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第32話 古代兵器再び


「おぉ、ようやく増援が来たか。待っていたよ」

 ハルト村に到着した一行は、元々村に居た自警団や派遣されてきた自警団、正規軍に迎えられた。


「こっちも戦える者は二十人しかいなくてな…。どうやら国王は大規模な軍を編成しているとかでこっちにあまり人をまわしてもらえないんだ」

 そう嘆く村の自警団団長。確かに正規軍は五人位しか目に映らない。


「う~ん、六人でもいいか。明日、奴らが潜んでいるカリック平原の中央にある小規模な岩山地帯に攻撃を仕掛けるつもりだ」

 自警団団長がそう言うと、


「敵はどのくらいいるのですか?」

 と、ガルゼニスが尋ねると、


「ほかの所では人の大きさに近い傀儡が出てきているらしいが、俺達が戦っているのは…確か傀儡(小)?と分類されるのか?その傀儡が二十体程だ。」

 自警団の説明で敵の規模は少ない事が分かる。だが今のアルバート達にとっては少し物足りない。今まで数百単位の傀儡を相手にしてきたため、傀儡の攻撃パターンや一体一体の平均的な実力を知っている。敵が二十体程ならばアルバート達だけでも倒せそうなものだ。


「最初は五十体位いたんだが、なんとかこちらの犠牲を出さずにここまでやれた。明日こそ全滅させてやるさ」

 団長は拳を握り締め自分にも言い聞かせるようにして宣言した。


「とにかく今日は休んでいてくれ。何かあったら警備兵が知らせてくれる」

 団長はそう言うと、アルバート達を宿へ案内し、その日アルバート達は村の宿で一晩を過ごした。









 次の日、朝早くに討伐隊が新たに編成され、自警団団長率いる第一班、くじで班長に決まったアルバート率いる第二班(仲間はカイン、ルージュ、リリヤ、ファルゼン、ガルゼニス)、村を守る第三班となった。


「傀儡達はこの先の『カリック平原』の中央にある岩場に居ると思われる。広い平原の中に一箇所だけある岩の密集地帯だ。敵の数は少ないが、気を引き締めて向かってくれ。では、作戦開始!」


 自警団団長の合図に合せ、各部隊が動く。


「手掛かりはつかめそうにないなぁ~」

 と言うアルバートだが、


「そういうな…。もしかしたら何か掴めるかもしれないだろ?」

 と、ルージュが言った。







 第一班と第二班は少し距離を置きながら進んでいった。

 岩場に着いたが傀儡達の姿が見えない。


「なんも居ないな」

 そうつまらなそうにリリヤが言った。


「すぐ見つかりはしませんよ。もはや彼らは既に敗残兵にすぎませんから…」

 と、ファルゼンが言った。


「確かにこの先の町や村には軍隊が配備されているし、傀儡の増援が駆けつけるとは思えないもんね」

 ファルゼンの言葉に納得するカインがそう言ったが、ガルゼニスは疑問に思い、


「と言うか、あの傀儡達には意思というものがあるのだろうか…。傀儡というのは命令を忠実にこなしはするが、あくまでそれは人がいた場合だ。このように敵地で増援も無い場合、傀儡達は自己判断でこの窮地を乗り越えなくてはならないだろう?奴らに自己判断というものができるのだろうか…」

 と、言った。


「確かに従来の傀儡であるのならば命令する人間居なくてはいけません。ただし遠隔操作というものも可能ですよ。ただし数は限られますけどね…」

 そうファルゼンが説明する。


「んじゃあれだけの数を一度に操っているってなると、相当な数の人間が奴らに関わっているってことか?」

 アルバートが驚きそう言うと、


「我々の常識ではね…」

 と、意味ありげにファルゼンは答えた。


「ん?おい、皆」

 ルージュは第一班が居る方向を指さす。


「何か発見したようだね」

 カインが第一班の班員の一人が手で合図を送っているのを見ながら言いた。







「わ~ぉ、居るなぁ…」

 リリヤがそう言ったとおり、およそ二十体の傀儡(小)が一ヶ所に集まっていた。

「さて、二手に別れて攻撃するか…」

 自警団団長がそう呟き、

「第二班。回り込め」

 と、アルバートに手信号で指示を出す。

「よっし、任せろ!」

 アルバートはそう言うと、仲間を引き連れ反対側へと移動した。






「よし。後は合図を待つだけだ…」

 ガルゼニスはそう言うと、槍に魔力を込めようとする。

「ちょっと待ってください王子。傀儡達の特性はまだ解明できていませんが、魔力探知能力があった場合こちらを発見される可能性があります」

「そ、そうか。わかった」

 ファルゼンに止められ慌てて魔力注入を中止する。


「合図が来た。10…9…」

 アルバートは反対側に居る第一班の手信号を見る。


「4…3…2…1!行くぞ!」

 アルバートの掛け声で第二班が一斉に動いた。反対側では第一班が攻撃に出ている。

 それを見た傀儡達は一斉に立ち上がり、


「ふへ??」

 ルージュは奇妙な声を出した。と言うよりも傀儡(小)達が驚きの行動をした。


 傀儡(小)達は一斉に第一班の方向へと向かって行った。


 慌ててリリヤ、ファルゼン、カインが攻撃をしようとしたが、外れて第一班に当たってしまってはまずいので攻撃の手を止める。ここは接近戦組みのアルバート、ルージュ、ガルゼニスが攻撃をするしかない。

