青狸根性説濃厚
あれからどれくらい走っただろうか。ホテルからは離れたはずだけど、道から外れてしまったせいで今の場所がわからない。
「はぁ、もう絶望的だよ……なんでこうなっちゃうかな」
つい弱音を吐いてしまう。
少し前まで普通の人間として平々凡々な生活を過ごしていた身にしては頑張ってる方な気もしなくは無いけど。
私はその場に座り込んで空を見上げた。
空は少し赤みがかった綺麗な色をしている。
そういえばオッサンどこ行った?
仕方なく周囲を見渡すと、汗だくのオッサンが木に寄りかかりながらこちらを見つめていた。
「指名手配ってスゥゥ……すっごくハァモテモテにッなったハァ気分になるね」
「なりません」
やはりいきなりダッシュはキツかったのだろう、止まってから少し時間が経ったのに激しく息切れをしている。
オッサンが深く息を吸い、何かを決意したような真剣な顔で口を開いた。
「もー、汗でベッタベタだよぉ。お風呂入って寝たぁい」
とりあえず今いる場所をハッキリさせて野宿でもいいから安全に休めるようにしないと。
「ねぇ」
警察から逃げてしまっている以上周囲を警戒されるのは間違いない、変に道を歩いてしまうと見つかってしまう。
やっぱひたすら遠くへ行くしかないよね。
「ちょっと」
現在地から見える何か目印になるような物……周囲を見渡すが緑しか見えない。
このままでは日が暮れてしまう。
そうだ、そういえばオッサン前に……
「あの、ちょっと木の上の方まで浮いてください」
「えぇ!?さっきまでガン無視してたと思えば次は無茶ぶり!?」
散々やらかしてくれた分こういう時根性見せてもらわないと。
「妖精が浮くのって根性なんですよね?」
「そうだけど……僕の根性じゃドラ○もん程度しか浮けないよぉ」
ドラ○もんって浮いてるんだ。知らなかった。
いや、そういう話をしているのでは無い。
オッサンと過ごす時間が長くなっている弊害か、自分の思考回路がおかしくなってきている気がしなくもない。
「一旦今の根性でどれくらい浮けるかやってみてくださいよ」
「おっけ」
返事の時点で軽さは感じていたが、実際オッサンが浮いた高さは高く見積って5cm程度だった。
「根性無し」
「ん?なんて?」
「この根性無し!!!」
思わず声を荒らげてしまった。
やはりオッサンに頼るのは良くない。
浮かずとも木の上から周りを見る方法、残るは1つだ。
「仕方ない、登りましょう。日が落ちる前に」
「なんか……ワクワクしてきたね!」
「じゃあこの木の下で跪いてください」
4年近く放置してすみませんでした




