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第26話 意外な誘拐犯の正体


「誘拐犯、どこだ!どこに居る!?」

 ガルゼニスは大声で叫んだ。


 だが、ガルゼニスの声だけが洞窟内で木霊するだけで返事は返ってこない。


「まぁ、そう言って返事をする誘拐犯なんていないと思いますけどね…」

 と、ボソッとそう言ったファルゼン。

 流石に王族へ面と向かって暴言を吐くような真似はしない。


「なんだ?ここの洞窟結構明るいな」

 アルバートは洞窟の中を見回してそう言った。

 アルバートが言う通り、不思議と洞窟内は明るかった。所々で岩が青白く発光している。


「…これは魔力石でしょうか?」

 ファルゼンが不思議そうにカインに尋ねると、

「え?あ、はい。これは自己発光型魔力石です。結構珍しい石なんだけど、ここは魔力石が発掘できる洞窟なのかなぁ…」

 と、カインも不思議そうにしていた。


「おかしい!ここは本来魔力石が発掘できる場所じゃない。これはここに意図的に置かれている…」

 ガルゼニスはそう言うと、手のひらサイズの魔力石をヒョイっと持ち上げ、前方へ投げつける。


「確かに一定の間隔で配置されているな…」

 アルバートは目を細め遠くを見つめる。すると、


「ん?あそこに誰かいねぇか?」

 アルバートの前方に人影が見える。そこには発光している魔力石が無く人の姿が見えても顔や服装など確認することができない。もしかしたら傀儡かもしれない。


「沢山いるな…。傀儡も…」

 リリヤの言葉に皆驚き進むのを止め、武器を握りしめる。




「なんだ、もう見つかっちまったのか…」





 人影達の方から男の声がした。

「誰だ!」

 ガルゼニスがそう言うと、


「ふん。魔界国の王子様。か…」

 と、今度は女の声がする。


 そして声を発した二人は数歩前に出て魔力石の光が届くところまで来て姿を表す。二人の後ろにはリリヤが言った通り複数の傀儡(大)達が居た。それを見たルージュが問いただす。


「お前達が誘拐犯なのか?」


「誘拐犯?あぁ…そうか。まぁそうだなぁ」

 男の方が曖昧な答え方をする。


「チッ。はっきりしねぇなぁ。お前たちなに者だ!」

 アルバートは怒りを混ぜながらそう言うと、


「自己紹介ぐらいするか…。もうあそこには用は無いし。私はルグニア王国軍第七師団所属槍使いの『キャリー・マックナー』中尉よ」

 女の自己紹介に続き、今度は男の方が、

「同じく俺はルグニア王国軍第七師団所属の聖法剣士の『バルケット・ジンクス』中尉だ」

 と名乗った。


「な…ルグニア王国の戦士…!?」

 カインは驚き目を見開く。

 驚いた事に目の前の"魔法使い連続誘拐事件"の犯人はルグニア王国軍関係者だった。


「く、国を裏切るつもりか!?もしや魔界国とルグニア王国との間で戦争でも起こすのか?」

 と、ルージュが問いかけると、

「いやいや、俺たちはそんな小さな戦争興味が無いよ。むしろこの星にある国家全体と戦争を起こす気だ。それに裏切り者が居るのはルグニア王国だけじゃねぇし」

 馬鹿にしたように笑いながらそう答えるバルケット。

「な…。我が国にも裏切り者がいるのか…」

 ガルゼニスが驚いていると、


「バルケット。余計な事は言わないように」

 と、キャリーがバルケットに釘を刺す。


「はいはい、わかりましたよ。とりあえずお前ら、そこを退けば痛い目に遭わなくてもすむぞ」

 そう挑発的な発言をするバルケットに対し、


「ふん。お前達はここで捕まえてルグニア王国まで引っ張って行ってやる!」

 と、アルバートは剣を構え言った。


「レインボーテイル!」

「え!?」

 ファルゼンがアルバートの横からいきなり聖術をルグニア王国軍の裏切り者達に向け放つ。

 虹色に輝く光の鞭がグネグネと不規則に動きまくり、射程内の傀儡(大)達を壊していく。


「ちょっと、いきなり!?」

 と、キャリーは攻撃を避けながら文句を言う。


「おいおい!この攻撃曲がってくるぞ!?」

 バルケットはニヤケた表情をしながらも避け辛そうであった。なにせここは洞窟である。広範囲攻撃を避ける場所が限られてしまう。

 ファルゼンが放った聖術は少しの間キャリーとバルケットを苦しめるが、


「光球・アルタイアス!」

 バルケットが術を唱えると聖術を剣先から放たれる。


「こんなもの!」

 アルバートは真っ直ぐ向かってくる聖術をかわしたが、


「なんてねぇえええ!」

 と、バルケットは奇声発し、剣を大きく横へ振る。

 すると、バルケットが先ほど放った聖術の弾が大きくカーブを描きファルゼンの方へ向かっていった。


「な…!」

 レインボーテイルを放ち続けていたファルゼンは避けようとしたが僅かにかすってしまう。


「くぅ…」

 左腕に聖術の弾がかすったファルゼンから血が滲んだ。


「ハッハー」

 軽快に笑うキャリーは槍を構え突進してくる。バルケットもそれに続きアルバート達に向かってきた。


「うらぁああ!」

 アルバートもそれに対応し、バルケットの方へと向かっていく。


「仕留める!」

 ルージュもキャリーに剣を向け迎えた。


ガキン!

キン!

カキーン!!


 激しい接近戦を始める二人、カインとリリーはアルバートとルージュの援護をし、ファルゼンとガルゼニスは敵二人の後ろに控えていた傀儡(大)達の処理を行なった。


「アイン・グルーザーァァアア!!」

 ガルゼニスの闇の魔術を込めた槍術で次々と倒される傀儡(大)。ガルゼニスの攻撃範囲に入らない傀儡は確実にファルゼンが倒していく。



「おっと、やるなぁ!てめぇ、王国軍の一般兵の平均技量を超えてんぞ!」

 余裕そうにバルケットはアルバートの剣術を受け流す。


「ふん。当たり前だ!親父に教えてもらってんだからよぉ!」

「親父?」

「そうさ、ルグニア王国軍親衛隊総隊長タリック・クローゼになぁあ!」

「マジか!そいつは強い訳だァ!」

 お互いの剣撃は激しさをましていった。



「ふん。こっちの方が長い分有利なはずなんだけど。やるじゃない」

 キャリーは槍をクルクル回しながら余裕を見せルージュに語りかける。

「リリヤのおかげだな…」

 と、ルージュが言うと、ルージュのすぐ横を矢が飛んで行く。それを軽々と槍を回転させ弾くキャリーは、

「ちょっと、ガールズトークしている最中にそれはないんじゃね?」

 と、不満そうに言うが、

「それ、ガールズトークじゃねぇよ!ルージュ、こんなキチガイと話しているとこっちまでキチガイが移っちまうぞ!」

 リリーの発言に更にムッとしたキャリーは、

「エルフの発言とは思なぁ~い。あんた本当にエルフぅ?」

「エルフだよ!クズ」

 リリヤはそう言うと、矢を放った。

 それに続き、ルージュも剣をキャリーに向け振るう。

「やぁね、最近の若い子は。会話もろくにできないのかなぁ!」

 再び女子三人の戦いが始まった。




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