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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女お仕事を始める。
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幻獣様と世界と乙女。


ふわふわと温かい尻尾が、私のお腹の辺りにグルッと巻きついている。



その暖かさに、気付いてそっと目を開けると、朝なのだろう。薄暗いけれど、窓の向こうで神殿の建物の上に、ゆっくりと日が登っていく様子が見える。



そうして、もう一度前を見ると、すうすうと静かな寝息を立てているヴィオが、目の前いっぱいにあってビックリした。そ、そうだった‥。



昨日、愛してるとか、結婚して下さいとか言ったんでした!!言っちゃったんでした!!



そう言ったら、ヴィオが嬉しそうにキスしてきて、もっと触れたいとばかりに優しく触れてきて、ええ、まぁ、いつも優しいけど。終始真っ赤だった私を、「可愛い」とか「大好き」とか「ずっと側にいて」とか言いながら触れるから、なんかもう‥とりあえず昨日は私の心臓が大変だった。



私とヴィオは、本当の意味で『夫婦』になったのか‥。



考えてみたら、ちょっと前まで抱っこしていたヴィオの奥さんになったなんて、不思議でしかない。照れ臭くて仕方ないけど。


「キサ‥」


ヴィオの声がして、お、起きたの?って顔を見ると‥、むにゃむにゃと気持ち良さそうに目を瞑って、何かを言ってる。‥寝ぼけているのか。



一週間ほぼ話すことも、顔も合わす事もなくて、そんなに怒ってるの?もしかして私の事、嫌になったのかな?と思っていた。そんな私に、ヴィオは些細な言い合いで、これ以上嫌われたくないという思いで話せなくなってしまった‥と、昨夜話してくれて、私は大いに反省した。



まだヴィオは一歳だ。

どんなに大人でも、幻獣でも、神様に色々知って来なさいって言われて、何も知らない事の方が多い一人の人間みたいな存在なのに‥。分かっていたはずなのに、私は自分本位だったなって‥。


すぐに謝って、何かあったら怖がらずに、すぐに話し合おうって話をすると、ヴィオは嬉しそうに微笑んでくれたけど‥。うん、私もしっかりせねば!!



「‥そういえば、朝の神殿へのお祈りって、そろそろかな?」



時計を見て、驚いた!

あ、あと支度まで5分しかない!!!


「ヴィオ!!ヴィオ!起きてください!」

「‥ん、もう少し‥キサぁ」


私の胸元に顔をすり寄せてくるので、思わず顔が赤くなる。って、ち、違う!!そうじゃない!!!



「「朝のお祈りの時間です!!!」」



言った瞬間、目をぱちっと開けてヴィオがガバッと体を起こす。

私も体を起こすと、ヴィオは私を見て、


「キサ、昨日のは夢じゃない?」

「げ、現実です‥けど、今はそれどころじゃ‥」

「うん、でも確認しておきたかった。夢じゃないんだね」

「そ、そうですね‥」


赤い顔でなんとか答えると、ヴィオは途端に蕩けそうな顔になって私にそのままキスをすると、サッとベッドから降りる。



「キサは、まだ休んでて。起こしてくれて、ありがとう」



そういうと、ヴィオは足取り軽く洗面所に行き、私はそのままベッドに力無く倒れた。


あ、甘い‥。

もしかして、これ、当分続く感じ???

このむず痒い朝が続くの???

し、心臓がもたないんだけど〜〜!!???


慌しさに眠気が吹き飛んでしまったので、もそもそと体を起こして身支度をする。窓を開けて、空気を入れ替えると‥すっかり冬の気配がする。



「もうそろそろ雪が降ってくるのかな‥」



冷たい風に、思わず体が震える。

と、扉をノックする音が聞こえて、返事をするとベルナさんの声がする。こんな朝早くにどうしたんだろ?そう思って、そっと扉を開けると、ニコニコしている。



「仲直りをしたようで!!」

「‥あ、はい、そ、そうですね‥」



う、うわぁああああ!!ヴィオ、満面の笑みだったもんなぁ〜〜。気が付かない訳がないよね。私の顔が赤くなるとベルナさんはちょっと笑って、



「‥本当に安心しました。ちょっと困った問題が起きたので」

「‥問題?」



眉を下げて笑うベルナさんの言葉にちょっと胸がざわついた。何か…あったのだろうか。




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