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ヒカリノート  作者: ナポリタン
3/4

ふくろう男はかく語りき その1

やあやあひさしぶりだね。

 僕を知らない? あぁそれは忘れているだけだよ。記憶なんて曖昧なものさ。時には大切なことをすっかり忘れてしまう時もある。

 僕は君が本当にどうしようもなく途方に暮れてしまった時にこうやって助けにきているんだ。本当さ。


 さて君が今直面している問題についてだけど。


 君が薄々感じている、というよりわざとらしく目をそらして気づかないふりをしていることだけどね。そう、ここは異世界だよ。

 おいおいそんな顔をするなよ。だってもう朝の8時を過ぎているんだぜ。それなのに一向に夜が明けない。どう考えてもおかしいだろう。

 君は丁寧に『突然異世界に迷い込んだ主人公』を振る舞っていたわけだが君の振る舞いはドッキリカメラに気づいてしまった芸人が無理やり騙されているフリをしているみたいに滑稽だよ。

 なに、そういうたとえ話は異世界にふさわしくないだって? そうだね、それはわるかったよ。だけど僕は今からこの世界の有り様から君のたどる道を解説してあげようと思っているんだ。創作にあるまじき行為だろ? ネタバレをしてあげるんだ。

 君はきっとこれから長い旅を経てこの世界の謎にせまり、仲間たちとの友情や自身の成長をテーマにしたストーリーが繰り広げられると考えていたんだろう? 教えてあげるよ。


 君はこの章で二人の仲間を得る。ふたりとも女の子だよ。よかったね。

 そのうち一人はこの世界の住人でもう一人は君と同じ世界からこの異世界に来た女性だ。

 ちなみにこの二人が君を巡って三角関係になるという事はないよ。残念だったね。一人はこの章でお別れさ。悲しいね。


 なんだ、怒っているのかい? ネタバレが嫌いなんだね君は。まあ、知っているけどね。

 だけどね、未来がわかっているからと言って楽しみがなくなるわけじゃないよ。君がこのあとひとりの少女と出会って大きな街に案内されるわけだけどその道中や街についたときの感動なんかは僕がバラしたところで何かが変わるわけでもない。君はその瞬間を楽しみ、驚き、興奮する。


 本当に素敵なことは過去や未来にこだわらない。とらわれないんだよ。


 大体、ネタバレなんかで言ったら歴史小説なんかとんでもない小説だよ。どうあれ偉人である主人公は最後には死ぬ。それが歴史小説である以上覆ることはないよね。しかも歴史小説を好んで読む連中なんかはそもそも主役である偉人が何をしたかなんて少なからず知っているはずだろ?主人公の生い立ちや物語の山場、そしてフィナーレまですでに知っているにも関わらず歴史小説を読むんだ。なぜだと思う?


 あ、話がそれたね。とにかく僕が言いたいことは1つ。君が君自身の行末を知っていることは案外悪くないってことさ。


 そうそう、それとこの異世界についてだけどこれは君の察しの通り太陽が昇らない。


 この世界はずっと夜なんだ。


 君が見つけたホタル、あれは君がイメージする昆虫ではないんだ。あれがこの世界の光なんだ。

細かい説明は省かせてもらうけど、あの光がこの世界のエネルギーを担っている。光を上手くコントロールできたら魔法じみたこともできるようになるよ。ワクワクしてきたかい?


 君が最初に行く街ではとても大きな光が石油みたいに採掘されている。その光を街のおえらいさんが住民に分け与えている。光はライフラインであり、お金でもあるんだ。君はその街のおえらいさんからある依頼を引き受けて少しばかりの冒険をする。

 そのおえらいさんなんだけど、とてもいい人そうな印象を最初に受けると思うんだけど、やっぱりよくある裏の顔を持っているんだ。うん、定番だね。その裏の顔の鍵を握っているのが「見えざる王女」なんだけど、これは説明するのがちょっと大変なんだ。だからこのへんはお楽しみにしておいてくれ。

 君はその街の運命を大きく変えてしまうことになる。回りくどい言い方になってしまったね。


 君はその街を消してしまう


 どういうことかわからないのかい?そうだね、ネタバレされても気になるだろ?


 そろそろ時間だ。また近い内に会いにくるよ。


 そうだ、最後にこの物語の結末だけ教えておくよ



『君はヒカリを見つけてあるべき場所に帰る』

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