幻獣様は、乙女が一番。8
小さくなったヴィオを見てロベルク団長さんはちょっと驚いた顔をしていたけど、さすがすぐに騎士団長さんの顔に戻った。
「‥幻獣様のお力をこんな風に間近に見る事ができて、嬉しいです」
「あ、ありがとうございます?」
私はまださっきの事があってなんとなく照れ臭いのに、ヴィオは誇らしげである。
「「キサの力なんだ!ね、キサ!!」」
「いや、ヴィオ様のお力の方がずっとすごいですからね?」
「「もう!!キサの力もすごいってば!!」」
プンプンといった様子で怒るヴィオ。
嬉しいけど、今はロベルク団長さんの言葉を素直に聞いてくれ〜〜。
ロベルク団長さんと、ニケさん、ベルナさんが小さく笑っていて、私は大変恥ずかしい。
そんな私達を、ニケさんオススメの食堂へ準備も整ったという事で(?)入っていく。一応、設定は良いところの坊ちゃんのヴィオを街案内する騎士さん達と、私はお付きのものという設定だ。とても馴染む設定だな〜と思ったけど、ヴィオだけはちょっと不満そうだ。
抱っこしている私の耳にそっと囁く。
「僕達、夫婦なのに‥」
「秘密の仲‥というのも良いですよ?」
「秘密‥」
「二人だけの秘密みたいで良いじゃないですか?」
そう話すと、ヴィオはパッと顔を輝かせる。
うん、以前もこの手を使ったけど、ヴィオは二人だけっていう設定好きなんだな。小さく微笑むと、ヴィオも嬉しそうに微笑む。
お店の中はこじんまりしているけど、騎士さん達がよく食べに来るようで、お店のおばちゃんと娘さんらしき人がロベルク団長さんと騎士さん達が来たので驚いた顔をしつつも、嬉しそうだ。
大きなテーブルに私とヴィオ、ニケさん、ベルナさん、ロベルク団長さんが座ると、おばちゃんが、メニュー表を持ってきて、
「あら〜!!ニケさん久しぶりじゃない?もうクビになったの?」
「「なってねぇ!!なんで俺、そんな扱いなの!?」」
私とヴィオ、ベルナさんが同時に吹きだした。
ロベルク団長さんはニケさんを見て、
「本当に暴れん坊だったからなぁ〜〜〜」
「え!?そうだったんですか??」
気さくな感じだけど暴れん坊なんて感じ、全然しないけど??
ニケさんを見ると、ちょっと顔を赤らめて、
「昔の話だって!!」
「あ、なんか片鱗が見えますね」
私がそう話すと、ロベルク団長さんが笑った。ニケさんは照れつつも、おばちゃんから受け取ったメニュー表を開いて、ヴィオに手渡す。
「おら、坊ちゃん!メニュー見て、これとこれが俺はオススメだぞ!」
「こら!!ニケ、私でしょう!言葉遣い!!」
すかさずベルナさんがニケさんにツッコミを入れる。
うーーん、このコンビも定着してきたなぁ〜〜。そんなことを思っていると、ヴィオは私を見て、
「キサ、どれ食べる?」
「そうですね〜、ニケさんオススメの食べたいです!あ、でもヴィオ食べきれますか?」
今、体が小さいからなぁ。
ニケさんが私とヴィオを見て、
「じゃあ、俺もこっち頼むから半分こにすりゃいいじゃん」
「あ、そうですね。ヴィオ、そうしましょうか?」
「うん!そうする!!」
ニコッと笑うヴィオ。
か、可愛い!!!小さいままの方がやっぱり落ち着くし、可愛いなぁ〜〜。思わずデレっとしてしまうと、ヴィオが私をじとっと見て、
「僕達、夫婦だからね!」
‥しっかり釘を刺されてしまった。
ちなみにおばちゃんが運んできてくれた料理は、ボリュームがすごかった!!大皿にドカンと乗っているお肉を見て、私とヴィオが顔を見合わせた‥。た、食べきれる???これ‥。ベルナさんまであまりの量に驚いている。
ニケさんは私達を見て、
「今日団長もいるから安心しろ!!」
ニヤッと笑って、ロベルク団長さんを見ると「不敬では?」って顔をしているので、私とヴィオはロベルク団長さんを見て、
「「よろしくお願いします!」」
そうお願いしましたよ!だってこんな量、無理〜〜〜〜!!!!