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第47話 ガルゼニスVSバルケット



「(ここは…!?。おっと…)」


 ガルゼニスは広い部屋の物陰に隠れていた。すぐ近くにオーラックの洞窟で戦った『バルケット・ジンクス』が居たのだ。




「第五大隊は城を攻めている連合空軍迎撃の増援へ迎え!敵に古代技術を使用できる奴がいるらしいからな。この先へ入れたら大変な事になるかもしれん」

「しかし少佐、我々が出ると地下都市の警備員が…」

「あんな誰も住まない倉庫代わりの街の警備なんて必要ない。ここに居る傀儡部隊は俺にと一緒に待機。お前たちは外へ向かい、侵入してきている敵部隊を迎え撃て!」


「了解!!」


 バルケットは指示を出し人間の兵士や傀儡達を誘導している。


 どうやらバルケット以外の人間は皆この部屋から出ていくらしい。現在バルケットを守っているのは傀儡(大)だけである。


 出ていくべきか、それともここへ隠れているべきか。


 ここで隠れていても前へ進めない。


「くぅ…」

 ガルゼニスは思い切ってバルケットの前に出ることにした。


「おぉ!?魔界国王子ガルゼニス殿じゃぁないか」

 突如現れた敵の重要人物にバルケットは歓喜した。


「貴様らの悪行もこれまでだ」

 そうゲルベックが槍を握り締め言うと、


「おいおい、俺が…いや、俺達が悪党?冗談言っちゃ駄目だよ。悪党っていうのはお前たち王族の方じゃねぇか?」

 本気で驚いた顔をして言うバルケットにガルゼニスは、

「どういう事だ…」

 と問いかけた。


「う~ん…。まぁ、王子様のお前じゃ分かんねぇとは思うけど、ペインルージ皇帝陛下も言っていただろ?この国どころか世界中の上層部の人間は古代技術た歴史を隠蔽しているってさ」


「隠蔽?我魔界国には古代遺跡から出てきた重要な発見はすぐに研究しているし発見者を讃えたりもしている」

 ガルゼニスがそう反論すると、バルケットは本気で呆れた顔をして、


「マジで何も知らないのな…。なら教えてやるよ。昔話になるが、俺の親父は文部省の人間でなぁ。ある時重大な発見をしたんだよ」


「発見?」


「あぁ、その発見ってのは『火薬』っていう道具だった。その火薬ってのは術を使わずに簡単に爆発を起こせる粉らしくてな。文部省の上層部は戦争に使用できる危険な兵器として認定した。親父は山に道を簡単に作るため岩を削ったり畑に来る獣を脅かすなど平和利用での製造を勧めたが、許可は下りなかった」

 バルケットはそう言うと拳を握り締め続けて、


「まぁそれはいい。だが、親父はなんとか平和な利用方法はないものかと研究していた最中、火薬の製造方法を発見した遺跡である日死体で発見されたよ…」

 悔しそうに口を歪ませたバルケットは更に、

「殺されたんだよ。刺殺だったらしい」

 と、言った。


「なっ!?」

 ガルゼニスはその話に息を飲んだ。

 バルケットの口ぶりから殺された理由が分かってしまった。

 そう。単なる口封じとして殺されたとバルケットは言いたいのだろう。


「おかしいだろぉ?なんで殺されなくちゃならない?殺すぐらいだったら遺跡を封鎖しちゃえばいいじゃん。明らかに見せつけだろ?他の遺跡研究者も同じように調べていけば殺すって」

 バルケットは呆れたように言い、

「あぁ、そうそう。またあいつに余計なことをと言われるかもしれないけどさ、キャリーって覚えてる?俺と一緒にオーラックの洞窟に居た女。あいつの親父も実は一緒に殺されたんだよねぇ。俺の親父と同じ研究をしていた人だったんだ」

 ガルゼニスからは言葉が出なかった。


「んでさ、聞くところによるとエルフ国や魔界国でも同じことが起こっているらしいじゃん。俺たちのように復讐のために兵士になった奴もいたよ」

 魔界国でも同じ事が起こっていたという事実を聞かされてガルゼニスはそれを認められないという気持ちになる。


「信じられないって顔だな。まぁその顔だとあんたが知らないってのは本当なんだろうよ。だが、王族はこれから知っていくことなのかな…。それが正しいって」

 バルケットがそうガルゼニスを冷ややかな目で見て言った後、


「俺の言うことは信じられないかもしれないが、それはそれでいいよ。だがそれが俺達の戦う理由だ…いや、ちょっとカッコ良く言ってみたけど、俺やキャリーのやっている事はペインルージ陛下のように世界を良くしようとしている訳じゃなくて、ただの復讐かもしれないなぁ~」

 ハハッと寂しそうに笑うバルケット。


「だったら…」

 ガルゼニスが口を開いた。

「だったらここまでしなくてもよかったんじゃないか?」

「うん?」

 ガルゼニスの言葉にバルケットが首をかしげる。


「ゲルベックの演説だけで良かった。あれで全世界の民は一気に自分の国に不信感が出る。誘拐、自分達から戦争を仕掛けるなんてしなくてもよかったんじゃないのか?」

 ガルゼニスは必死に訴えた。まるで自分達は悪くないという理由を必死に探しているのではないかと自分自身を疑ってしまうほどに。


「確かに、そうなんだよな。だけど、そう簡単にいかないと思うぜ?」

 バルケットは微笑んだ。確かに簡単にはいかないだろう。バルケットが言うことが本当ならば、今まで古代技術を隠してきた上層部に、ゲルベックは暗殺されて終わりかもしれない。バルケットもキャリーも訴えるだけ訴えて真相に迫ったら消されてしまうかもしれない。


