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欠損少女とユメの国  作者: クズイ
1 ユメとの出会い
3/7

02 お風呂

ユメと笑いあった後、ちょっと歩くとすぐに野営の準備がしてあるところに到着した。三角のテントみたいなものと椅子が置いてある。

「ここだよ。町に行くにはちょっと距離があるからここで一泊して明日の朝出発しよう」

そういえば、こっちの世界に来たときは朝だったが、今は何時くらいなんだろう。

「すまない、今何時くらいなんだ?」

そういえば、こっちの世界では時間の概念はあるのだろうか。元の世界が24時間だからついこんな聞き方をしてしまう。

「今はおそらく夜の8時くらいかな。正確な時間は魔法を使わないとわからないけど、気になるかい?」

「いや、大丈夫だがこっちの世界も24時制なのか?」

「そうだよ。」

ということはこっちの世界にも太陽があるのだろうか。というかここは地球なのか・・・

「あぁ、ちょっと待った。色々聞きたいことがあると思うけどストップ!今からお風呂の準備するから話はそのあとにしよう!」

「あぁ、すまない。風呂の準備というと道具はなさそうだが、どうするんだ?」

見たところお湯を入れるようなドラム缶などの容器や水を汲めるような場所もないようだが・・・

「まあ、見ててよ」

というとユメはこっちの世界の言葉を発したかと思うと白い光が集まってくる。

そういえば、こっちの世界には魔法があるんだった・・・。


「ほい!」

急に言葉を発してビックリする、さっきは特に日本語を発してなかったがこれも儀式の言葉か何かだろうか。

「あぁ、ごめんごめん。お風呂の準備をするってなるとテンション上がっちゃってね。つい♪」

と笑顔で答える。そのあと周りの白い光が無くなったかと思うと直径5m、高さ70cmほどの桶が出てきてその中にたっぷりのお湯が注がれる。

さっきの魔法の説明から複雑なものはできないと思ったが・・・

「こりゃ、すげえな。」

「でしょ~。この魔法はすごく練習したんだ!野営の時にはゆっくりお湯につかりたいからね。それに今回は・・・」

そういうとこっちを強い眼差しで覗き込んでくる。なんだろうか。

「まあ、とりあえず風呂の準備ができたということだが、俺もつかっていいのか?」

「もちろん!気温も下がってきたとはいえ、ここまで歩いたら大分汗かいたでしょう。」

確かにここまで一睡もせずぶっ通してきたこともあり、お湯につかって休みたい気分でもある。

「では、お言葉に甘えて入らせていただこう。順番はどうする?お湯をそのままにするなら自分は後でも大丈夫だが。」

こういったときは女性は先と後どちらがいいのだろうか?一応お湯が冷めることを考えて先を進めたが、もしかするとゆっくりつかれる後の方がよかったのかもしれない。

「いや・・・・・。私は後でいいから、先に入っておいでよ!ナツマも早く入りたいでしょう!」

メチャクチャ先を勧められる。自分としても熱い湯が好きなのでありがたいが、少し違和感を感じる。まあ、深く考えるのも面倒だし、とっとと入ってさっぱりしよう。ここで悩んでもユメの入る時間が遅くなって文句を言われるかもしれないしな。

「では、先に頂こう。」

「はい、これタオルと着替えね。さっき一緒に魔法で出しておいたから。私はテントの中で待っているから終わったら呼んでね~。あ!後、ゆっくり入っていいからね、私のことなんて気にせずゆっくりつかってくださいな!」

テンションが高いせいか少し口調が変わっている。もしかすると自分をもてなしてくれているのかもしれない。さっきも転移者を手助けするよう言われているらしいし。

ユメは自分にタオルと着替えを渡すとすぐにテントに向かっている。着替えは旅館などで着るどてらの様なものである。そういえば、着ていた服も甚平みたいな恰好だったし、旅館の関係だったりするのだろうか。



