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第7話 誘拐犯?登場


「な、なんだってぇぇ!?私のペガサスをエルフ国の便として使っただぁあ?しかもそのままエルフ国の危険地帯へ増援とさせる!?てめぇ!ざっけんじゃねぇぞぉぉお!」


 血眼になったリリーが係の兵士の胸ぐらを掴む。


「ひぃぃいい!も、申し訳ありません!!」

 意表を突かれた兵士は目を泳がせ、ひたすら謝る。アルバート達はリリヤを兵士から引き剥そうと頑張っている。

 周りの兵士達も何事かと見ているが、リリヤのあまりの迫力に近づけずにいるようだ。


「一旦少し落ち着こう!一旦少し落ち着こう!」

 ルージュは必死でリリヤを止める。


「ルージュの方が落ち着いた方がいいよぉ。ルージュ!?」

「ふへ?」

 カインの呼びかけにようやく反応したルージュ。どうやらリリヤの迫力に押されてしまっているようだ。


「まぁ、落ち着こうぜリリヤ。係の人を脅したって解決しないって!」

「チッ」

 アルバートの一言でリリヤは舌打ちをしながら兵士の胸ぐらから手を離した。

「明日直接エルフ国へ乗り込んで取り返しに行く…」

 そう言ったリリヤに兵士は、


「紹介状を…書いておきます…」


 と、力なく言った。


「王都もこんな状況だし、観光どころじゃねぇな…」

 問題が一段落したところでアルバートはこれからどうしようかと考えることにした。






「さて、明日からどうしようかなぁ…」

 アルバートはザイン・アルゼリンの家のリビングに居た。と言っても軍の敷地内で、兵士の宿舎の一角である。だが、かなりの広さである。


「う~ん父さん達は忙しそうだし、町もあんまり観光ムードってわけでもないしね」

 カインもどうしようかと考え得ている。


「このままじゃ家に帰ったほうがいいなぁ~。だけど、それじゃここまで来た意味がない!」

「そう言ってもなぁ」

「そこで、いい考えがある」

 カインのベッドを占領していたアルバートが近くの椅子に座っているカインに、


「連続誘拐事件の犯人を捕まえる!」

 と、言った。


「え?」

 カインは一瞬何を言われたのかと考え、数秒経って理解した後、


「な、何を言っているの!?そんな危ないことダメだよ!第一大人たちが何千人も探しているっていうのに今だ見つからないんだよ?僕達二人が探しても…それに王都に居るとは限らないから、王都から出るにしてもアルバートは身分証が無いんだよ?」

