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第51話 この惑星の真実



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「あら?精神崩壊を起こしたのかしら?」

 カトリーヌはモニターに映るゲルベックを見ながら言った。


「いや、おそらく逆流…と言っていいのか?この場合情報の収集でいいのだろうか…。まぁ、流れてきた膨大な情報量に耐えられなかったのだろう」

 Dr.ジュパーソンがそう言うと、


「なるほどねぇ。確かにゲルベック並みの魔術師が一人でやる作業じゃないしぃ」


「だが、強化したおかげで意識はあるようだな。さすがと言うべきだろうが、これでは皇帝の仕事は難しいかもなぁ…」

 二人はモニターの先に居るゲルベックに向け冷ややかな笑いを送った。

 それでもカトリーヌは少し気になったのか、


「ちょっと様子を見てくるわ~」

 と、部屋を出ていった。




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 ゲルベックの頭の中に絶えず古代の記録が入り続ける。

 映像、音声、文。

 様々な情報がゲルベックの頭の中を駆け巡った。



「<現在、我々『ジュターン開拓船団』は、『アスロエラ銀河団』に到着しました。我々は大きな一歩を―――>」





「<攻撃を受けている!?宇宙賊ではない?では、一体どこのバカ国家だ!?…なっ!『エセル帝国』と『ソドネス連邦』…だと?ここは…どこの国家にも所属していない中立の中域ではなかったのか…>」





「<これは決してドラマや映画の映像ではありません!現在我々ジュターン開拓団は攻撃を―――>」




「<我々は分断されました。これより強制ワープを開始します>」

「<正気ですか!?団長!どこに出るかわからないのですぞ!?>」

「<承知の上です。ですが、本国との連絡が取れない今のまま待っているだけでは…>」



「<ワープ成功!>」



「<未知の惑星…だと…?>」



「<とにかくこの惑星を拠点としましょう。まだ手付かずの惑星だ。資源もたんまりあるはずです>」



「<ソドネス連邦が攻めて来ました!!>」

「<SOS信号を辿ってしつこく我々を殺しに来たのか!?馬鹿なのかあいつら!!>」

「<攻撃開始、攻撃開始!!>」




「<月基地が…崩壊したのか…?では、生物兵器の投入は…?>」

「<できませんでした…>」



「<徹底抗戦です!我々はこれより各自人体の強化を行い、奴らに対抗するのです!強制は致しません。人体強化部隊は有志のみです!>」




「<――年――月――日。ソドネスの連中は手を引いた。だが、惑星の都市部の機能は壊滅…我々の文明は…下手すれば石器時代にもどる可能性が…ある―――>」








 ゲルベックは再び大量の魔力を放出し、古代遺跡とリンクし過去の映像を再確認していた。

 古代技術を探す為、映像の中から少しでも自分が追い求める技術のヒントを探そうとした。


 そして、ゲルベックが見た古代人の映像でゲルベックは古代人の文明の崩壊の真実を知った。


 古代文明の崩壊の理由はこうであった。




 今から二千年以上前、『宇宙連邦』と呼ばれる様々な惑星の人種が共存する国家があった。

 宇宙連邦は当時、未開拓地域へ開拓船団を派遣した。派遣した地域は中立地帯で、開拓行為も許可されている場所だ。

 ここで新たな星を見つけ、資源の採掘や人類の繁栄などを目的とし、計三つの種族が船団に乗り、総勢九億人が新天地を目指した。


 しかし広い宇宙を移動している途中、事件が発生する。


 航行地域付近に存在した二つの国家、『エセル帝国』と『ソドネス連邦』が戦争をお越し、本来世界条約で禁止されていた『無許可の中立地帯での戦争』を起こしたのだ。

 偶然戦争が起きた中立地帯を航行していた開拓船団は、戦争に巻き込まれた。

 最初に攻撃してきたのは『ソドネス連邦』であった。

 開拓船団は必死に自分達が敵ではないとアピールしたが、戦場の混乱でソドネス連邦軍の一部の部隊から攻撃を受けた。それでも必死に敵ではないと言い続け、エセル帝国に助けを求めた。

 だが、ソドネス連邦の勢力地域から来た船団をエセル帝国は敵と認識し攻撃を行なった。

 行く方向全てが戦場であった開拓船団に残された道は、武力を行使し戦場を突破することであった。

 戦場を突破し、近くの宇宙連邦と同盟関係にある国家へ逃げ延びる為に。


 しかし、そう簡単に事は運ばず、船団の戦力は予想以上に打撃を受け、更に船団は一割と九割の三つに分断。分断された船団は猛攻に遭いながらも三分の一が戦争地域から脱出。同盟国へ避難することが出来た。

