幻獣様とお仕事。4
「絶対、次は俺のとこ来いよ!!」
と、アイムさんと約束したので・・、あちらの神殿と連絡を取り合ってくれるマルクさん。・・お世話かけます。それでもやはり幻獣同士が仲良くするのは国としても嬉しい事らしい。
食堂で一緒に朝食を食べつつ、マルクさんは嬉しそうに笑って・・
「明日には、ケルム国の神殿から連絡が来ると思いますので、そうしましたら行く日程を詰めておきましょう」
「うん、よろしく!」
「ケルムかぁ・・、温暖な気候って言ってたけど・・どれくらい暖かいんだろ」
せっかくコートを頂いたから、着ていきたいなぁ・・。
ヴィオはちょっと思い出すように考えて・・、
「うーんと、今は春くらいの暖かさ・・かな」
「コート要らずでしたね・・」
「着ていきたかったけどね」
そっか・・。
でも、11月なのに春くらいの暖かさなんて・・寒いのが苦手な私としては嬉しい。
早速ヴィオと部屋に戻って、いつでもいけるように準備をしておく。
なにせ泊まりに来い!!って言ってたしね・・。
「暖かいんなら、薄着でもいいかな・・」
「一応、上着を持っていけばいいんじゃない?」
貸してもらったカバンに服を詰めていると、ハタっと気付く。
・・何気に一緒にお泊まりって初めてだな。
そういえばお付き合いしてるけど・・、一緒にお泊りって意識すると、・・なんかまた照れちゃうなぁ。思わず顔が赤くなると、ヴィオが私を覗き込んで・・
「キサ、顔赤いけど大丈夫?」
「「「だ、だ、大丈夫!!!」」」
「そう?前も熱出したばっかりだから、気をつけてね」
コクコクと頭を縦に振っておくけど、泊りかぁ・・。
まぁ、なんとかなるかな??
そうして・・ケルムの国の神殿から、
「アイム様が早く来いとうるさいので、できればすぐにでも来てくれ」
と、連絡が入った・・。
アイムさん、神殿からもそんな言われよう・・。大丈夫なのか、幻獣様・・?
マルクさんは、その連絡にちょっと動揺していたけど、ニケさんの「まーアイムだから」の一言で解決してしまった。
なんというか、いつでも安定のアイムさんだな。
そんな訳で、早速荷物とお土産を持ってケルム国に転移することになった。
今回もベルナさんとニケさんもついてきてくれるけど・・、お休みとか大丈夫なのかな?つい心配になってしまう。
中庭から、マルクさんに挨拶をして早速転移する。
どうしてもなんか怖くて目を瞑ってしまうんだけど、ヴィオが大丈夫だと言わんばかりに手を握ってくれた。お世話かけます・・。
「キサ、着いたよ」
「うん・・」
そっと目を開けると、辺り一面南国でよく見るような鮮やかな花々が咲いてる温室に立っている。なんなら、色彩の綺麗な鳥とか飛んでる!!
「・・わぁ・・!!!すごい・・!!」
「ね、綺麗だね」
思わずあちこち見ていると、温室の中へバタバタと足音がする・・。
「「おお〜〜!!来たか!!シルヴィオ!キサ!!」」
「あ、アイムさん・・どうもお招き頂いて・・」
「んな堅苦しい挨拶はいいから!!あ、うちの大神官が今くるから!!」
カラカラと笑うアイムさんは愉快そうである・・。
そのアイムさんが来た方向から、慌てて白い髪のちょっと気の弱そうなおじいさんと他の神官さん達が走ってやってくる。
「も、申し訳ありません。すぐにお出迎えできず・・」
と、息も絶え絶えだ・・。
だ、大丈夫??おじいちゃんなのに・・。
「だ、大丈夫ですよ?息を整えてからで・・」
私が思わずそう言って、背中をさすると・・大神官さんは目を見開いて・・
「なんと・・!!お優しい!!うちのアイム様にも見習って欲しい・・」
「「え〜〜?俺、優しいじゃん!!」」
優しいとは思う・・。
落ち着きは、あれですけど・・。
私は曖昧に笑って、大神官さんの背中を撫でると・・ようやく落ち着いたのか、顔を上げて・・
「初めまして、大神官のコーレンと申します。この度はパルマの幻獣シルヴィオ様と異世界の乙女のキサ様にお会いできて・・、感激です」
うわ・・、ちょっと照れちゃうなぁ。
ヴィオも丁寧に挨拶をすると、コーレンさんはまたも感激して・・「このように挨拶ができる幻獣様とは!!」
・・アイムさん、ちょっと大神官さんを困らせすぎでは??
私とヴィオでアイムさんを見ると・・、そっと視線を横に逸らした。あ、ちょっと!?