表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女お仕事を始める。
115/186

幻獣様は大事にしたい。1


黒いロープみたいなのに、突然捕まって水に落とされた私‥。


水面に上がったら、ヴィオが私を引き揚げてくれたけど‥、水面って立てるものなの!?私を助けて安心したヴィオがぎゅうぎゅうに抱きしめてくるけど、ちょ、ちょっと待って欲しい。


「ヴ、ヴィオ‥ここ、水の上‥」

「うん、僕、水の上に立てるよ」

「そ、そうだったんですか!??あ、あとヴィオも濡れちゃう‥」

「それは大丈夫。それより怪我はない?」


コクコクと頷くと、小さく微笑むヴィオ。

しかし、腕の中から私を離す気配がない‥。あの、多分あっちの岸で皆さん見てるので‥離して欲しいなぁ〜‥。



「あ、そういえばヴィオ、ロープみたいなのに掴まって、私水の中に落とされたんですけど、黒い石に縄が縛ってあるのがあったんです‥」


「‥黒い石に縄‥」

「ちょうどこの真下かな?」



ヴィオは私の足の下を見て、手をかざすと‥水が途端に二つに別れて‥あっという間に私の足元の水がなくなり、白い砂地の底が見える。


と、黒い石に縄が巻いてあるそばに黒いロープのようなものが、こちらを見上げるように動く。


「あ、あのロープ!と石が‥」

「なるほど‥」


ヴィオはそういうと、手の平を下にかざして、クルッと手の平を返すと‥地面にあった黒い縄の巻かれた石が持ち上がり、ヴィオの手の上に静かに降りてきた。



「‥その黒い石は?」

「これ、呪いの石って言うんだ。相手の場所を穢すものだよ」



そ、そんなの素手で持って平気なの!?

私はギョッとしてヴィオを見ると、小さく笑って‥


「場所を穢すものであって、人には効果はないから大丈夫」


そう言って、私を抱きかかえると石を持って岸の方へと歩いていく。分けられた水は後ろを見ると、ゆっくり戻って‥さっきと同じ水面に戻っていったけど‥、黒いロープのようなものが慌ててこちらへ飛んでくる。



ヴィオはそのロープのようなものをチラッと見て‥、


「お前、後で見てろよ。キサを水の中に落とすなんて‥」

「え?ヴィオ知ってるの???」

「それは水の精霊だよ。汚れちゃって黒くなってるけどね」


水の精霊!?

じゃあ、ヴィオの仲間みたいなものじゃないの??


ヴィオが岸へ着くと、ベルナさんが慌てて私の側へ駆け寄る。


「申し訳ありません!!私が不甲斐ないばかりに‥危険な目に!」

「だ、大丈夫ですから‥ベルナさん」


そ、そんなに謝らなくても‥。

悪いのは多分、ヴィオが睨みつけている水の精霊だと思うし‥。



「ベルナ、これ‥呪い石で間違いないよね?」



ヴィオが、手の上の石をベルナさんに見せると、ハッとした顔をして静かに頷く。


「‥これを投げ入れられていたんですね‥」

「ああ、キサが水の精霊に投げられた際に見つけてくれた」


ベルナさんは、呪い石を受け取ると地面に置いて‥何やら詠唱を唱える。



と、石がパキッと二つに割れたかと思うと、中から文字が石の周りを覆うように浮かび上がり‥思い切り光ると、あっという間に消えてしまった‥。


「‥き、消えた」


私が呆然として呟くと、後ろで他の騎士さん達が、


「水が綺麗になった!!」

「呪い石が割れたからか‥」


と、口々に言っているので、湖を振り返ると‥黒く淀んでいた湖は綺麗になっていて‥、ロープだと思っていたものが急にクルッと回転したかと思うと、薄っすら水色をした蛇に姿を変える。



『幻獣様〜〜!!湖を綺麗にしてくださって、ありがとうございます〜!!!!』



ヒュッと、ヴィオの周りを嬉しそうに飛び回ったかと思うと、ヴィオがガツッとその蛇を掴み・・



「‥その前に、よくもキサを水に突き落としたな‥」



いつもよりも声のトーンがぐっと低いヴィオ‥。

ジロッと蛇を睨むけど、あまりの迫力に、それを見た私も蛇と一緒に「ひょえぇええ」と変な声が出た。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