 だが、三つに分断された内、最も少ない2億人のグループはソドネス連邦の攻撃に遭い、全員死亡。

 残りの船団もソドネス連邦側の猛攻に遭いながらも偶然無人の惑星を発見。民間船は惑星に着陸が成功。しかし、全ての超大型民間船は攻撃を受け、不時着というかたちで着陸したため、数億人を乗せての再出発は不可能。ワープに必要なワープゲート展開装置が付いていた船は全て撃沈、もしくは装置自体の戦闘による故障のため宇宙連邦領内や同盟国領内に入ることは不可能となってしまった。(ワープは全隻できるわけではなく、ワープ装置が付いている船に追従して他の船もワープする仕組み)



 開拓船団の人々は、降り立った惑星を新天地とし『ジュターン』と名付け、この惑星から宇宙の彼方にいる仲間達のもとへ、再出発をすることを決めた。

 残存していた船団警備隊は直ちに周辺小惑星及び月を軍事拠点とし、防衛線を築いた。

 既にその時にはソドネス連邦やエセル帝国から攻撃はなかった。ソドネス側は開拓船団の居場所を把握していたが、エセル側との大規模戦闘の作戦が近付いていた為、攻撃する事は無くほぼ見逃されていた。



しかし、すぐにソドネス連邦から攻撃が再開される事になる。



 同盟国へ逃げ延びた船団が本国の宇宙連邦に報告。宇宙連邦政府は戦争の停止を求め、残りの開拓船団の捜索しようとしたが、ソドネス連邦及びエセル帝国はその要求を無視。

 これにより宇宙連邦政府はソドネス連邦及びエセル帝国に宣戦布告。宇宙連邦とソドネス、エセル両国及び両国の戦時協力同盟を結んでいた国々で戦争が開始された。






 一方開拓船団の警備隊は、ソドネス連邦にとって敵の戦力となったため、


「敵である宇宙連邦軍の基地が我が国領域のすぐ近くに存在する!」

 と、ソドネス側が開拓船団を再び攻撃対象とした。そして開拓船団は再度猛攻に遭った。


 開拓船団の住民は残存戦力とその星にある資源を使い、できる限り抵抗。そして徐々に資源と技術が戦火によって消えていった。








 五年後、この戦いは宇宙連邦の勝利で終わった。

 ソドネス連邦とエセル帝国は共に崩壊。ソドネス、エセルに協力していた半数の国々も次々に崩壊していった。

 ソドネス、エセルは宇宙連邦に吸収されたが、ソドネスは悲惨な結末になった。

 本国である母星の七割が焦土と化し、人が住める状態ではなくなってしまった。


 戦後の混乱、ソドネス連邦過激派の最後の足掻きで開拓船団の行方の痕跡を徹底的に消されてしまった事や、情報があった軍事施設全てが宇宙連邦自らの攻撃で消滅。残りの開拓船団の手掛かりは発見できなかった。というよりも、開拓船団は行方の痕跡を消されたどころか、

 「開拓船団攻撃はエセル帝国が中心となり、開拓船団を消滅させた。我々は開拓船団への攻撃は殆ど行なっていない」と発表されてもいた。

 エセル帝国はこの発表に、

「自分達は開拓船団を全滅させるまで攻撃していない、開拓船団攻撃はソドネス連邦が中心となり、開拓船団を消滅させた。我々は開拓船団への攻撃は殆ど行なっていない」

 と声明を出し、ソドネスとは逆の発表をした。

 宇宙連邦政府は、


「ソドネス連邦とエセル帝国が開拓船団を崩壊させた」


 と発表。

 勿論連邦政府は開拓船団の残骸捜索を行なったが、ソドネス連邦とエセル帝国との戦争終結直後、再び宇宙連邦は別の国と戦争が起き、捜索を一時断念。

 三年後にその戦争も終結したが、そのまま捜索は一定の規模でのみしか行われなかった。

これにはソドネスやエセルが発表した「全滅させた」という発表も少なからず影響があったのかもしれない。


 一方開拓船団の方は、科学技術の殆どを戦争によって失ってしまい、宇宙へ助けを求める通信技術すらなくしてしまっていた。

 こうして開拓船団は不時着した星で新たな歴史をスタートせざるを得なくなった。




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