幻獣様とお仕事。10
朝食を済ませて、早速出かける為にヴィオが用意をする。
私はというと部屋にヴィオといるだけで、そわそわしてしまう。ど、どうしよう!!!二人きりになると、途端に焦ってしまう!平常心!!平常心だぞ!私・・。
「・・キサ、どうかした?」
目の前にヴィオの顔があって驚いて、後ろに一歩飛んで下がる。
私も驚いたけど、ヴィオも驚いて・・、
「・・え、もしかして照れてるの??悪化してない?」
「し、してない!!今、驚いただけです!!」
「じゃあ、僕が触っても平気だね?」
触る・・・???
瞬間、顔が一気に赤くなって更に後ろに下がると、ヴィオが私をジトッと見る。
「キサ〜〜〜?」
「すみません!!か、帰って来たら戻ってます!!大丈夫なはずです!!」
「ダメ!!出かける前にハグしたい!」
「か、勘弁して下さい〜〜!!!」
本当に!!今は無理なんですってば!!!
私は眉を下げて、ヴィオを見つめると・・、ヴィオが言葉に詰まって顔をちょっと赤くする。
「・・キサ、ずるい!」
「な、何がですか?!」
「そんな可愛い顔してるのに、ハグがダメとか・・」
「かわ!!??いや、それはないから・・」
「僕には可愛いの!!」
やめてくれー!!!
私の顔は、多分普通の一般庶民の顔つきですよー!!
そんな風に、めちゃくちゃイケメンに言われたら恥ずかしいんですよ〜〜!!!
と、トントンとドアがノックされて、天の助け!!とばかりにドアの方へ走っていこうとすると、あっさりヴィオに捕まった!り、リーチが全て長い!!
後ろからぎゅっと抱きしめられて、耳元で小声で、
「・・早く慣れてね」
と、言ったかと思うと耳にキスされて、私はいよいよ体が固まった。
そんな私にヴィオが小さく笑ってそっと体を離すと、ドアを開ける。・・・ずるいのはヴィオさんだと思いますけど。
「お、悪いな!シルヴィオ、そろそろ行くけど大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。キサ、行ってくるね?」
「い、行ってらっしゃい・・」
赤い顔をなんとか誤魔化すように、手を振って・・頑張って笑った。笑ったよう!!ううう・・・半年前まで可愛いワンコのような子供だったのに・・。
嬉しそうに笑って、手を振るとヴィオは行ってしまった。
パタンとドアが閉まった途端、へなっと床に座り込む。
どうしよう・・。
本当にどうしよう・・。
一体、どんな顔をこれからすればいいんだ!!!
「・・キサ様、大丈夫ですか?」
部屋へ私の護衛をしにきたベルナさん・・、床に座り込んでウンウンと唸っている私を心配そうに見ていた・・。ご、ごめんね。
ベルナさんが、気を利かせて中庭の温室を見に行きませんか?と提案してくれたので、一も二もなく頷いた。もちろん喜んで行きます!今は、ちょっと・・何も考えたくないような、考えないといけないような。
温室へ行くと、色彩豊かな植物を生き物がいて・・、
なんでも温泉の温水を利用して、食べ物なんかも温めているらしい。
「ベルナさん詳しいんですね〜」
「前回、スメラタ様が色々な国を知って知恵を出しているのを聞いて・・、あれから猛勉強しました!シルヴィオ様のお力にもなりたいですし・・」
ちょっと照れ臭そうに話すベルナさんに感動する・・!
私もヴィオを支えられるように、勉強しないとだなぁ・・、そう思っていると・・
植物の鉢の側に・・水が流れる溝が掘ってあり、少し湯気が出ている水が流れている。
「あ、これ・・もしかして温水?」
「ああ、そうですね」
ちょっと指で触れてみようと、水に触れた途端・・黒い筋が浮かび上がる。
「・・え!??」
私は驚いて、指を引き出すと黒い筋はふっと消えた。
・・消えたけど、今のは一体・・。
ベルナさんが真剣な顔をして、私を見て・・
「キサ様・・、もう一度指を入れて頂いてもいいですか?」
「う、うん・・」
そっと指を入れると、水が触れた途端に黒い筋が出てきて流れていく。な、なんで??私の指が汚れてたの??私は水に指を入れたままベルナさんの顔を見ると、少し考えて・・
「・・もしかしたら、シルヴィオ様が危険かもしれません。すぐにコーレン様に連絡しましょう」
ドキッと心臓が鳴って・・、私は頷くと、ベルナさんとすぐにコーレンさんを探しにいくのだった。
100話をとっくに越していた!!
と、今回気付きました・・。
いつも読んで頂き&誤字脱字報告感謝です〜!!