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掌編集  作者: 一太郎
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おなら

お腹が空いたので、冬の屋台でサツマイモを買うことにした。

「あつっ……」

 焼きたてのサツマイモは、もちろん熱い。でも冬の厳しい寒さには、これぐらいが丁度いい。

 道の端によって、その黄色いホクホクした身を、一口かじってみる。甘すぎない甘味にわたしはちょっと幸せな気分になる。そのままサツマイモを食べ進めていると、お尻の辺りにちょっと違和感。おならが出そう、と思ったけれど、まさかこんな住宅街で大きな破裂音を立てるわけにもいかず、すかし屁にとどめておいた。腐った卵のような悪臭がわたしの鼻をついてくる。自分のおならは思っていたよりもずっと臭い。

わたしは買ったサツマイモを食べ終えると、そそくさと家に帰宅した。



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