「こ、この!」

 自警団団長達が剣を構え迎えうった。が、


「おぉう!?」

 第一班の班員達が驚く。傀儡(小)達を何体か仕留めることが出来たが、殆どは第一班を通り抜け逃げていく。


「くっそぉ!逃がすかぁ!」

 アルバート達は慌てて傀儡(小)達の後を追った。




 しばらく追いかけると、岩場と平地の境目の辺りで傀儡(小)達は二手に別れた。

「クソッ、二手に別れやがった…。君たちは少ない方を追ってくれ。無理そうだったら引き返しても構わない」

 部隊長はそう言うと、第一班を率いて傀儡(小)達を追って行った。


「りょーかい!」

 アルバートはそう言うと、皆を引き連れもう一方の傀儡(小)達を追った。


「待ちやがれぇぇええ!!」

 アルバートは剣を振り回しながら傀儡(達)に向って言った。


「言葉わかるのかなぁ…」

 カインはそうぼそっと言うと、


「誰かの命令を聞いているとなれば言葉はわかるのではないでしょうか?」

 と、ファルゼンがこたえた。


「そんな事を言っている場合か!?」

 ルージュは呆れて言う。


「ん?」

 リリヤは先頭の傀儡(小)が立ち止まったのを確認した。


「おぉぉっと!」

 アルバートも先頭の傀儡(小)に合せ止まっていく傀儡(小)達に合せ立ち止まる。


「おいおい、傀儡はちっさいのだけじゃないのかよ」

 リリヤは苦笑いをしながらそう言った。

 アルバート達の目の前には傀儡(小)だけではなく(大)もいる。

 しかし、傀儡(大)(小)達の真ん中に妙な形の棒?を持つ男が居た。


「ん?あなたは見たことがありますね。確かエルフ国文部省の人間ですね?」

 ファルゼンの問いかけに、




「おぉ。よく俺の事を知っていたな。聖法省のファルゼン・スタンピー」




 と、奇妙な形の棒を持つ男が口を開いた。


「スタンフィーです」

 ファルゼンがそう訂正するとクスクスとリリーが笑い出す。


「おっと、すまないファルゼン・スタンフィー。俺の名前はイザ・ロイド。聖法省の職員だ」

 と、ロイドが自己紹介をする。


「その聖法省職員のロイドさんがこの状況で傀儡達を従えて出てきたって事は、誘拐犯の仲間だな?」

 アルバートがそう言うと、


「誘拐犯?あぁ、そういうこともしていたなぁ。俺は全く別の仕事をしていたからその方面はわからないや」

 と、ロイドは言った。


「だが、どっちにしろ貴様も敵と言うことだな…」

 そう言うとルージュは剣を抜き構える。


「まぁ、そういうことだ。こっちの用事も済んだ事だし、こっからは俺の自由時間だ。つーわけで、お前達はこの武器の威力を確かめる為にも的になってくれ」

 ロイドはそう言うと、棒の先の筒丈になっている部分をこちらに向けた。アルバート達には本能的に危険なものということが察知できた。


「あの筒の穴に自分の体が向かないようにしてください!」

 ファルゼンは慌ててそう言うと、全員が一ヶ所に固まらず動き回る。そして、ファルゼンやカイン、リリーは遠距離から仕留めようとする。


「ほらよ!」

 ロイドは遠距離攻撃組に攻撃の隙を与えず、筒から何かを飛ばしてきた。弓矢よりも速い飛んできた何かはファルゼンの頬をかすめ地面へポスンッと音をたててめり込む。


「なんだ?あんなものか」

 アルバートは拍子抜けした。明らかにカインやファルゼンが使う魔法や聖法の方が威力は高い。それどころか聖力を込めたリリヤの矢の方が上だろう。


 しかし、ファルゼンがあの武器の事を知っているようだったので、全員が岩陰に隠れる。


「(こんなことしなくても良いんじゃないか?)」

 アルバートはそう思ったが、


「ふん…」

 ロバートはアルバートの居る岩陰に向け発射した。

バスン!

 岩を貫通しアルバートを驚かせる。


「(はは…。なるほど、ド派手な威力じゃなく貫通能力が高いのか)」

 アルバートはファルゼンが警戒していた事に納得した。というか、軍人でもないファルゼンがなぜ自分達もしらない武器を知っているのだろうか。アルバートは隠れている岩を移動し、別の場所に隠れる。


「最大出力でやっと貫通できる程度か…。映像で見た最新型とはやっぱ違うな」

 残念そうに呟いたロイドは、


「よし、傀儡部隊奴らをいぶり出せ!」

 と、待機していた傀儡部隊に命令を出す。傀儡達は一斉にアルバート達が隠れる岩陰に向かった。


「さて、あの武器は厄介ですね…」

 ファルゼンがそうつぶやくと、ちょうど近くに隠れていたリリヤが、


「あれを知っているのか?」

 と、聞いてくる。


「実際に見たわけではありませんが、あれと似たような構造をもつ武器を古代遺跡で見つけたことがあったのですよ。『銃』という種類武器らしいのですが、私が見つけたのはあれよりはもっと大型でした。奴が持つ武器も同じ能力を持っているとしたら…」

 ファルゼンは目を鋭くさせ、近づいてくる傀儡達を警戒する。


「あれから出てくるのはなんだ?速いが光っているように見える。それに聖術の反応もあるぞ」


「その通り、あれは聖術のエネルギーを圧縮させ高速で飛ばす機械。古代兵器です」


「古代兵器!?」

 また古代の人間達が作った物騒なものが出てきたことに嫌な顔をするアルバートだった。



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