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第39話 敵の城へ乗り込む



 ゲルベックの城の上空付近へ着いたが、敵の攻撃が激しく城へ降り立つ事ができなかった。

 弓、魔法。あらゆる攻撃がアルバート達が進む道を妨害したのだ。


「くぅ、敵の対空攻撃をくぐってなんとか城へ!」

 アルバートはそう言うと先陣を切ってドラゴンと共に急降下を開始した。


「ん?あそこの攻撃が薄いな。よし、いけるぞ」

 アルバートの左目は『龍の目』となっており、ドラゴンと会話ができる状態となっていた。

「<了解だ。アルバート>」

 と、アルバートが現在乗るドラゴンが返答する。

 自分が行きたい方向へスムーズに指示ができるのはとてつもない利点だ。

 ちなみにこのドラゴンの名前は『モモ』ちゃんだ。


「うりゃぁああ!」

 アルバートは城の近くまで行くと飛び降り、傀儡達を切り倒して行く。

 ドラゴンも火を吹き傀儡達を燃やしていく。


「おおぉ。アルちゃんやるなぁ」

 同じくドラゴンに乗ったガルゼニスも意気揚々となり、城に向って急降下を行う。


「お、王子!?」

 アランも慌てて追いかける。


「まったく…」

 グリフォンに乗ったルージュは呆れながら後を追い、他の隊員も後に続く。


「このぉぉおお!」

 アルバートは次々と出てくる傀儡を切っては蹴飛ばし、叩き割って城から突き落としたりを繰り返す。


「流石に数が多いなぁ」

 グリフォンに乗ったカインはそう呟くと、アルバート達が居る場所以外から弓や術を飛ばす傀儡に対し雷魔法で攻撃を行う。

 遠距離攻撃組みであるカイン、リリヤ、ファルゼンは次々と遠方から傀儡達を倒していく。


「いよっしゃぁぁぁあああ!!!」

 アルバートはドラゴンから飛び降り、城へと降り立った。

 皆もそれに続く。


「よし、皆は上空の敵を叩き落とし続けてくれ!」

 と、アルバートはドラゴンに指示を出す。


「<うむ、ご武運を。アルバート>」

 モモちゃんはそう言うと他のドラゴンやグリフォン、ペガサスを連れ空中戦へと戻る。

 本当に便利なアルバートの『龍の目』である。


「へへっ。ここまでくれば後は…んお!?」

 いきなりアルバートの目の前にオーラックの洞窟で戦った傀儡(強)が現れた。


「あの時は苦戦したが、今度は!」

 アルバートは左目に気を込める。すると、自身の気が高まりいつもより力が上がる。


「うっしゃぁああ!」

バシッ!

 瞬時に傀儡(強)と剣を交じわせ吹き飛ばす。傀儡は閉められている大きな扉の方向に倒れ込む。


「とっどめぇえええ!」

 アルバートは剣に纏わせた気を開放させ、傀儡(強)に向け放った。


ドガァァン!


 傀儡と一緒に扉が破壊された。


「お?」

 扉の向こうには扉を守っていたであろう傀儡達が一緒にバラバラになっていた。


「すっごい威力だ…」

 ガルゼニスはポカンと口を開けたまま言った。

 オーラックの洞窟であれだけ苦戦した傀儡(強)は、今となっては一撃で倒せる程にアルバートはパワーアップしている。


「王子!よそ見している場合じゃないですよ!」

 ガルゼニスはアランから注意された。


「そ、そうだな」

 慌ててガルゼニスは剣を構え直す。しかし既に傀儡達の殆どは倒されていた。


「よっし。突入だぜ!」

 アルバートは剣を高らかに上げ、全員に指示を出す。


「この隊は王子の隊なのに…」

 アランは気に入らないという顔をしてそう言ったが、

「はは。実質アルちゃんリーダーだろぅ」

 と、ガルゼニスが言ったことによりアランは渋い顔をして黙ってしまった。


 そして、全員城の中へと突入していった。










「うっりゃ、うっりゃ!」

 アルバートは順調に傀儡を倒していったが、左目に違和感があることに気が付く。


「ん~?」

 一通り片付いた後、左目へ流している気を止める。すると違和感は消えた。


「なにかあったのか?」

 ルージュは心配そうにアルバートに尋ねた。


「ん~、なんか左目がなぁ」

 と、アルバートは言う。


「まだ完全に繋がってはいないのではないですか?やたらに使うのはまずいのでは…?」

 ファルゼンはそうアドバイスしたのに対し、


「そうだなぁ~。強敵が現れたら使うか…」

 と、力を温存させておく為にも、アルバートは左目に眼帯をつけた。


「気を止めるのはいいとして、眼帯まで着けるのか?」

 リリヤはそう疑問に思いいったが、

「いや、なんか目を休ませた方がいいかなって思って…」

 と、アルバートは言った。

 平衡感覚を保てなくなるのではないかとルージュは心配したが、アルバートはそんな様子もなく順調に傀儡を倒していった。

 眼帯を付けたのは決してカッコイイと思ったわけではない。おそらく。


 眼帯を装着して左目を休ませていたアルバートはなぜか左目に気を送っていない状態でも体が軽く、普段なら感じ取れない魔力も僅かだが分かり、傀儡が死角から攻撃してきても対処できるようになっていたのを不思議に思っていた。




