第一話 お世辞でも良いとは言えない出会い
カムイ「出会いって必ず良いものとは限らないんだぜ」
「んー…これで、よし!」
あの事件から二日後、俺は住んでいるレオナルド村の掲示板にある張り紙を張り付けた。張り紙の内容は、こうだ。
「神様に文句を言いに行きたい方、俺と一緒に文句を言いに行きませんか?言いに行きたい人はミケロダッシュ・カムイまで。」
我ながらいい出来栄えである。きっと一人や二人、神様に文句を言いたい人が出てくるはずだ。それに、レオナルド村は王都ぐらい大きい村で、冒険者のサービスエリアのような村だ。ココならば沢山の人の目に付くから大いに宣伝が可能だ。
因みに俺の神様に文句言いに行こう作戦は、
Ⅰ まず神様に文句を言いに行くパーティーを組む。
Ⅱ そして頑張って神様のところへ行く。
Ⅲ 神様に文句を言う。何故俺の両親だけを殺したのか問い詰めてやる。
ぐへへ。俺って結構賢いかもなあ。こんな作戦思いついちゃうなんて…。
「あなたが、ミケロダッシュ・カムイ?」
「うえぁあへぇ!?あ、俺、そうです、カムイです…」
いきなり声を掛けられたので驚いて変な声が出た。とても恥ずかしい。死にたい。下を向きながら耳に熱が集まってくるのがわかった。おずおずと顔を上げると…あらビックリ!艶めいた漆黒のロングヘア。整った顔つき。少し鍛えられている美しいスタイル。尋常じゃないくらい、美女だった。でも此奴はモテないな、と一瞬で感じた。…人を蔑むような眼で、必死に笑いを堪えながら此方を見ていたからだ。
「何なんですか、アンタ。初対面の俺を笑いやがって…。」
必死に怒りを抑え、冷静になって美女に問う。
「敬語とタメ語が混ざってるんだけど。私を敬ってんのか違うのかよく判らないよ?まあそれはそうとして、私はあの張り紙の内容について君に会いに来たのだけれど。」
張り紙。こんなに早く効果が得られるなんて。先程の怒りも忘れて俺はその話に喰い付く。
「俺と一緒に、神様に文句を言いに行きたいんですか!?歓迎しますよ!」
「ん、まあそんなところ。嗚呼、そういえば私の自己紹介がまだだったね。私は堕天使イザベナ。元大天使だから、結構な戦力になると思うけど。後、神様についても知識豊富だから。神様に文句を言いに行きい理由は、何もしていないのに堕天させられたから。これから宜しく頼むね、カムイ。」
ウインクをしながら俺に挨拶をした。…此奴のウインクは無性に腹が立つという事がわかった。
「俺は、ミケロダッシュ・カムイ。レオナルド村出身。15歳です。ただの凡人です。戦力は考えたこともないです。神様に文句を言いに行きたい理由は、俺の両親だけが謎の死を遂げたからです。正直上手くやっていける気はしないけど宜しくな、イザべナ。」
爽やかな笑顔で、俺の自己紹介を終えた。
ご愛読ありがとうございます。
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