着ていた服を脱ぎ、かけ湯を行いお風呂に入る。

「ふぅ~~~~~~~~~~。」

そういえば、最近シャワーばかりであまりお湯につかってなかったな。家の近くに温泉があり、たまに入ることはあったが、そこには露天風呂がなかった。今は夜空の元お湯につかっており久しぶりの感覚だ。

「異世界にきて初めてのお風呂が露天風呂とはな・・・」

夜風がいい感じに体にあたり、火照った体をいい感じに冷やしてくれる。ユメが準備してくれたお湯はいい感じにあったかく疲れた体を癒してくれる。


そういえば、ボディーソープやシャンプーは準備しているのだろうか。入るときは特に気にしてなかったが、あのユメの様子だと準備していても不思議ではない。ふと周りも見渡してみると・・・

「あ!」

よく見ると風呂椅子と石鹸が置いてある。

(メチャクチャ準備いいじゃないか)

そう思い、桶から出て椅子に座る。

「そういえば・・・」

さっき渡されたタオルを確認してみると、ハンドタオルとバスタオルの2枚がセットになっていた。

(ここまで準備していてくれたのか・・・)

ありがたくハンドタオルを持っていき、石鹸をつけて泡を立て体を洗っていく。そういえばこっちの世界に石鹸はあるのか。体を流した後に少し考える。

「石鹸で髪を洗う人がいるのはしっているが・・・」

あの石鹸で髪を洗った後のごわごわ感嫌いなんだよなぁ。自分が試したものが安物だったせいか髪の違和感がすごくてあまり好きじゃない。正直、水洗いだけでもいいんだけども・・・

「さすがにシャンプーはないよなぁ・・・」

「あるよ、ほい!シャンプー」

「あぁ、ありがと・・・・・・・」

ふと手渡されたシャンプーのボトルを手に取った後、声のしたほうを向く

「いや~、シャンプーは魔法で生成するの難しくて、普通に持ってきたほうが楽なんだよね~」

「お、お、お、お、お、おま・・・」

あまりの出来事にうまく言葉を発せられず、ついどもってしまう。さすがにこれはまずいと思い慌てて戻ろうとするが、

「ちょっと待って!行かせないよ!こんなチャンス滅多にないんだから!」

といった後、自分の前に回り込んでくる。さっき獣と闘っていたときの動きを彷彿とさせる。やはり身体能力の高さは一般の人とは比べものにならないようだ。

「チャンスってどういうことだよ!」

言ってる意味とやってることが分からず、つい声を荒げてしまう。腕で目を塞いだが、ちらっと横目にユメの姿が映ってしまう。やはりというかなんというかユメは服を着ていなかった。

「ちゃんとよく見て!言ってる意味が分かるから!」

「よく見ろって・・・」

見ていいのだろうか。この世界の常識はよくわからないが、自分の知る世界では初対面の女性の裸なんてものは見てはいけないような気がする・・・。

「とりあえず、見たらわかるからその腕をどけて」

急に口調が冷静なものになる。自分も何が正解なのかわからず、一応確認をとってみる。

「いいんだな?」

「うん、大丈夫」

何がいいのか自分でもわからないがとりあえず腕をどける。どこに目線を向けていいか分からずつい下を向いてしまう。

「よく見て、無いでしょ?」

何のことだろうか。ただ女性が"無い"と気にしているものなんて、1つしか思いつかなかった。

「いや、どうだろう。平均的な感じじゃないかな。別になくたって全然問題じゃないし、なんならユメはまだ若いんだしまだまだ成長する可能性だって・・・」

「何言ってるの?」

ユメはあきれたように疑問を投げかける、あれ?何か間違えたか

「腕のところをよく見て」

「腕・・・?」

目線を上げて腕のところを見る。そういうことか、今まで自分は大きな勘違いをしていた。今までのことを思い返してみると袖の長い羽織を着ていたせいか、全く気にも留めなかった。



そう、ユメには・・・()()()()()()()

「そう、私腕がないの。だから・・・」

ちょっと溜めて自分の眼をまっすぐ見つめてくる。

「髪、洗って!!」

ユメはとてもわくわくした様子で言葉を投げかけた。

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