幻獣様とお仕事。2
神様と幻獣さん達は、割と普通に話すらしい・・。
「あ、それなら・・幻獣さんや異世界の乙女について聞く事はできないんですか?」
私がヴィオに聞くと、ちょっと眉を下げて笑うと・・
「そういうのは、自分で調べなさいって言われるの。多分、幻獣もこの世界の事を勉強するために、何も知らない状態で送られているんだろうなって思ってる」
「そ、そうなんですか?!」
結構幻獣様もハードな環境だな?!
私が目を丸くすると、ベルナさんやニケさんも意外そうな顔をする。
「俺はてっきりなんでも知ってると思ってたぜ・・」
「国を守護する力と、異世界の乙女の力を感じ取れる力は備わってるけどね。剣や魔法の事なんて何一つ知らなかったの・・知ってるだろ?」
ヴィオがニケさんやベルナさんにそう話すと、二人は納得した顔をしていた。そ、そうか・・。じゃあヴィオは私よりまだ知らない事も数多くあるって事か・・。
スメラタさんは、ヴィオを見て・・
「そう・・。ここ神殿の中にいては知らない事が沢山ある。他の幻獣たちが守り月でないのに、お前の所へしょっちゅう行くのも、お互いを知り・・そして、世界を知らせたいからだ。・・・まぁ、多少勢いがすごいが」
誰が・・とは言わなくても分かってしまう。
そうか・・、まだまだ知らない事がヴィオにあるから、教えようとしてくれていたのか・・。なんだか改めてその気遣いが嬉しくて、胸が温かくなる。
「・・キサ、守り月の間に皆さんの所へ行こうね!」
「はい!!一緒に行きましょう!!」
ヴィオと沢山世界の事を知りたいし、見ていきたい。
そう思ったら、なんだかワクワクしてきた!
二人で顔を見合わせて、ふふっと笑い合っていると・・、ドタドタと扉の向こうから足音がしたかと思うと・・
「「「やっほー!!!シルヴィオ来てるってー!!!!?」」」
言ってるそばから、自ら来たーー!!アイムさんーー!!!
私とヴィオが、びっくりして口をポカンと開けていると・・ルル君がアイムさんの方へ走り寄って、
「「ごるぁあああ!!このガキンチョ!!いきなり扉を開けるな!!あと勝手に来るな!!!」
「お〜、ルル!相変わらず小さくて可愛いな!120歳なのに!!」
「うるせー!!体の大きさじゃなくて、ハートのデカさで生きてるんだ!!」
・・すごい・・、勢いがすごい・・。
ヴィオは私の体をそっとアイムさんから遠ざけるかの如く、自分の方へと更に寄せる。いや、もうこれ以上はくっつけないんですけど・・。
スメラタさんは、はぁ・・とため息をついて、ヴィオを見て・・
「・・シルヴィオ、あれで弟想いではあるが、ああはなるな・・」
「え〜〜〜!!なんで?!俺、いい兄ちゃんだよな!?」
ヴィオとスメラタさんを交互に見て、ブーブーと文句を言うアイムさん。
・・いいお兄さんだとは思うんですが、勢い!勢いがすごい!!
「な!!今度は俺のとこ来いよ!!待ってるからさ!!」
「「その前に、お前は落ち着け〜!!!」」
「・・・ルル、お前も落ち着け・・」
・・ターシェさんの時もだけど、アイムさんも来ると、ルル君が大分落ち着かないのか・・。一つ勉強になりました。アイムさんに、スメラタさんの次に遊びに行く事を約束すると、ようやく落ち着いてお茶を飲んでくれた・・。
私の隣に座って、アイムさんがお茶を飲んで・・
「そーいえば、ロズとダズがちょっと大人しくなったんだけど、シルヴィオなんか知ってる?」
私とヴィオは、目を丸くしてアイムさんを見る。
大人しく・・。じゃあ、約束を信じてくれたって事?私とヴィオは嬉しくなって・・、お互い顔を見て微笑みあった。
スメラタさんが、静かに笑って・・
「・・雨の約束をしたらしいぞ、アイム。今度からロズとダズの清めをする時には雨を降らせろよ?」
「ええ〜〜〜、俺、雨を降らせるの得意じゃねーんだよなぁ・・。火柱を立てるとかじゃあダメか?」
・・・ダメですね。
それは大変怒りを買ってしまった!?と思われる気がします。アイムさんの回答に、スメラタさんが思い切りため息を吐いて、「な、なんでだよ〜〜」と自称いいお兄ちゃんは慌てていた・・。