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鍵穴

このシェアハウスの個室の構造について書き記そう。

それぞれの部屋で微妙な違いはあれど、ワンルームにトイレと洗面台のある小部屋がくっついてるという構造は同じだ。


部屋には鍵があり一本しか用意されていない、これを失くすと罰金だと管理人に脅されている。

新しい住人が入る度に鍵その物を取り替え住人に渡される。複製は固く禁じられている。


鍵穴は解錠された状態では縦向きになっており、これに鍵を挿入し半回転させることで施錠となる。

また部屋の中から鍵を使わずに施錠した場合は、横向きになっている。


ややこしいので整理すると、

鍵穴が縦向きの時は、解錠されているか、外から施錠されている場合。

鍵穴が横向きの時は、内側から施錠された状態。


つまり縦向きの場合、部屋に人がいるのに鍵をしていない場合と、部屋に人はおらず施錠されてる場合が存在するのだ。




…なぜこんなことを書き記すのかというと、それは私が抱いた違和感に関わってくる。

私の部屋は606、シェアハウスを出る際やシャワーを使いに5階に行く時には階段で5階に下る必要がある。

ちなみにエレベータは6階まで存在するが、防犯上移住区の4階と6階には止まらない設定になっている。


階段まで行く際に私はなにげなく605から順番にドアを眺めていた。

どの部屋も鍵穴は縦向きであった、ということは外出中で鍵を閉じているか、少々不用心だが鍵をかけずに在宅中ということだろう。

まあここには12人と管理人しかいないのだ、そんなに警戒しない人なら開けていても不思議じゃない。


私は5階のキッチンに行き、そこの電子レンジで冷凍食品のパスタを温めていた。

キッチンはシェアハウスのエントランスの目の前にあり、誰かが出入りするのを確認できる。

当然だがシェアハウスの出入りはこのエントランスからでないと出来ないようになっている。

非常階段が各階にあるが、非常時にしか使えないように鍵は常に施錠されている。

(本当の非常時に解錠する暇があるのかという疑問は置いておくことにする)


5分ほどいたが誰もエントランスを出入りしなかった。

私は温めたパスタを持って自室に戻った、そこで再び601から605の鍵穴を眺める。


横向き、すべての部屋が横向きになっている。

つまり今全ての部屋に住人がいる、さっきまで開けていた鍵をこの5分間で全員が内側から施錠したことになる。


なぜ?足音があったから警戒して閉めたのだろうか。

その施錠音を聞いた他の部屋の人も警戒して閉めた…という連鎖の結果なのか。

多少の違和感はあるが、そんなにおかしい事態でもないのでまあいいかと思い自室のドアノブに手をかけた時に気づいた。


私の部屋の鍵穴が横向きになっていることに。

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