「まぁ、俺の戦う理由を聞いて、それでもここを通りたいと言うんなら相手するぜ?」

 バルケットは剣を構え、自身の剣に聖力を込める。


「…もし、お前の事が本当ならば大変な事だ。だったら私が変えてみせる。戦わずして世界の古代技術を管理してみせる!だが、今は…今だけは戦おう。大切な人が傷つかないようにするために。これ以上戦争をして憎しみを増やさない為に!」

 ガルゼニスもそう言い終えると自身の槍に魔力を込める。


「どうせ戦うんだったら『カザル・ダーウィン』の娘の方がよかったな。カザルの娘なら聖術を使えるだろうし、術剣士同士の戦いをしたかったぜ。お前はキャリーが相手の方が面白かったかもな」

 ククッとバルケットは笑い言ったが、

「いや、正直言うお前のことは、嫌いにはなれないな…。倒したくないぜ。俺が思っていた王族とはだいぶかけ離れているんだよ」

 と、肩の力が抜けたような表情をした。


「お前みたいなのがもう少し早く生まれて、世界に影響を与えてくれたらよかったなぁ~」

 そんな事を言いつつもバルケットの剣の聖力はどんどんど上がっていく。


「んじゃ、行くぜ」

 バルケットは大人しく控えていた後ろの傀儡達と一緒にガルゼニスに狙いを定める。


「私も自身で抑えていた魔力を開放しよう…」

 ガルゼニスはそう言った途端膨大な魔力を放出する。


「スゲェなぁ。だが引くわけにはいかねぇ!うぉぉおおおおおお!」

 バルケットと傀儡達が突進し、攻撃を仕掛けてきた。まるで一つの塊である。


「いくぞ!お互いの誇りの為に!やぁああああああああ」

 ガルゼニスも槍をバルケットに向け突進した。


「うぉぉぉぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!」

「やぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!」


 お互いが激しくぶつかり合う。

 バルケットに取り巻いていた傀儡達がガルゼニスの魔力で吹きとばされていき、バラバラになって落ちていく。

「ペインルージ陛下ぁぁああああああ!ばんざぁああああああああいぃぃぃいい」

「私達は平和を実現してみせる!私はそのために生きる!勝つ!道を示す!」








ズドンッ!







 ガルゼニスが急激に魔力を上げ、その衝撃で部屋全体が揺れた。







「う…ぐ…」

 バルケットの腹が大きく削がれ、多量の血を流し倒れた。




「はぁ…はぁ…はぁ…」

 ガルゼニスは息を荒くさせ、座り込んだ。

 周りには傀儡達の残骸だらけで、どれも魔力は消し飛んでいた。



「なぁ…」

 バルケットから息絶え絶えの声が聞こえた。


「なぁ…王子様よぉ…」

 バルケットに呼ばれガルゼニスはバルケットの傍まで近寄った。


「なぁ…。もしさ、もしこの戦いでお前達が勝ってさ、お前が魔王になって発言力強くなったら…俺みたいな人間を作らないようにしてくれるかな…。古代技術を正しく使い、管理できる世界…造ってくれないかな…」

 バルケットのその願いに対し、ガルゼニスは、


「約束しよう。私が王になった暁には、必ずお前が今言ったような世界にしてみせる。それには戦争は必要ない。ただ言葉だけで実現してみせる」

 と言った。


「ハッハッ…。もし…本当にそれができたら…ペインルージ皇帝よりもスゲーや…」

 バルケットはその言葉を最後に、安らかな顔をして息を引き取った。





「天で見守っていてくれ…。私が、いや、私達三国の王子達が世界を変えてみせる」

 ガルゼニスは立ち上がり前へと進んでいった。












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 とある場所のとある研究所。


 膨大な魔力が充満した部屋の中で大きな水槽やモニターなどが並び、ウォンウォンと奇妙な音を鳴らしていた。


 そこには人影が二つ。

 若い女と男の老人が居た。

 カトリーヌとDr.ジュパーソンの二人である。


「あら?今かなりの魔力反応があったわねぇ。あの子かしら?」

 カトリーヌはモニター越しでガルゼニスを見ながら言った。


「魔力反応がどうかはワシにはわからんが、お前さんがそれほど気になる量の魔力の持ち主ならば使えるかもしれんな…。どのくらいの量だ?」

 Dr.ジュパーソンがそう尋ねると、


「すごいわ。一度に放出するレベルは私の三千分の一だけど、魔力量は百分の一位ある」

 とカトリーヌは答える。


「百分の一!?そりゃ凄いなぁ、かなりの量がある。この星で一番強いのではないか?」

 Dr.ジュパーソンが計測に入る。


「ふふ。まだまだゲルベックにはかなわないわよ。成長すれば逸材になるとは思うけど…」

 カトリーヌはそう言うと、


「確かに。少しの間ワシはここに拠点を置くことを考えているから、丁度いいかもしれない…」

 そう言うとDr.ジュパーソンは計測器を台に置き笑みを浮かべた。


「基地を早速使うのね?」


「そうだ。ゲルベックが一回目の術で見つけたあの場所をな。まさかあんな所にあったとは…」

 そう言ったDr.ジュパーソンの手には月のホログラムが映し出されていた。




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