幻獣様とお仕事。9
まさかのヴィオと私はもう結婚していたらしい・・。
でも考えてみれば全部辻褄が合う。
なんか新婚生活とか、夫婦とか・・皆、言ってたし。
そういう風に言われるみたいだよ?なんてヴィオは言ってたけど、私の気持ちを待ってくれてたから・・ヴィオは黙ってたり、嘘をついてまで誤魔化してくれていたんだ・・。
・・だけど、待ちきれなくて結婚しようって言っちゃう所は、ヴィオらしいかも。
と、翌朝早く目が覚めた私は、まだスヤスヤと気持ちよさそうに寝ているヴィオの頬を突いて、そんな事を思っていた。
だけど・・、どうしよう。
ヴィオにどんな顔をして話せばいいのか・・朝になっても分からなかった。
「・・ん・・、キサ?」
ヴィオがそっと目を開いて、私を見ると嬉しそうにニコッと微笑む。
「・・お、おはようございます・・」
「おはよう・・、僕、いつの間に寝ちゃったの?」
「・・・え?」
私が目をパチクリすると、ヴィオはちょっと思い出そうとしているのか・・違うところをぼんやり見て・・
「ジュース飲んで、何かキサと話していたのは覚えてるんだけど・・、何を話してたかとか・・、いつ寝ちゃったのかとか・・あんまり覚えてないの」
せ・・・、
セーフ!!セーフだ!!!
私は心の中で、大きく安堵の息を吐いた。
とりあえず知らないフリで行こう!!今日の所はそう行こう!!私は、ヴィオにニコッと笑いかけて・・
「疲れて寝ちゃったんですよ?今日はもう大丈夫そうですか?」
「うん、もう大丈夫」
ごめん・・ヴィオ!
今日はとりあえず待って欲しい!
明日は帰るから・・、帰ったら、ちょっと考えさせてもらうから・・。心の中でひっそり謝り、ヴィオと朝食の為に身支度をする。
「お、もう起きてたか〜」
扉を開けると、ちょうどニケさんとベルナさんがこちらへ来る所だった。
挨拶をすると、ニケさんが・・
「今日は火山の麓に行くけど、あの辺果物が地熱のおかげでよく実るらしいぜ?」
「へぇ!そうなんですか!!」
「お酒も美味いんだよな〜。お土産に買って帰りたいんだよなぁ〜」
・・お酒。
思わずドキっとすると、横で話を聞きながら歩いているヴィオがちらっと私を見るので、私は今度はギクリとする。な、何でしょうか??お、思い出したとかは無しでお願いしますよ?
「・・キサは、お酒とか飲んでたの?」
「そ、そっちかぁ〜〜!!あ、はい・・少しは。でもヴィオはまだダメですよ!!」
「え?なんで??」
「まだ生まれて一年です!!体は大きいけど、18になるまではダメです!!」
ええ〜〜??って、ちょっと不満そうにヴィオが言うけど、本当にダメったら、ダメ!!あんな無防備になっちゃうヴィオはまずい!!私の心臓がもちません!!
ニケさんは不思議そうに私を見て・・
「え?昨日のアイムに貰ってたの、キサ飲まなかったのか?」
「んん?そういえばそうだったかな???」
思い切り目線を逸らすと、ニケさんがちょっと可笑しそうな顔をする。
「・・じゃあ、そう言う事にしておこう」
「大変助かります・・」
不思議そうな顔をして、ヴィオは私を見るけれど・・いいの。
君は気にせず、これからもアルコールは控えて下さい。っていうか、うっかり飲ませないように気をつけなくちゃ・・。
朝食の部屋に着くと、すでにアイムさんもコーレンさんも待っていてくれて・・、私とヴィオを見ると開口一番、
「「よー!!昨日のやつ、美味かった?」」
ああ〜〜・・!!一番の強敵がここにいた!!
ヴィオが不思議そうな顔をして私を見るので・・、ひとまず微笑みかけ、
「昨日はうっかり早く寝てしまって・・。今晩頂きますね!」
と、話すにとどめた・・。
私の横で警護しているニケさんが笑いを堪えているけれど、そのまま堪えていて下さい。私は、ヴィオに「あとでジュースを貰ったんで飲みましょうね」って話したけど、あれは後でニケさんにそっと渡しておこう・・。そう、心の中で誓った。