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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女お仕事を始める。
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幻獣様は大事にしたい。4


レオルさんに、スメラタさんから考えている浄化方法を聞いてヴィオは鉢の植物の水やりを快諾した。


毎日朝晩2回、ヴィオが手ずから水をあげて花がさき、種ができるまでお世話する事になった。レオルさんは、守り月でないので鉢を渡すとすぐに戻るそうで‥、


「落ち着いたら、いつでも来いよ」


そう穏やかに微笑んで、ヴィオの頭を撫でると何かを小さい声でヴィオに言ってから戻っていって‥、ヴィオは少しの間、レオルさんの戻っていった方角を静かに見ていた。



い、今なら謝れるかも!?

周りにニケさんとか、ベルナさんとか、マルクさんとかいるけど‥


「ヴィ‥」

「ベルナ、この鉢を屋上に持っていっても大丈夫かな?」


「え、あ、はい‥、でしたら守護魔法を周りに張っておきます」


私が言いかけた言葉が、ヴィオの言葉で遮られてしまって‥、言葉がそれ以上出なくなってしまう。


「じゃあ、今持っていく。水をあげる‥」

「はい、ではすぐに魔法を」


そう言って、ひょいと籠を持ったヴィオとベルナさん、マルクさんは、私達の部屋の上にある屋上へ歩いていく。‥私は、足どころか体が動かなくなってしまって、ニケさんとぼんやり後ろ姿を見るだけになってしまった。



ニケさんは、ちょっと大げさにため息をついて、


「‥全く、お子ちゃまだな、ぼっちゃんは」

「‥ニケさん」


「別に昨日のだって、キサが悪い訳じゃないって分かってるのに、引っ込みつかないんだろうな」


うん、まぁ、きっとそれもある。

でも考えてみれば、ヴィオはまだ生まれて一年だ。

体は大きいし、知恵もあるし、優しいけど‥、まだまだ幻獣とはいえ、人間でいえば一歳だし、自分の気持ちや、人への対応だって、まだまだ上手くできない事だってあるだろう。まぁ‥、長く生きてる私もだけど。



「‥私も、大人げなかったから‥、どこかのタイミングで謝ります」

「別に、キサが悪い訳じゃないからな?」

「ふふ、ありがとうございます」



ニケさんの優しいフォローで、ちょっとホッとした。

ヴィオにも安心して欲しいし、やっぱり話したい。

とにかく、少しでも早くヴィオを捕まえないと!そう思って、屋上の方を見ると‥、ヴィオがこちらを見ていた事に気付く。


「ヴィ‥」


言いかけた途端、パッと違う方向へ行ってしまって私はまたも体が固まってしまった。お、大人になるんだ私‥。それを横で見ていたニケさんが、「お子ちゃまめ」とまたも盛大なため息をついた。



そうして、すぐにでも話せると思ったのに、

ヴィオは国の中の穢れている所を浄化に一人で行ってしまったり、

神殿の中でお祈りしていて、なかなか出てこなかったり、


1週間、まっっっっっっったく会えなかった。



え、



これ完全に避けてるよね?




避けられてるよね??




今朝の朝食も、結局お祈りをしていたいからって、私とベルナさんの二人で食べて‥、考えてみれば帰ってきて以来、食事も一緒にしてない!!!


そのくせ、どこか神殿の中を散歩しようとすると騎士さんが飛んできて、「お一人にしないようにと、きつく言われておりますので」って、警護される‥。



結婚してるはずなのに、こんなので大丈夫なの?!

い、いや、私が渋っているから??

やっぱり‥、嫌になったのかも‥結婚。



「‥どうしたらいいんだろ‥」



部屋に行く気になれなくて、屋上の方へ登っていく。

守護魔法を張ってあるし、騎士さんもここならついてこないので一人きりになれる。ちょうどいい場所だ。


レオルさんが持ってきた鉢を見てみると、それぞれ白や薄ピンクの綺麗な花が咲いていて、風に吹かれて気持ちよさそうに揺れている。朝と晩にお水をしっかりあげているんだろうなぁ。‥私は、その姿を全然見てないけど。


「君達は、ヴィオが見られていいなぁ」


ちょんと指で花をつついて、思わずぼやいた。




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