幻獣様のお世話係始める。9
ヴィオが喋り出して、更に一週間!月日が経つのは早いなぁ・・。
今日は、生まれて1ヶ月のお祝いを国内外に広く知らせるために、神殿でお祝いするそうだ。
その次は3ヶ月後、半年後、そうして成人した1年後をもって晴れて幻獣として国を守る存在になるそうで、その間は必ず神様の力で災害などから国が守られるらしい・・。ただし幻獣は自分達で守ってね!と、いうハードな仕様だ。
私は「異世界の乙女」という大変恥ずかしい異名があるらしく・・
朝から、ヴィオと離れてせっせと女性の神官生さん達に支度をされている・・。
いつもはショートボブの黒髪を花と一緒に編み込み、イヤリングやバングル、首にずっしりと重いネックレスまでする・・。すっごいゴテゴテに飾るんだな・・。
でも豪華だけど、白いワンピースは変わらない。そこ、面白いなぁ・・。
ドアをノックされ、返事をすると・・
外から、マルクさんの声がする。
「準備が整いましたら、お部屋へいらして貰えますか?シルヴィオ様が、キサ様はまだかとお話をしておいでて・・」
こりゃゴネてるな・・。
準備でちょっと離れますからね?って、昨日も、今朝も言っておいたけど・・、こんなに離れるのは初めてだもんね。不安なのかもしれない。
神官生さんが、最後に口紅を塗ってくれて完了だ!
鏡に映る自分が、異国から来たお姉さんのように見える。
この場合は、異世界だけど。
お礼を言って、扉を開けると・・
ベルナさんが立っていて、ちょっと驚いた顔で私を見る。
「おやおや、随分素敵になりましたね」
「そう言って頂けると・・。神官生さんのおかげですけどね」
ちょっと照れくさくて、思わず俯いてしまう。
ベルナさんは、私を部屋まで連れていってくれるけど、外までヴィオのゴネる声が聞こえる。喋り出したら、本当に毎日よく喋るんだもんなぁ・・。
「ねー!まだ?まだ、キサは来ないの?」
「も、もう少しです・・シルヴィオ様」
「迎えに行く!!」
「そ、それだけは・・、神殿といえど危険ですし・・」
もう!待っていてって言ったのに・・、
私は扉を開けて、
「もう!ヴィオ様、待っていて下さいって約束したでしょう?」
そう言って、私が扉を開けると・・
ヴィオは私を見て、ぽかんと口を開ける。
え・・?何・・?
何かついてた??
思わず自分の体や、周囲を見回す。
マルクさんは、私を感心したように見て・・
「いやいや・・、これは随分とお美しくなられて・・、いや、いつもの姿も十分素敵ですが・・」
「え、そ、そうですか?ありがとうございます」
おじいちゃんのマルクさんに、そう微笑みながら言われると・・嬉しいやら、照れ臭いやらだ。照れて俯くと、ヴィオが足元へやってくる。
ヴィオもこれでもか!!!と飾ったらしく、首回りに同じようなネックレスと、腕輪を足に全部つけている。可愛い上に、綺麗だなぁ!!
「うわぁ・・、ヴィオ様も素敵!!ネックレスお揃いですね!」
「・・キサ、キサも素敵・・」
「ありがとうございます!」
もじもじとしつつも、こちらをチラッと見上げてくるヴィオが可愛い!!
頭をそっと撫でると、小さな声で・・
「抱っこして・・」
と、言うのでそっと持ち上げて抱っこする。
ヴィオは胸元に顔を寄せて、匂いを嗅ぐと・・
「・・いつもと違う匂いがする・・」
「ああ、今日は神殿のお祝いですからね。香水をつけて貰いました」
「・・僕、いつものキサの匂いが好き」
くあぁああ!!可愛い!!
頬ずりしたいけど、今日はお化粧をしているから我慢だ私!!!
「お祝いが終わったら、いつもの匂いに戻りますよ」
そういって、頭を撫でるけど・・、ヴィオは私が化粧をしているのがよほど珍しいらしい。チラッと見ては、下を見るのに・・またチラッと見上げるので・・、私は笑いを堪えるのに必死だった。