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オッサンフェアリーと私  作者: さむぺん
序章 旅の始まり
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パステルパープルユニコーン

 なにかがいる。それだけは確かだった。

 言葉で表すなら、薄紫のかなり大きな警察犬。

 サイズだけで言うと熊レベルだ。

 そんな規格外カラフルドッグがお座りをしてこちらを見ている。

 私の本能はやはり正しかったようだ。


「なんですかこのメルヘンカラフルドッグ」


 首輪が付いてるあたり飼い犬っぽいが、それっぽい人はいない。

 これは見なかったことにしよう。そう決意し、ドアに手をかけた。


「パパーンちゃん!お迎え来てくれたの?」


 飼い主発見。まさかオッサンのペットだったとは。

 妖精界の犬なのだとすれば、このサイズも色もまぁ納得がいくかもしれない。


「あっ!紹介するね!この子はパステルパープルユニコーンのパパーンちゃん!」

「パステルパープルユニコーン……ユニコーン?犬じゃなくて?」

「パパーンちゃんに謝ってくれる?」


 ユニコーンって、額に角が生えてる馬じゃなかったっけ。

 私の目に映ってるのは薄紫のデカい犬なのですが。角も生えてないし。


「ペットって事で良いんですか?ワンちゃん」

「家族だよ家族!てかユニコーンだし」

「角が生えた馬の事を指すのでは?」

「生え変わりの時期ってあるじゃん?」


 生え変わりの時期だとしても犬は犬だろ。

 ダメだ、このオッサンには常識が通用しない。ただ見た感じパパーンちゃんは飼い主より賢そうだ。


「でもなんでこんな所にいるんですかね?」

「救世主パパーン!」

「でもなんでこんな所にいるんですかね?」

「……わかりません」


 パパーンちゃん会話出来たりしないかな。

 話せたら絶対飼い主より役に立ってくれそうなんだけど。


「パパーンちゃん、何でここにいるの?」

 ー気安く話しかけてんじゃねぇよ敬語使えやー


 コイツ……脳内に直接語りかけてくるタイプ!?

 オッサンの様子を見るに、聞こえてなさそう。

 私も念じてみれば良いのかな。


 ーいや、お前は口で話せばいいだろ馬鹿かよー

「えっ、はい、すみません……」


 この犬、メルヘンチックな見た目してる癖にめちゃくちゃ口悪いぞ。あと性格も。


「えー、何いきなり謝ってんの」

「いや、なんか脳に直接……」

 ーソイツに話しても無駄無駄、何回か試したけど届かねぇのー

「なるほど、普通に会話すら危ういですからね」


 オッサンは不服そうだが、とりあえず私がパパーンちゃんとやり取りが出来ることを伝えた。

 かなり不本意そうではあったが、修行が足りなかったという結論に落ち着いたようだ。


「で、なんでここにパパーンちゃんがいるの?」

「迷って帰れないとかじゃないですか、飼い主に似るって言いますし」

 ー噛み殺すぞー

「ごめんなさい」


 でも確かになんでこんな所にいるのかは気になる。

 口と性格は悪いけど、頭は良さそうだし何かちゃんとした理由があるはず、というかあって欲しい。


「で、なんでいるんですか?」

 ー絶対妖精界戻って来れねぇと思ってな、一応飼い主だし迎えに来たー


 ツンデレ属性付き……?ここに来て初対面で下がりまくった好感度を上げに来ているのか。


「飼い主を迎えに来てくれたんですって」

「パパーンちゃん!!さっすがぁ」


 オッサンがパパーンちゃんに抱きついた。

 パパーンちゃん見た目はキューティなお顔をしている為、一見喜んでいるように見える。


 ーいっつも暑苦しいんだよなコイツー


 知らない方が良い事ってあるよね、私は初めてオッサンに心から同情した。

 テレパシー通じなくて逆に良かったのでは無いだろうか。


「じゃあパパっと妖精界まで行っちゃおっ」

 ーおう、背中乗れやー


 おっさんは軽々とパパーンちゃんの背中に乗り、私に手を差し伸べた。


「これやって見たかったんだよね!さぁ、お手をどうぞっての!」


 不覚にも良い奴だと思ってしまったが、やはりオッサンはオッサンである。

 典型的悪い人じゃないんだけどね……って職場で言われがちなタイプだ。

 私はオッサンの手を持たずパパーンちゃんに乗った。


 ーお前めちゃくちゃ性格悪ぃなー


 その言葉は私の前でUターンし、パパーンちゃんに突き刺さったように思えた。

 乗り心地はかなり良い。

 陽真ノ森の方へ向かっている途中、自分達が完全に反対方向へ歩いて行っていたことに気付いた。


「真逆に進んでたのに良く私達に会えましたね」

「パパーンちゃんは優秀だからね!」

 ー時空移動出来るから何処でも行けんだよー


 さすがユニコーン、メルヘンだ。

 飼い主はドアサブスク解約されてるのに、反面教師と言うやつだな。

 パパーンちゃんがいれば幻のカエル探しもサクサク進めそうだ。


「パパーンちゃんはこれから一緒に旅してくれるんですか?」

 ーは?そんなダルいことする訳ねぇだろー

「あはは……ですよねー」

「なんて?なんていったのー?」

「パパーンちゃん疲れたから妖精界行ったら寝るらしいです」

「おやすみ♡」


 オッサンの謎の適応能力が欲しいと思った。


 ー着いた降りろー

「ありがとパパーンちゃん!」

「ありがとうございました」


 パパーンちゃんはセルフ時空移動で帰るらしく、別れも告げずに一瞬で帰っていった。

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