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掌編集  作者: 一太郎
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サンタクロース

白いひげを生やした、一人のサンタクロースがいました。

サンタクロースは毎年クリスマスになると、大きな袋を背負って子供たちにプレゼントを配って回ります。

ただしそれはいつも、子供たちの寝ている夜遅くに行われるのです。

伝説上の存在でもあるサンタクロースは、絶対に人に姿を見られてはいけないという宿命を背負いながら生きています。

姿を見られると、白い煙となってこの世から消えてしまうのです。

だから絶対にサンタクロースは、姿を見られてはいけません。一瞬で消滅してしまうのですから。

彼は普段、次の年のプレゼントの準備をするために、雪山の奥地に住んでいます。

普通の人が入れば凍えて死んでしまうような、とても寒い雪山です。

そこでは一部の例外を除いて、ほとんどの生き物が生きていくことができません。

トナカイですら、サンタクロースの特別な加護がなければ凍え死んでしまうでしょう。

と、一人のサンタクロースが、クリスマスの今日、煙突から一軒の家のなかに入っていきましたよ。

なんとか煙突を抜けることには成功しましたが、身体は煤で真っ黒です。

このあとこのサンタクロースはどうするでしょうか。

ああ、なんとそのまま、二階の子供部屋まで進んで行ってしまいました。

綺麗な床に、いくつもサンタクロースの黒い足跡がついてしまいます。

でも、サンタクロースは、ただ床を汚したわけではありません。

いままさに子供の枕元に、プレゼントのおもちゃの箱を置こうとしています。

「うっ、うう……」

 おや、とサンタクロースは驚きました。子供が目を覚ましそうだからです。これは大変な事態です。もし子供が本当に目を覚まし、サンタクロースの姿を見たら、サンタクロースはこの場で瞬く間に消えてしまいます。

 サンタクロースは慌てました。でも持ち前の冷静さを失うことはありませんでした。サンタクロースはこんな危機を、すでに何度も経験しているからです。

サンタクロースはさっと身をひるがえすと、来たときと同じ煙突の通って、素早く外に出ていきました。



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