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幻獣様のお世話係始めました。  作者: のん
幻獣様と乙女。
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幻獣様のお世話係始める。10


大きな神殿の広間・・、礼拝堂というらしい。

そこへベルナさんに伴われて、私はヴィオを抱っこしつつ、マルクさんに呼ばれて中へ一緒に入っていく。



大きな礼拝堂は、体育館くらいはあって・・天井が高い!全体は白い石壁で出来ていて・・、壁の両側に細長い窓が等間隔に並んで、お日様の光が燦々と入っている。


真ん中の通路を通って、祭壇の方へ歩いていくけど、両脇にズラリと椅子が並んでいて・・、その椅子には着飾った人達が立って、こちらを一目見ようとジッとこちらを見ているので、思わず緊張してしまう・・。



ヴィオは大丈夫かな?

そう思って、チラッと抱っこしているヴィオを見ると、キリッとした顔をして前を見ている。流石だなぁ・・。さっきまでゴネまくっていたように見えない・・。


マルクさんが祭壇に立ち、私を手招きすると・・



「この度、異世界の乙女が我らの世界への呼び掛けに応えて下さり、こうしてシルヴィオ様を守り、育てる役目を担ってくれる事になった!!大きな拍手と感謝を!!!」



そういうと、一斉に歓声と拍手が沸き起こり、思わずびっくりして目を丸くする・・。マルクさんが手で制すると、ピタッと静かになり・・



「そうして・・、この度神より与えられし、パルマの幻獣・・シルヴィオ様がめでたい事に1ヶ月のお祝いを迎える事が出来た!!!これからの月も何事もなく過ごし、健やかに成長されるよう更に祈っていくように!!」



ドッと、更に大きな歓声と拍手が沸き起こって・・、

私は思わずヴィオをぎゅっと抱きしめてしまう。ど、ドキドキしてしまう。



そうして、マルクさんの挨拶やこの国の王様の挨拶もあったんだけど・・、緊張で頭が真っ白になってしまった・・。ようやく一旦引っ込むと、私は思いっきり息を吐いた・・。



「き、緊張した・・」

「キサ、大丈夫?」

「す、すみません・・ヴィオ様、ダメダメすぎて・・」

「いや、僕も緊張したから同じだ」

「ええ〜〜、本当ですか?キリッとしてて格好よかったですよ?」



私がそういうと、「格好いい・・・?」

と、聞いてくるので頷いて・・。


「一緒に通路を通った時、しっかり前を向いていたでしょう?流石、幻獣様だなぁって思いました」


ヴィオの頭を笑いながら撫でると・・

尻尾をパタパタ揺らしながら、



「・・かっこいい・・」



ちょっと嬉しそうに呟いている。

・・ちなみに、今は可愛い。まぁ、今は言わないけど・・。


ベルナさんはそんなやり取りを面白そうに見て・・、神殿の礼拝堂の方をそっと見る。



「今日は、最後に顔を出したら終わるようですから、ひとまずお茶を召し上がって下さい」



のんびりした口調で言われると、いい感じに力が抜ける。

私はお茶を有り難く頂き・・、ヴィオには神官さんがお皿にお茶を入れて御前に置いてくれた。



「僕も早く大きくなって、キサみたいにお茶を飲みたい・・」

「そうですねぇ、大きくなったら飲みましょうね」



狼は大きくなっても狼だと思うけど・・。

そこは可愛いので訂正しないでおく。大きくなったら一緒に飲む・・という約束をしたので、ヴィオは嬉しそうに尻尾をパタパタと揺らす。


「楽しみだなぁ〜」

「そうですね〜」


うふふ・・と、笑い合う私達を微笑ましく見ているベルナさんが、「そろそろ出番です」という声で、我に返り・・さっと私の腕の中へ抱っこされるヴィオ。



「ずっと、ずっと一緒にいてね」

「はいはい、ちゃんといますよ」



一年後にはお別れしちゃうけど・・。

この甘えん坊な銀狼の幻獣はちゃんとお別れできるんだろうか・・。なんか、すごくゴネるんだろうなぁ。そう思うと、今からちょっと寂しいやら、嬉しいやら。

礼拝堂へ行く前に、さっと頭を撫でると・・尻尾が嬉しそうに揺れる姿に、小さく笑った。




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