幻獣様と世界と乙女。11
ロズとダズは、黒い大きな鳥のいうように、魔の者が黒いもやを持っていってしまって、辺り一面綺麗に浄化されていた。
これには、幻獣のみんなも、神官さん達も驚いていた。
なにせ浄化はもっともっと長く掛かると思われていたから‥。
スメラタさんは、ヴィオと私が行った世界の話と門の話をすると、色々と合点がいったようだ。
「まだまだ幻獣といえど、知らない事だらけだな」
ちょっと面白そうに笑って、無事に戻ってきた私達の頭を優しく撫でてくれた。うう、スメラタさん‥本当にお兄ちゃんだ!!
「恐らく逃げ込んだ白虎の魂も、無事に神の元へ帰ったので、こちらの世界も落ち着くだろう。今日はこのまま各自の神殿へ戻ろう。神官達もご苦労だった」
スメラタさんの鶴の一声で、皆ホッと頷き、それぞれの神殿へ戻る。
いつもの神殿、中庭に戻ると‥、
マルクさんが泣き出しそうな顔で私たちを出迎えてくれた。
「マルク!戻ったよ!!」
「シルヴィオ様!!よくぞご無事で‥!!!」
ヴィオに声を掛けられた途端、号泣するマルクさん‥。
でもそうだよね〜、やっと守り月も後少しで終わるっていう時に「魔の門」や「魔の者」が次々現れたんだもん。ニケさんやベルナさんも、泣いて喜んでいるマルクさんを微笑ましく見ていた。皆、無事で本当に良かった。
そうして、残り少ない守り月。
ヴィオはロズやダズを念入りに調べたらしい。
お祈りを終えたヴィオと、中庭のベンチで花を見つつ、神殿で見たことを教えてくれた。
「ロズとダズは、ものすごい浄化されてた!っていうか、他の国もすごく綺麗になってたんだ‥。多分、他の幻獣達も驚いていると思う」
「異世界の扉のせいですかね?それとも魔の者のおかげ?」
「うう〜〜ん、魔の国から幻獣がいなくなったのも大きいかも?」
どちらにせよ、良かった〜!
今度の守り月はレオルさんか、スメラタさんが確認も兼ねて一ヶ月交代するらしい。きっとすごく驚くと思う!とヴィオは嬉しそうだ。ずっと心配してたもんね。
ヴィオは私の手を握りつつ、嬉しそうに笑って‥、
「キサが来てくれたのも、確かに神様の計画かもしれないけど、僕はそれだけじゃないと思うんだ」
「と、いうと?」
「僕と一緒になってくれる為に来てくれた‥って、思ってる」
お、そ、そうきたか!!
ブワッと顔が赤くなって、思わず俯いてしまう。
そうでした!今日は大人に戻っていた!!格好いい大人のヴィオに戻っていた!!!
「キサは?どう思う?」
「そ、それは‥」
ヴィオの為に呼ばれてきたのがきっかけだったけど‥、
育てるだけだと思ってたのに、
まさかこんなに好きになると思ってなくて、
結婚までするなんて思ってなかった。
予測のつかない事ばかりだったけど、今はこうしてヴィオの側にいるのは、私の意思も少しは入っていると思うんだけど、もう一人大きく関わっていると思う。
私は、ヴィオを見上げる。
「ヴィオの計画通り‥なのでは?」
そういうと、ヴィオは顔をちょっと赤くして‥
「‥そうかも」
「え?自覚なかったんですか?あれだけ好きって言っておいて‥」
「好きだよって言葉はもう息みたいなものだよ。キサを見たら言っちゃうの!」
何それすごい理論だな!?
言われて私はまたも顔が赤くなる。
「うん、でも、そうかも‥。キサが好きすぎて、側にいて欲しくて、諦められなくて‥」
「ま、待ってください!!私の心臓がもちません!!」
ヴィオのスラスラ出てくる言葉を慌てて止めた。
やめて〜〜!!その格好いい顔で、次々と言わないでぇええええ!!そんな私の様子をヴィオは面白そうにちょっと見て、
「僕のお嫁さんになってくれて、ありがとう」
「うう〜〜、もう結構ですから〜〜」
慌てて耳を塞ごうとすると、ヴィオにキスをされて、真っ赤になった私はもう目を回すしかなかった‥。うちの幻獣様は愛がすごいよ〜〜〜。
これにて一旦完結です〜。
とにかくわんこを書きたい!あと少年もなかなかいいものだわ〜と思いつつ、楽しんで書けました!
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!!