言ってくれた。アスタルさんの言葉を振り払うかのように、私はヴィオの方へ駆け寄る。



「無粋な人ねぇ‥」



アスタルさんはそう言って、手の平から白い弓矢のようなものを何本も出すと、手を振り下ろす。



「えっ!!??」



急ブレーキをかけるように足を止めたけど、光の矢が一斉に自分を射抜こうと飛んできて、慌てて壁側へ走っていくけれど、間に合わない!!



「「水の精霊!!」」



誰かが叫ぶと、私の前に大きな水の壁が出来たかと思うと光の矢を飲み込んでしまった。え、えええ???驚いて、私が水の壁をみると、バシャとただの水になって流れ落ちたかと思うと、その中から水色の蛇がヒュンと飛び上がって、私の手首にクルッと巻きつく!



『異世界の乙女様、お久しぶりです〜〜!!』

「も、もしかして、水の精霊の蛇さん??!!」



アスタルさんも、私も驚いて手首に巻きついた蛇を見て、体が固まってしまった。



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