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第19話 襲撃の後




「ミサネ先生も…校長先生まで誘拐されてしまったのか…」

 夜、学校が管理する学生遼で目を覚ましたカインはアルバートから被害状況を聞き絶望していた。



「幸い死者は出なかったが、重傷者は10人、誘拐された人は12人だ…」

 アルバートはそう伝えると、

「今起きたばかりだが、とりあえず今日は休め」

 と、カインの体を気遣い言った。天候を変える程の魔法を一人で行なったのだ。それで無事なはずがない。


「うん…。そうするよ」

 カインは自分が大魔術を行なった事を聞かされたが、あまりよく覚えていなかった。それにより魔力を使い果たし気絶したことも…。

 ミサネ先生や校長先生が奴らに誘拐され頭に血が登った事により発動した火事場の馬鹿力なのか…。もっと早くその馬鹿力が出ていれば先生達を助けられたのではないだろうか…。

 悔しくて仕方がなかった。

 自分にもっと魔力があれば魔力切れなど起こさずに済んだ。いや、それよりももっと早く大技を使用すればミサネ先生は誘拐されずに済んだ。


「カイン。魔力切れって命に関わる事なのか?」

 カインがあれこれ考えていると、アルバートが突然質問をしてきた。


「え…?いや、う~ん。必ずそうだとは言えないと思うけど…。なんで?」

 ついカインはアルバートの質問の意図を聞いてしまった。分かりきった事である。アルバートは自分の命の心配をしているのだ。


「いや、魔法学校の先生からそういう話を聞いたんだ。だから自分が死ぬような技は使わないでくれよ…」

 アルバートはそう言ったが、カインはやはり自分の力が及ばなかった事を悔やむしか無かった。しかし、


「お前は人を助けて良かった。になるかもしれないが、残された人はどうなるんだ?ネネは悲しがると思うぜ。それにミサネ先生だっけ?その先生も教え子の命を引き換えに助かろうなんて思っちゃいねぇさ」


 確かにアルバートの言う通りであろう。自分が死ぬかもしれないような事をしたとネネ達が知ったら怒り悲しむだろう。


「俺だって無茶するけど、危なくなったらいつも逃げ出しているだろ?まぁ、もしかしたら今後命をかけなきゃいけない事があるかもしれないけど、それは自分の命をかけなきゃ守れないものがある時だと思う。今回は後輩達や俺達を守ってくれただけでも英雄もんだぜ!ありがとよ!」


 アルバートが逃げ出すようなことは自身が悪いことをしているからだ。ということは置いておき、確かに自分の命を削っては意味が無い。ただ、今度は適切に力を使えるようになりたい。いま過去の事を悩んでいるより今後どうしていくかが重要だ。自分には強大な魔法が使えると解っただけでも成果である。


「まぁ、今いろいろ考えていてもしょうがないんじゃないか?悪いのは誘拐犯だ。俺達の目的に先生達の救出が加わった事だし、本格的に動いてみようぜ!つっても今日はこんな時間だし、休もうか。何かあったらすぐに言えよ。隣に寝ているから」


 そう言うとアルバートは床に敷いてある布団へと、横になった。

 アルバートは無意識なのかもしれないが、カインの考えている事が分かったようにカインのせいではないと言っていた。


「アルバート…。ありがとう…」


 カインはアルバートの言葉で少し楽になり、明日に備え休むことにした。











「さて、昨日はとんでもないハプニングがあったが、今日こそ魔界国まで行くぞ!」

 そう先頭に立って言ったアルバートはカインを見て、


「カイン。お前は王都に帰るか?」

 と、聞いた。


「な、何を言っているんだアルバート。ミサネ先生や校長先生まで誘拐されてしまった。僕も誘拐犯探しをしなくちゃ!」

 カインの目は真剣だった。


「まぁまぁ、とりあえず我々の目的はひとまずリリヤのペガサスを取り戻す事です。そっちに集中しましょう。そうしないとリリヤはうるさいですし」

 ファルゼンはそう言うと、馬車に乗り込む。

「おいコラ。うるさいってどういう意味だ!」

 と、リリヤはファルゼンを追いかける。


「…コホン。ミサネ先生と校長先生の事については王国軍が全力を上げて探しているとの事だ。この村にも警備の兵を増員するらしいし、ここはもう大丈夫だろう」

 と、ルージュもファルゼンに続き馬車に乗る。


「いつまでもグチグチしていない事はいいことだ!さぁ、行こうぜ!」

 ファルゼンを問い詰め終えたリリヤはそう言うとカインの背中を押しながら馬車へと乗り込んだ。








 しかし、ペガサスの馬車で移動していた一行は再び事件に巻き込まれることになる。



「まさか休憩で立ち寄った学校であんな事になるなんてな」

 リリヤはそう言い、窓の外を見た。


「私達。いえ、カインが居なければもっと被害は大きかったかもしれませんね」

 と、ファルゼンは言うと、カインの方を見た。


「確かにカインがあんな大魔術を一人でできるとは思わなかった」

 ルージュは頷きながら言った。


「う…ん。確かにあの時の事は殆ど無我夢中で…。もう一度やれって言われてもできるかどうか…」

 カインはシュンと縮こまって言う。


「確かにあの技は使用を控えておいた方がいいでしょう。どうやら使用すると魔力切れになってしまうようですし」

「そうだね…」

 ファルゼンにそう言われ更にシュンとする。


「まぁまぁ。別に悪いことしたわけじゃないからそんなに気を落とさないでも…」

 と、アルバートがカインを元気づける。


「ん?」

 アルバートは外の様子がおかしいことに気が付く。


「おい、なんだあれは!」

 もう少しでルグニア王国と魔界国との国境へ着こうとしていた中、アルバートは数本の煙が上がっているのを見つける。


「あの方角は確か『エンキュー村』だったな…。ゴミでも焼いているのでは?」

 ルージュはそう言ったが、やはり昨日のこともあるので気になるようであった。


「少し見てみましょう…」

 ファルゼンの一声で、煙が上がっている場所へと行ってみることになった。





 馬車で近づくと、その煙の正体が何かはっきりとしてきた。



「まさか!なんで!?」

 リリヤは驚き、馬車の中から燃えている家を見る。


 火事ではないことはルグニア王国軍とルグニア王国立魔法学校で戦った傀儡が戦闘をしている所を見ればわかる。

 数は魔法学校で戦ったほどではないが、それでも数十体は居るだろう。


「こんな所にも!?」

 カインは拳に力を入れ傀儡達に向け睨む。


「とにかく行くぞ!皆」

 アルバート達は村に居るルグニア王国軍の加勢に向かった。


 彼らは再び戦場の中へと飛び込むのであった。








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