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第25話 オーラックの洞窟


 オーラックの洞窟に向かい30分後。


「もう少しで洞窟に着きます。慎重に行きましょう」

 一人の兵士からそう報告をされた。


「はは。急ぐあまり前進しすぎて部隊をまた分断されたくないですしね…王子」

 アランはそう言うと、

「うむ、そうだな…。なぜ討伐隊の隊長はあれほど急いでいたのだろうか…?」

 ガルゼニスが言う討伐隊隊長というのは、最初に魔界国王都から出発した時の討伐隊隊長である。


「積極的に手柄を取りにいく人物ではないですからね…。おそらく早く誘拐犯を捕まえて被害者達を開放したかったのでは?」

 と、アランはガルゼニスの疑問に答えた。




「まだかぁ~?オーラックの洞窟って所は?」

 アルバートは疲れたようで、だるそうに質問する。

「兵士の話ではもう少しらしいけど…」

 カインは辛そうにそう言った。ちなみにカインはこの中で一番体力が無いと思われる…。


「……。何か変だな…」

 リリヤは自身の肌に感じる異常な魔力に反応した。


「確かに。魔界国なら当然ですが、魔力の感じが強すぎるような…」

 ファルゼンも不思議そうにそう言った。


「うぅ…確かに。なんだろうこの魔力。普通の土地では考えられないなぁ」

 カインもかなり疲労しているが、魔力の感覚は鋭いらしい。


「ここは魔力が強い土地。オーラックの洞窟自体もかなりのパワースポットだ」

 近くに居たガルゼニスがアルバート達の会話に入る。


「それだけではないらしいな…」

 ルージュがそう言い、足を止める。


「んあ?」

 アルバートもその様子に気付き足を止めて剣に手をかける。


 魔界国軍の兵も王子を守るように陣形を作る。

「あらあら。そっちから出迎えてくれるのね…」

 ハウィンラック准将はニヤリと笑みを浮かべ大きな杖を構えた。


「敵だぁああーーーー!!傀儡が現れたぞぉーーー!!」

 味方の連絡兵が大声で後続の部隊へと伝える。


ガサッ、ガサッ、ガサッ。


 洞窟の中から案の定、大量の傀儡達が出てきた。


「あれ?大きい?」

 アルバートは目の前の傀儡が今まで戦ってきた傀儡より一回り大きい事に気付く。おそらく1m70cm程だ。


「ふむ、戦いに対応しているようですね。今まで戦ってきたのはさしずめ誘拐用の人形を護衛するために作られたものでしょう。もしくは試作品…」

 ファルゼンがそう分析する。


「って事は、今度は楽に倒せないってことだな…」

 アルバートは手にしている剣を更に力を入れ握る。


ガチャッ、ガチャッ、ガチャッ。


 傀儡達は一斉に襲いかかってきた。


「ハッ!」

 ルージュは傀儡をすれ違いざまに何体も切り裂く。相変わらずの早業である。しかも孤立しないよう、すぐに後ろへ下がり仲間と連携を取る。

「このぉ!」

 アルバートは一体一体確実に仕留めていく。ルージュとアルバートの剣の腕は対照的であり、ルージュは団体戦に特化した技を多く持ち、アルバートは一体一を前提にした戦いを得意とする。

 このような団体同士で戦う状況においてアルバートは少々不利であった。だが、それを補うようにカインがアルバートを援護する。これによりアルバートは対多数戦闘もやりやすくなった。


「人と同じサイズになっても、やはり動きは変わらないようですね」

 ファルゼンは今までと同じように敵を聖術で倒していく。


 しかし魔界国軍も順調に倒していはいるが、洞窟の中から次々と傀儡達が出てくる。



「ク…。このままじゃ洞窟に着く前に日が暮れちまう!」

 アルバートがそう言うと、

「このまま陣形を崩さず洞窟へたどり着くのは難しいぞ」

 と、ルージュが言った。


「ならば…『ファイアーローラー』!」

 カインは魔法で巨大な玉を作り前方へと射出する。射線上居た傀儡達は火の玉に包まれ勢いよく燃え盛る。


「うひょぉ!これなら進めそうだが…」

 アルバートは火の玉が通過した場所に足を踏み入れたが、傀儡達が燃えているのでそれを避けながらではなかなかと進めない。


「ゴメン、得意の雷系の魔法より真っ直ぐ撃つには炎系の方が安定していて…」

 カインは苦笑いをしながらそう言った。


 魔界国軍の魔術部隊はカインの魔法攻撃を模範し、前方を一掃する大技を使用していき道を作る。横は木々が生茂る森となっているため、下手に火系の攻撃をしてしまうと大家事になってしまう。


「もうすぐ洞窟です!目と鼻の先、目視できます!」

 一人の兵士がそう言った瞬間、


「うっ!」

 兵士の胸に矢が刺さり、倒れてた。

「な!?弓兵か!」

 傀儡の弓兵(大)は洞窟がある場所の入口の上部には一段上の丘がある。高さはおよそ五メートルほどだろう。

 ハウィンラック准将は素早く反応し、身を構える。その瞬間ハウィンラック准将の所へ矢が飛んで来たが、軽く剣で叩き落とす。


「我が軍の弓兵を前へ!敵弓兵に向け攻撃!」

 ハウィンラック准将准将の指示で次々と動作停止に陥る傀儡の弓兵(大)。しかし、

「敵の大型傀儡、来ます!」

 後方で兵士がそう叫んだが、


「あ?敵の増援か?」

 アルバートは今戦っている傀儡(大)の増援が来たと思ったが、それは間違えであった。


「んな!?」

 リリヤは高い位置から弓の攻撃をしていたので一早く気が付く。明らかに目の前にいるのは、四メートルはある傀儡だ。

「おいおい…」

 リリヤが傀儡(巨大)に攻撃をしたが、一発では倒れない。

 素早く十数発撃ち込んでようやく倒れた。が、

「まだいるのか!」

 アランは後ろから十体は来る傀儡(巨大)に驚く。


 4m程ある傀儡達の動きを必死に止めようとしている兵士達は吹き飛ばされていく。


「これは拙い。王子!我々があの木偶の坊を引き受けます!王子は人の大きさの傀儡達をお願いします!」

 と、アランが進言すると、

「私もそっちを担当しよう!」

 ハウィンラック准将もアランと共に傀儡(巨大)を倒しに向かう。


「よし、洞窟内に居るかもしれない犯人は任せろ!」

 ガルゼニスは意気揚々に洞窟の中へと入っていった。


「ちょ!?王子、そこまで言ってないですよ!?」

 アランは慌ててガルゼニスを止めようとしたが、既に傀儡(巨大)と交戦状態に入っていたため王子を止めることはできなかった。


「おいおい…」

 アルバートはその光景に驚いたが、傀儡(巨大)に構っていては犯人に逃げられてしまうと思い、ガルゼニスの後を追う。それに続き、ルージュ、カイン、ファルゼン、リリーも洞窟内に入っていった。


「我々も王子の所へ!」

 数人の兵士も洞窟内に入ろうとしたが、

「「「うわぁ!」」」


 洞窟の入口の上から傀儡(巨大)が降りて来て分断されてしまった。

「こ、これでは王子を追いかけられない」

 洞窟へ突入しようとした兵士達が怯んだ隙に傀儡(大)達は洞窟の入口に集まりだし、容易に入ることができなくなってしまった。






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