 カインは必死にアルバートを止めようとする。


 それをあざ笑うかのようにアルバートは懐から何かを出す。

「これを見ろ!」

 アルバートの手には金のケースが握られていた。


「何、これ?」

 カインはのぞき込むようにその金のケースを見る。


「これはルグニア王国親衛隊隊長承認の証明証だ。これでどこに行くのも俺はお偉いさんって訳だ。まぁ、家に帰って自分の証明書が見つかったら返さなきゃならんが…」

「そりゃそうだよね…」

「で、作戦がある」

「作戦?」

「おう。まずはカインが1人で町や森を歩き回る」


「ちょっと待ってそこからおかしい!」

 カインは慌てて否定する。


「それで俺が少し離れてついて行き、誘拐犯がカインの前に現れた時点で俺が捕まえる」

「いや、単純すぎるよ!そんなに簡単に捕まえられる訳がないよぉ!しかもそれ僕が犠牲になるかもしれないんだよね?嫌だよそんなの!」


「くぅぅ…なんて情けないやつだ…」

 アルバートはそう呆れかえる。


「そんなこと言ったって嫌だからね!それにお父さんに事件が解決するまで王都に居るようにと言われているんだ」

 カインがそう言い終えると、玄関のドアが開く音がした。


「誘拐犯か!?」

 アルバートが意気揚々と剣を握る。


「え!?嘘…」

 カインが身を固める。


「カイン~!帰ったぞぉ」


 家に入ってきたのはザインであった。


「なんだよ…」

 アルバートは肩を落とし残念がっていた。

「おかえり~お父さん」

 カインは笑顔で迎えた。


「おや?アルバート君、居たのか?もう遅いから早く帰った方が良い。いや、泊まっていくか?」

 とザインは勧めたが、


「いやぁ。いいっす!俺帰ります…」

 いろいろと思うように事が運ばないアルバートはもうどうでもよくなったようで帰り支度を始める。かなり気まぐれな性格である。

 アルバートはそのままカインの部屋へ自分の荷物を取りに行った。


「それよりお父さんすごく疲れているようだけど…」

 カインがそう言うとザインは、


「ん?あぁ。この都を囲っている塀に全体に探知魔法をかけてな…。魔力がスッカラカンになってしまった」

 ハハッと笑うザインであったが、愛想笑いのように力ない。


「この王都全体を?凄い…」

 カインは驚きそう呟いた。


「とにかく風呂に入って寝ることにするよ。カインも早く寝なさい」

 時計は既に夜の10時を過ぎていた。


「分かった。じゃぁおやすみ…」

 そう言ってカインは父に背を向けた瞬間。父の方向から風が流れた感覚がした。


「?」


 カインは後ろを振り返るとそこには今まで無かった170cm程の手足が無い像がそこにあった。像の体は棺桶のようになっており顔、体はザインの方を向いている。


「「な!?」」


 カインとザインは一瞬固まった。ザインも目の前に急に現れた像が何か理解できない様子であった。更にその像がどうやって急に現れたかもわからない。明らかに魔力や聖力といった特殊な力を感じ取ることができなかったからだ。


ギギッ。


 像の体の扉が開く。それはまるで像の体の中にザインを招き入るかのようだった。そう感じたカインは、


「お父さん!」

 カインは父を助けるために棺桶に向って体当たりをした。


ガンッ!


「あぐ!?」

 思った以上に硬かった像に逆に飛ばされてしまった。


ギガガ。


 不快な音をさせ首をカインの方に向く像。どうやら今度はカインを標的にしたようだった。


「カイン!?エレキスリープ!」

 カインの危機にザインが動き、雷系拘束魔法を放った。だが、


「…!?出ない?魔力切れ…そんな馬鹿な!そこまで枯れ果ててはいないぞ!」

 焦るザインの方向を再び見る像だが、体はまだカインの方に向いている。


「エレキスリープ!!」

 今度はカインが大声を上げて魔法を放った。が、


「えぇぇ!?」

 カインからも魔法は出ることがなかった。


「なんで…?」

 カインの頭も混乱し、何をしていいのかわからなくなる。


「カイン、頭を下げろ!」


 後ろからアルバートの声がした。異変を嗅ぎつけたアルバートが部屋から出てきたのだ。

 カインは頭を下げ、両手で頭部を守る。その上をアルバートの剣が飛び、その剣が像の首を直撃する。剣は像の首と体のつけ目に挟まる。

 動きが止まった像に追撃しようと、更に鞘を持ったアルバートがカインを跨ぎ像にめがけて突進する。

 そして、棺桶の中に鞘を思いっきり突っ込み中をグリグリと回す。


ガンガン!


 金属音が響きわたる棺桶の中、ザインは近くにあった椅子を掴み、像の背中に叩きつける。


バギャン!


 と、鈍い音がして椅子が壊れる。そして更に近くにあった花瓶、本などを投げつけ、手元に何もなくなると今度はアルバートが投げた剣を像の首から抜き取り、

「離れていろ!」

 と、アルバートとカインの二人にそう言うと、何度も何度も像に切りつける。

 そしてザインは最後に勢いを付け、横から振った。

ガシャン!

 鈍い音を立てゆっくりと倒れていく像。壁がすぐ近くにあっため、壁に当たって今度はザインの方向へと倒れていった。

 ザインはそれを避け、完全に横倒しとなった像の扉を無理矢理締めその上に乗る。

 そしてザインは、

「二人とも、早くどこか近くの兵士に連絡を」


「わ、わかった」

 ザインに言われ返事をしたカインは、アルバートと共に急いで家から出ていった。


「いったいなんなんだこいつは…。これが誘拐犯だというのか?…まさか噂の古代技術!?いや、そんなはずは…」

 ザインは何かに気づいたらしくそれを頭の中で必死に否定しようとしていた。





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