第38話 大戦の戦場
4日後。
傀儡達の行動範囲からゲルベック・ペインルージ達ペインルージ帝国軍が集まる場所を特定した連合軍は、一気に倒すべく、集結していた。
そう。戦争が始まろうとしていた。
最終決戦である。
ルグニア王国軍20万人、魔界国軍18万人、エルフ国軍15万人からなる国家連合軍計五53万の兵力が揃い、ルグニア大平原へ集結する。更に各国の命話使いにより集まった聖獣、魔獣、獣、それに該当しないモンスター類などが10万匹。
対するペインルージ帝国は傀儡兵68万体、人間兵8千人。数はペインルージ帝国の方が若干多いが、傀儡兵の内40万体は力が弱い傀儡(小)である。
戦力としてはペインルージ帝国軍の方が少ない。
「うははははは!戦じゃ戦ぁぁあああ!皆のもの、余に付いてこぉおいぃ。ルグニアの大平原が唸っておるぞぉ」
国家連合軍の戦列の前方で大声を上げるのはルグニア王国第一王子『ロージ・ヘンデル・ルグニア』であった。
「「「「「おぉぉぉおおお!」」」」」
ルグニア王国軍の兵士たちは王子の掛け声に続く。
「すごいな。噂には聞いていたが…」
と、一人のエルフ国軍兵士が言った。
「え?あぁ。ルグニアの第一王子か、確かに貫禄がある。ってか…ん?」
エルフ国軍兵士に声をかけられた魔界国軍兵士の一人は、とある事実に気が付く。
「なんという悪人面…」
魔界国軍兵士はルグニア王国王子の顔に驚いた。明らかにラスボスはあいつだろう。という顔をしている。
「やっぱり噂は本当だったんだな」
と、エルフ国軍兵士はうんうんと頷く。
「ま、王族といえばエルフ国も負けてはいないけどな」
そう言うとエルフ国軍兵士は目の前のユニコーンに乗った二人のエルフ族を見る。
「ルグニア王国軍に遅れをとるな!我らエルフの民が巨悪の権化、ゲルベック・ペインルージを討ち取ろうぞ!」
と、先頭で演説をする長い白髪のエルフ国王の第一子、王女『エリー・エルフロイ』が高らかと槍を空へと突き上げた。
「「「「「おぉおおおおお!!!」」」」
エルフ国軍兵士達が一斉に声を上げる。
「エルフ国の第一子、武術の達人、王女『エリー・エルフロイ』と第二子、天才戦術家、王子『ハルオンヌ・エルフロイ』この二人が指揮を取るとは心強い」
と、エルフ国軍兵士は言った。
「それだったら俺達の王子も…」
魔界国軍兵士はそう言うと、上を見上げた。
「我ら三国連合軍は、古代の技術を悪用し我々の平和を脅かす悪の大魔導士ゲルベック・ペインルージを許してはおけない。皆のもの、今こそ種族の壁を越え共に奴らを葬ろうぞ!」
ドラゴンに乗って登場した魔界国王子『ガルゼニス・ブライグ・ゼブル』は大勢の連合軍空軍部隊を率いている。
そこにはアルバート達の姿もあった。
「いいですか。我々はガルゼニス王子と共に先人を切って奴らの城へ乗り込みます。空軍部隊は第一から第三までとなりますが、我々第二部隊は第一部隊が作った空路を真っ直ぐ突き進みます!」
と、先頭にいたアランが説明をする。声はドラゴンの首に巻かれていた首輪の小さな箱を通して聞こえた。
「これも古代技術か…」
アルバートがそう言うと、更に作戦の詳細が伝わってきた。
「目標はいつの間にか岩山に作られていたゲルベックの城。岩山と城が合体したような形です。そこの屋上にいくつか広い場所が確認されました。第二部隊はさらに三分割して各屋上へ降りて下さい!」
アランはそう言うと、通信を切った。
ブオーーーーー!!
ブオブオーーーーーー!!!
そして、ついに合戦の合図である国家連合軍によるラッパが鳴らされ、国家連合軍が攻勢に出る。それに伴いペインルージ帝国も攻勢に出た。
「「「「「ワーーーー!!!」」」」」
「「「「「反逆者、ペインルージを倒せぇぇぇぇえええ!!!」」」」」
一斉に放たれる矢が傀儡達に降り注ぐ。一方傀儡(巨大)から放たれる矢は想像以上に威力があり、連合軍側の兵を次々と吹き飛ばす。
「こちらも矢を放てぇぇえええ!!!」
傀儡達は連合軍の矢と術の雨に打たれながら前進してくる。前進してくる傀儡達の中心に傀儡(巨大)が居る。傀儡(巨大)は自身を隠す事ができる程の大きさの盾を二つも所有しており、仲間の傀儡を守りながら進む。
しかし、かなり長い横列で並んで進む傀儡部隊を守るには傀儡(巨大)は少なく、連合軍は傀儡(巨大)と傀儡(巨大)の大きな間に居る傀儡達を中心に攻撃を加える。
だが、それでは傀儡(巨大)の始末に困る。しかしそれは残った魔術部隊や聖術部隊が攻撃を行い、傀儡(巨大)を一体一体倒していく。
一歩一歩確実に近づいて来る傀儡部隊に対し、連合軍の槍部隊が一列に並び傀儡達が近付くのを阻む。
「巨大な傀儡が来たぞーーーー!!」
連合軍の近くまで到着した傀儡(巨大)が連合軍の槍部隊を吹き飛ばしていく。
それに対し、連合軍側の大型モンスター達が傀儡(巨大)を殴り飛ばしたり、引きちぎったりして応戦する。
空中も敵だらけであった。傀儡(小)の羽付きから傀儡(大)の羽付きが飛び回り、矢で攻撃してきたのだ。それには連合軍の空軍部隊がドラゴン、大鷲、ペガサスなどに乗り羽付の傀儡達を落としていく。
まずは第一部隊が空路を開く。そして…、
「行くぞぉおお!」
ガルゼニスの掛け声と共に第二部隊が一斉に速度を上げる。
「ゲルゼニス王子に続けぇぇぇぇぇーーーーーー!!!!」
「「「「「おおぉーーーーーーーー!!!!!」」」」
「いっけぇぇ!フィーナぁぁああ」
リリヤを乗せたフィーナは白い光りを放ち、同じ第二部隊を包みながら飛ぶ。フィーナから放たれる光りは、他のドラゴンや大鷲、ペガサス達の速度を上げ、どんどん敵地へ近付いて行った。
「うはははははは!こちらも負けてはおれぬぞ!ルグニア王国軍、我に続けぇぇいぃぃぃぃいいい!!!!!」
「「「「「おおぉーーーーーーーー!!!!!」」」」
ゲルベックの城へ乗り込む部隊を見送った地上部隊の面々も敵地上部隊を排除して陸路から城へ乗り込むという計画もある。
ルグニア王国の王子『ロージ・ヘンデル・ルグニア』は、その強烈な悪人面で味方の兵を鼓舞していた。




