第33話 苛立ち
「また古代兵器かよ!ってか人形や像だけじゃないんだな…」
「古代の武器は多種多様です。中には私たちが想像もつかない物もあるんですよ。リリヤ、これを矢の先にくくりつけ、ロイドの居る方向へ飛ばしてください」
そう言うと、ファルゼンは拳程の大きさの球をリリヤへ渡す。
「なんだこれ?まぁ、この状況をなんとか出来るんなら…」
リリヤはそう言い、矢先に球をくくりつける作業に入る。
「このぉ!」
一方カインは魔法で傀儡に攻撃をするが、ロイドに位置を特定され隠れている場所を撃たれる。
「うひゃぁ」
岩に穴が空き、カインは慌てて別の場所へと隠れる。
その様子を見ていたルージュは、
「これでは奴に穴を開けられるか、傀儡に見つかってやられるか。だな…。傀儡と戦って派手に動き回ればどのみちロイドとかいう奴にやられる…」
ルージュはそう言って剣を構え、思考を働かせていると、ヒュンと岩陰からロイドの方向へ矢が飛んでいった。
「ん?そんなもの…」
ロイドは自分に向かってくる矢を打ち抜いた。かなりの腕前である。だが、その行為によって状況は一変する。
ピカッと光った瞬間爆音が響きわたる。
「うわ!な、なんだ??」
ロイドは反射的に腕で目を隠した。
「カイン!今です。『ブレイクバード』」
「え?あ。『ライトニングアロー』」
ファルゼンとカインはほぼ同時にロイドに向け攻撃を仕掛けたが、ロイドはそれを避け、銃口をファルゼンに向ける。
「させるかよ!」
リリヤが放った聖術を込めて強化した弓がロイドの銃の銃口に当たり、同時に発射したロイドの銃は暴発し先の部分が壊れてしまった。
「し、しまった!」
ロイドは慌てて下がり、そのまま逃げた。
「くぅ…逃げたか。だが、あいつに構っている暇は無いな…」
リリヤはそう言い周りを見渡すと、周りは既に傀儡達に囲まれており、アルバートとルージュ、ガルゼニスが応戦していた。
「敵の指揮官を逃がしてしまった腹いせに、こいつらをバラバラにして差し上げましょう」
ファルゼンはにこやかに笑って言い、傀儡達を破壊していった。
「(うわ。怖…)」
カインはそれを見て恐怖を感じたが、今は先に傀儡達の処理に集中することにした。
「くっそぉ!また逃がしちまった」
アルバートは荒れていた。
現在ハルト村の宿である。
第一班と第二班は無事ハルト村に帰ってくるとこができ、討伐の為の援軍に駆けつけてきたアルバート達は初日に泊まった宿へと再び案内された。
「目の能力を傀儡達に使ってみたけど、元々あんな奴らそんなに強くないから、自分自身何が変わったかあんまりわからなかった!」
そう言ってアルバートは眼帯を外し、気を込めたり正常に戻したりして目の瞳孔を連続で変えている。
「明日は王都へ戻り、誘拐犯の一味の新たに現れた奴の詳しい情報を報告しなくてはなぁ…」
ルージュはそう言って宿の暖炉の前で剣の手入れをしていた。既に村にある術式通信装置でアルバートの父タリックにロイドの事は報告したが、詳しい状況を王都へ帰り報告しなくてはいけないのだ。
「そういえばファルゼンが持っていたあの凄い光りが出るやつってなんだったの?」
カインが質問をすると、ファルゼンは読んでいた本を閉じ、
「あれは聖術で反応する爆散石というものです。爆散石自体は普通にありますが、特殊な加工によって威力が上がります。今回のようにド派手で強い光りを出す加工方法は、古代遺跡の中で発見した本の中に書かれていました。しかし、発見してすぐに閲覧禁止になってしまったので、それを予想していた私は閲覧禁止になる前に製造方法を写して自分で作ってみました」
と、浮かない顔をして言った。
「閲覧禁止となっているならばそこに書いてある兵器の製造を行うと何らかの罰があるのではないか?」
ガルゼニスがそう言うと、
「いえ。魔界国ではどうかはわかりませんが、エルフ国は古代兵器についてはあまり積極的に認めようとしていません。それこそ、遺跡から出てきたナイフを主力武器としているぐらいです。なので、古代兵器製造に関してはな~んにも罪には問われないのですよ。さらに閲覧禁止となる本を事前に写す事に関しても、特に罪にはなりません。まぁ、私の場合は内緒で写しましたが…」
ファルゼンはそう楽しそうに答えた。よほど古代技術の事について興味があるのだろう。
「確かファルゼンは聖法省の職員だったな。それほど遺跡を発見できる実力と知識があるのであれば遺跡の研究をする文部省へ行けばいいのではないか?」
今度はルージュが質問をする。確かにその質問の内容はみんなが思っていたことだった。
「先ほども言ったとおり、エルフ国…だけではないんでしょうが、国は古代技術が現在の技術を上回っていうという事実を隠したいようなんです。私はその点発見したらすぐに公開してしまうので、そこが問題なのでしょう。明らかに国が今まで隠していた遺跡を片っ端から私が発見しているようですしね」
ファルゼンが説明を終えると、リリヤが、
「なんだ。私はてっきり性格が災いして入ることができないかと思った。すぐに分解とかしたがるからな」
と、リリヤはニヤニヤしながら言った。すると、
「あなたほど性格に問題があるわけではありませんよ~。性格が問題だったら聖法省へも入ることはできないでしょう。そうだ!あなたも私とは言いませんが、せめて人並みの性格の良さと社交性を身に付けてみたらいかがでしょう?教えて差し上げますよ」
と、ファルゼンも満面の笑で嫌味を言った。
「フフフ。そうか、お前の性格の良さは昔から知っていたからなぁ~。是非教えてもらいたいものだ。出来るのならばな!」
そう言うリリヤの表情は、口元は笑っているが目が完全に怒りを含んでいた。
それから笑いながら睨み合う二人を見てその他四名は休むことにして、それぞれの布団の中へ入った。
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「あ~あ~。テステス、こちらロイド。聞こえますか~?」
ロイドは無線機を使用しどこかと通信をしていた。
「ズザ―――ズザザッ!こちら―――。聞こえている」
最初に雑音が入ったが、通信機は無事使えるようだ。
「<どうだった?この惑星最大の医学研究所跡地は>」
「だめですねぇ。入口は発見できましたが、中は滅茶苦茶。機械が壊れているということではなく、研究所自体が崩落して岩に埋まっています。掘り出すには大掛かりな作業が必要かと…」
「<なるほど。となると、そこの捜索は戦後ということになるな…。ではロイドはそのまま城に帰還しろ>」
「了解です」
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