第43話 ファルゼンVSロイド
ファルゼンは柱だらけの部屋に出た。
「このような作りの遺跡は初めて見ますね…」
人一人が隠れられそう柱ばかりがあるがかなりの広さだ。こんなところで待ち伏せでもされたらひとたまりもないだろう…。
「よう。また会ったな小僧」
ファルゼンは声がする方向を振り向くと、光の弾が迫って来ていた。ファルゼンはギリギリでそれをかわし、
「イザ・ロイドですか…」
ファルゼンがそう言うと、物陰から顔を出したのは弓使いの聖術師『イザ・ロイド』が顔を出した。
「黙って撃っておけば私を倒せたかもしれないのに…。勿体ない事をしましたね」
いつでも柱に隠れられる体制を整えながらファルゼンがそう言うと、
「いやぁ~、せっかくいい獲物が来たのに、そんな簡単に終わらせたらつまらないだろ?しかし、あれを避けたかぁ。やるなぁ…」
そう言ったロイドの右手にはなにやら大きな物を持っていた。
「大型聖術式エネルギー銃!」
ファルゼンは息を呑む。なぜならばロイドの手にある物体はファルゼンが古代の遺産で発見した中で一番の凶器となりえる弓矢よりも速く、弓矢よりも攻撃力のある弾を撃てる兵器だったのだ。
「お!こいつを知っていたか。さすがはファルゼン・スタンフィー。聖法省の人間のくせに俺たち文部省の人間より古代歴史に詳しいだけはある。ならわかるだろう?今お前はひじょぉーに不利な状態だ。俺がさっき撃った弾は低速で攻撃力も低かった。こいつはさっきの20倍の速さで弾を撃て、攻撃力も10倍だ。さ・ら・に威力は落ちるが毎秒3発の連射機能付きさ」
コンコンと自身の武器を拳で叩き、得意げそうにファルゼンを見るロイド。
「知っていますよ…。なにせそれは私が発見したんですからね…」
ファルゼンは珍しく顔を歪ませロイドをにらみながら言った。
「そーか、そーか。そいつは知らなかった。じゃぁ、こいつの威力を知っているならば引くべきじゃないか?あんたはここで死ぬには惜しい人間だぁ。後々ペインルージ陛下のお役に立つ時が来るだろう」
「生憎ですが、私はここで引き下がり、狂者の配下に下るような人間では無いつもりです。あなたを、あなた達をここで倒します」
ファルゼンはそう言うと、聖力石をロイドに投げつける。聖力石には細い糸がつながっており、その元はファルゼンの手の中に握られている。
「はぁ!」
ファルゼンが瞬間的に線伝いに聖力石に聖力を込めると、勢力石は爆発した。
「ちぃ。また爆散石かよ!」
ロイドは咄嗟に目を左手で守り、右手に握り締めている大型聖術式エネルギー銃をファルゼンが居た方向へ連射する。しかし、ロイドが撃った方向にはファルゼンは既に居なかった。
「ふん、隠れたか…。まぁここは隠れやすい場所だしな。ゆっくりと見つけ出してやるよ」
ファルゼンはロイドのすぐ近くの柱に身を隠していた。
「(さて。これだけ柱があるので隠れるのには助かりましたが、どうするか…。あの武器は連射状態ではこの柱を一発で開けることは難しいはず。しかし、フルパワーで発射すれば話は別。あの武器は術者の聖力を吸って動くか、聖力を入れた筒を入れて動かすタイプ。発掘時には一緒に筒が付いてきていましたので、あれに聖力を込めればいいのですが、今見ると筒が付いていない。つまりロイドは直接聖力を使っている訳ですが、ロイド程の聖力の持ち主ではそう簡単に聖力切れは起こさない…。ならば隙ができるとすれば連射モードと単発モードに切り替えた時…)」
ファルゼンはそう考えを巡らせる。
「さーて、何処かなぁ!」
ロイドは近くにある柱をフルパワーで打ち抜く。
「はっはっは。いつまでも隠れていると、柱と一緒に吹き飛ばしちゃうぞ~!体の形をある程度とどめておきたいって言うならば素直に出てきた方が良いんじゃないか?」
ロイドは声高らかに笑い次々と柱を撃ち抜く。
「ファルゼン、ここはどんな部屋か知っているか?実は俺も詳しくは知らないんだが、この部屋は古代人が電気の力でエネルギーを充電させ天に放出する為に使用するらしいんだが、それによりどんなことが起きるのか全く分からないんだ」
ロイドがいきなり語りだした。
「すごいよなぁ、古代人は。何考えていたんだか分からないよ。ファルゼン、一緒にこの謎解いていかないか?ワクワクしないかこういうの。いくつもの遺跡を発見してきたお前ならこの気持ちわかるだろぅ?」
ロイドがファルゼンに語りかけるがファルゼンからは反応はない。
「ずっと隠れていられると思うなよ?ここの柱は全て破壊しても別に天井が落ちてくる訳じゃない。と、言うか天井と接合していないんだ」
ロイドがそう言うと、
「そうか。それを聞いてよかった」
いきなり左横から出てきたファルゼンに銃を向け銃を構えたロイドだったが、
「レインボーテイル!」
ファルゼンが左手から虹色に輝く鞭のように扱えるグネグネと動く聖術を放つ。
「おふぅ!」
慌ててロイドは回避する。柱が次々と破壊され倒されていく。
「狙いが定まらなきゃ連射だ!」
ロイドはそう言うと連射モードに切り替え、ファルゼンが居る方向へ撃つ。
「はっ!」
ファルゼンはロイドが銃のモードを切り替える為に一瞬できた時間で右手に隠し持っていた聖術で反応する爆散石を投げ、ロイドの目の前で爆発させる。
「おぉう??」
再び目を瞑ってしまったロイドはファルゼンと自分が倒した柱の破片に足を取られ転んでしまう。
「やぁぁあああああ!」
そこにファルゼンはレインボーテイルを振り下ろす。
「や、やめろぉぉぉぉぉおおおお!グベブフェェ!」
ロイドは体を斜めに切り裂かれ絶命した。ロイドが最期に見た光景は七色に輝く美しい光であった…。
「ふぅ。狙いは上手くいったようですね…」
ファルゼンはそう言って目を見開いて絶命しているロイドを見下ろした。
「いくら銃の性能が良くても、戦闘を殆ど経験していない貴方の腕ではこんなに歩き辛い場所を移動するなんて無理だったんですよ…」
ファルゼンとロイドの周りはロイドが破壊しまくった瓦礫によって平らな床はむちゃくちゃになっていた。
ファルゼンはため息を吐くとそのままその場を歩き去った。




