幻獣様とお仕事。14
アイムさんの問題の場所は解決したけど、前からこういう事ってあったのかな?
目眩がした私と、思わぬ事で力を使ったヴィオ。
ひとまず一緒に部屋で休ませてもらうことになった。
結局、ここへ来るまでずっと抱きかかえられていた私・・。
神官さんの生温かい目が辛かった・・。
うう、恥ずかしい・・。
しかし、結婚していた事実を知ってしまった事をどのタイミングで言えばいいんだ・・。そんな事を思いつつ、ベッドにそっと降ろされる。
「・・キサ、大丈夫?お水、飲む?」
「あ、ありがとう・・って、ヴィオも!ヴィオも飲んで」
私がベッドから降りようとすると、すかさずヴィオに止められる。
自分だって、さっきまで顔が真っ青だったのに・・。
お水を注いだグラスを二人で飲んで・・、ようやくホッと息を吐く。
「・・魔の者って、ヴィオは知ってたの?」
「うん・・、マルクに教えて貰ったけど、実物は初めて・・。あ、でもあの小さい版が前に僕達の神殿に現れたでしょ?」
そう言われて・・ふと思い出した。
そうだ・・呪い!!
「言われてみれば・・、似てましたね」
「あれのもっと強力な奴だね・・」
思わず背筋がゾクリとする。
・・・あんなのがまた出る事・・あるの?
ヴィオが怪我したら・・?
そう思ったら、ヴィオを見上げて・・
「・・・また出たら、私も一緒に行きます!」
「え、ダメだよ!危ないよ!」
「でも、また力がなくなったら?ヴィオだって危ないでしょ?」
「キサが怪我したらもっと嫌だよ!」
ええ〜〜!!?
真っ青な顔してたのに・・何を言ってるの!本当にもう・・言い出したら聞かないんだから。私はギッとヴィオを睨むように見上げて、
「ヴィオがいなくなったら、私だって嫌です!!もっと頼って・・甘えてよ!」
け、結婚したっていうのに・・
なんでそう全部自分で抱えようとするの!!
そこは言えないけど・・、そう思ってヴィオを見ると、ヴィオはちょっとぽかんと口を開けて・・
「・・いなくなったら嫌?」
「嫌ですよ!」
「甘えていいの?」
「い、いいですよ?!!」
頼って、甘えるくらいなら?ど、どんと来い!ですよ・・?まだ大人な君に私は慣れていないんだけど。
と、扉をノックする音が聞こえて・・
ヴィオが返事をする。
ニケさんが扉を開けて・・
「コーレンさんがお茶用意してくれたみたいだぜ?どうする?行けるか?」
ヴィオはちょっと不満げだけど、私はもちろん賛成です!!
二人きりは、今ちょっと無理です!!
中庭にお茶が用意されていて、心配そうにしていたコーレンさんが私達の顔を見てホッとしていた。アイムさんはすでに椅子に座って、のんびりお茶を飲んでいる。
同じように席について、お茶を飲んでいるアイムさんに魔の者について聞いてみた。
「あの・・魔の者ってよく出てくるんですか?」
「いや、滅多にないな。大概、人間が呪ったり穢れを撒き散らしても、ああいう大きさにはならない」
私とヴィオがギョッとして目を見開く。
な、ないの?!!
それじゃあ、あれは久々の大物・・みたいな感じ??
「そ、そうなんですか?」
「ロズとダズが、この間呪いを掛けて神様に罰されただろ?多分・・そいつら、他の国にも呪いを掛けてたのがあって・・、操る奴がいないから「呪い」が勝手に動いて「魔の者」になったのかもしれないな〜」
だとしたら・・大ごとではないか。
と、アイムさんの隣でお茶を飲んでいたコーレンさんもそれを聞いて、真っ青だ。
「わ、私、他の国の神殿へ報告して参ります!!」
「うん、頼むわ〜」
慌てて連絡しに行ったコーレンさんを、アイムさんは呑気に手を振って見送っている・・。うーん、呑気だ・・。アイムさんは、ヴィオを見て・・
「力の使い方は、徐々に覚えていけばいいけど・・、一人で無茶するなよ〜。ターシェにも言われたろ?」
「・・はい・・」
思わず横目になるヴィオ。
おお、やはり自称お兄ちゃん!!だけど、しっかり釘を刺してくれて助かった。私もヴィオの隣でうんうんと同意!とばかりに頷くと、ちょっと拗ねた顔をするヴィオだった。本当に気をつけてよね!!