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夢の舞台はポラリスで  作者: 藤波真夏
Program No,01「Mysterious adventure〜Dr. Kyle's journey〜」
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After the closing1 あの景色を

最新話を更新します。最後まで読んでいただければ幸いです。藤波真夏

After the closing1 あの景色を

 七海が舞台からはけ、ライトが暗くなり幕が降りた。

 出演したキャスト全員が息を吐いた。そして七海は深呼吸をして乱れてしまった息を整える。その瞬間、鼓膜が破れるかと思うくらいの大きな拍手が響く。音の迫力は舞台袖にいる全員を圧倒させる。

「拍手の、音?」

 七海が呟いた。耳に聞こえていることが信じられないと言わんばかりの表情をしていた。夜や大宙、瑠衣や鈴も驚いている。そして舞台慣れしている弦も驚いた表情だ。

「私たち・・・やったの?」

「みたいですね・・・」

 瑠衣や鈴も口を開くが言葉を発するのがやっとであった。弦が呆然としていると背後から肩を叩かれた。振り返るとハジメが立っていた。

「ハジメさん・・・」

「僕は今すぐ褒めたいよ。だけど、まだ・・・カーテンコールが終わるその時まで弦たちを褒めることができない・・・」

「ごもっともです」

「さ、行きなさい」

 ハジメが弦の背中を押す。そして主演で座長である弦が全員を呼んで言う。

「観客が待ってる。カーテンコール行くぞ!」

「はい!」

 弦の言葉に全員が返事をして再び、光が溢れる舞台へゆっくりと歩いて行った。あんなに弱気にも見えた背中がどこか頼もしく見えるのは、ハジメの目の錯覚だろうか。

 少し眩しいくらいだ。

 キャスト全員が舞台に登場すると再び、拍手が大きくなる。


「ありがとうございました!」


 全員で声を合わせて言ったのち、頭を深く下げた。

 幕が下り、再び舞台裏へ戻って来るとハジメが出迎えてくれた。すると全員公演が始まる前と同じように肩を組み、喜び合った。

「すっごい気持ち良かった!」

「お客さんたちの顔、キラキラしてるの見えた!」

「それな!」

 口々に言い合う。すると弦は七海の肩を強く抱く。そして手を差し出した。

「東。ありがとう」

「それはこっちのセリフ」

 二人は固い握手を交わし、ニッと笑った。そしてハジメから投げられたタオルで汗を拭いた。七海は汗を拭こうとするが、拭くのをやめて鈴の元へ向かう。

「ほら早く汗を拭く。風邪引くよ」

 七海が鈴のタオルを取ると首を拭き始めた。鈴は子供じゃない、と抵抗するが七海はその反応が面白くてもっとやりたくなってしまう。

「本当に・・・七海は、オカンだな」

 弦がそう呟いた。それを聞き逃さなかったのは夜だった。夜は弦に言った。

「弦さん。今、七海さんのこと『東』じゃなくて『七海』って言いましたよね?」

「っ?! 言ってない! 桜田の耳がおかしいんだ」

「そんなことないですよ。僕、この耳でしっかり聞きました! 七海さーん!」

 弦が慌てるのもお構いなし。夜は七海を呼んだ。呼ばれた七海は弦の元へ。七海の表情はもう何かを企んでいる表情にしか見えなかった。

「あ、東・・・」

「弦ももう少し素直になりゃいいのに〜」

 七海は笑って弦の頭をくしゃくしゃと撫でた。変な気持ちになる弦は子供のようにふてくされた。

 七海はその様子を見ながら笑った。それを見ていた他のメンバーも笑い出す。

 ハジメもそれにつられて笑い出した。



 こうして、『Mysterious adventure〜Dr. Kyle's journey〜』は満員御礼、大拍手で幕を下ろしたのだった。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。感想&評価等よろしくお願いします。藤波真夏

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