 傀儡達の数は中へ行くほど少なくなっているような気がした。おそらく一ヶ所にまとまっているのか、数が不足しているだけで、外で防衛行動をとっているのが殆どなのかもしれない。

 しばらく進んでいるが傀儡達に会わないのが不気味に感じてきた。


「あれは?」

 と、先行していた一人の連合軍の兵が気付く。

 大広間に出たかと思うと、扉が二つあった。


「こっちは開きます」

 連合軍の兵士数人が向かいの大きな扉を開けてみる。


「こっちは…どうあけるんだ??」

 横にある更に大きな扉は開け方が分からないようだ。


「ちょっと見せてください」

 ファルゼンが開かない扉の方へ近付き、


「…!?これは!」

 と目を見開き驚く。


「なんだ?何があったんだ?」

 アルバートは気になり近付く。


「リリヤ。懐かしいものがありましたよ」

 ファルゼンはニヤリとリリヤに笑ってみせる。


「なんだよ…、気持ち悪い。この光っている板がなんだ?」

 リリヤは首を傾げ文字が書かれている光った板を見る。


「これは遺跡の…あのリースの森で人形と戦った部屋にあった部屋のパスワードの石版です」


「あぁ。あの鍵がどうのこうのと言っていた扉か…。鍵は一緒なのか?」


「どうでしょう…」

 ファルゼンはそう言うと石版を指で何ヶ所も押す。


ググ…ガガガ。


 扉はゆっくりと開いた。

「あらら、まさかあの軍事施設のパスワードと一緒とは…」

 そう言ったファルゼンは苦笑いをしていた。


「う…」

 一同は唖然とした。

 その部屋は辺り一面傀儡だらけであったのだ。

 しかし全員武器を構えるが、傀儡に魔力反応は無い。


「なんだ?動かないぞ?」

 ルージュが不思議に思うと、


「魔力がまだ入っていない傀儡のようだね…」

 と、カインが言った。


「対火系魔術が施されていないから普通の傀儡よりは勢いよく燃えると思う」

 そう言うと、カインは火系の魔法を唱え、傀儡達に火を点けようとした。


「ちょっと待ってください」

 ファルゼンはそう言うと、辺りを確認する。

「これは…。よし」

 ファルゼンは部屋の中にあった入口にあった石版と同じような石版を指で押しまくる。

 すると、今まで壁だと思っていた場所が開き、窓が出てきた。

 ファルゼンは出てきた窓を開き、


「では、カイン火を付けてください!」

 と、指示を出す。

「よし!」

 カインは魔法で火の弾を撃ちまくる。

 またたく間に広がっていく火に驚いたアルバートは、


「やっべ。煙!早く閉めろ」

 アルバートは慌てて扉を閉めるように指示を出す。このままでは煙で息ができなくなってしまう。


「はいはい。皆さん、全員外へ出ていますね?」

 ファルゼンはそう確認をとった後、扉を閉めた。


「煙はこっちまで出てきませんね…」

 ファルゼンは扉を見ながら安堵していた。


「なぁファルゼン。なんで窓なんて開けたんだ?」

 アルバートがそう尋ねると、


「締め切ったままだと酸素が足りなくなって燃えなくなってしまいますからね」

 と答えた。


「酸素?あぁ、酸素ね酸素。確かに必要だわ、酸素は」

 アルバートがそう言っているのを横目で見ながらファルゼンは呆れたような顔になる。


「アルバート。知ったかぶりは止せ…」

 そう言ったルージュの目は哀れみの感情が込もっていた。


「こっちの扉の先の廊下にまた扉があるようです!」

 先行していた兵士達が戻ってきてアランに報告している。


「普通の扉か?」

 そうアランが聞くと、


「いえ、この大きな扉のように特殊な構造となっております」

 と、兵士の一人が言った。


「見てみましょう」

 ファルゼンは扉の前まで進んで行った。

 部屋を出ると広めの廊下が続いており、その先には更に扉があった。


「これですか…」

 ファルゼンは扉の近くにあった光る石版を調べる。

 全員扉を開けたとたん何が出てくるのかわからないので武器を構えていると、


「どうやら同じパスワードのようですね。セキュリティーが甘いような気がしますが…」

 と、ファルゼンは言い、軽快に石版を叩く。


ガガガ。

 ゆっくりと重く開く扉。その中にあったものは…。



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