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第17話 傀儡の襲撃



「ハハ。スゲェ人気だな」

 とアルバートは笑う。


 カインは同級生だけではなく、上級生や後輩からも慕われているようであった。

 流石は成績優秀者といったところだろう。

 カインは他の学生にとっては英雄的な存在らしい。


「カインあんなに人気者だったんだなぁ」

 旅での様子を見るからに、もっと人見知りするような人物かと思っていたリリヤも感心しその光景を見ている。

「これではカインは休むどころではないな」

 と、ルージュは苦笑いをしている。


「先輩!先輩に教えてもらった雷系の術、全てできるようになりました!」

「本当!?凄いなぁザイック。サンダーピラーも?」

「もちろんです!」

 後輩にも人気なカインだが、

「カイン、村に居る幼馴染の彼女とは仲良くやってんのか?」

「い、いや、彼女なないじ。ってかなんて知ってるの!?」

「この慌てっぷりとセリフの噛みっぷり…。この手の話題は相変わらずの反応だな」

 と、同級生にもからかわれていたりした。





 しかし、楽しい時間はすぐに終を迎える。



ワーワー!

ギャーギャー


 突如学生達とは違う騒がしさが外から聞こえてきた。


「なんだ?」

 アルバートは不審に思い、外を見ようとした。


「学生達とは違うようだが…」

 ルージュも外の異変に気付き、窓に近づこうとしたが…。


バタン!


 一人の兵士が慌てて扉を開けて校舎の中に入って来た。


「大変です!人形たちが攻めてきました!校舎内に居る方々はすぐにバリケートを作り身の安全を確保してください!」


 と言った。


「人形!?どんな人形だ!」

 一人の教員がそう聞くと、

「我が隊の魔術師が言うにはあれは傀儡…魔術を使った操り人形らしいのですが…木製で小さく、しかし百体はいます!」

 と、兵士は報告した。


 すぐに校舎から出たアルバート達は、目の前に広がる光景に驚いた。

「傀儡…確かに大量だ…」

 ちょっと気持ち悪い光景である。

 木製の動きがおかしい傀儡達がウネウネと学校の前に群がっている。


「ちょっと!君達危ないぞ!」

 兵士や先生達の制止は聞いてなどいられなかった。外には兵士からの報告の百体ではなく、三、四百体はいるだろう。木製の傀儡達は四十数人の兵士達や魔法学校の教師達と戦闘をしていた。元々学園に居た兵士や学園がある村の自警団や駐屯兵も戦っている。


 傀儡の身長は1m20cm程で、体は木製、装備は傀儡の身長に合わせてあるのか小さめの剣や盾を使用している。

 動きはそれほど早くはないため一体一体は簡単に倒せているが、数が多いため後ろから切りかかられ、兵士達が次々と倒れていく。


「くぅ…このぉ!」

 アルバート達は戦線に加わり、兵士達の援護をすることにした。


「僕も…!」

 カインは魔法を唱えると傀儡達に攻撃が次々と当たる。


「カイン!俺達も手伝うぜ!」


 声が聞こえた方向をカインが振り向くと、そこにはかつて共に勉学に励んだ級友達の姿があった。

「高等科の連中で戦える奴は全員連れてきたぜ!中等科でお前と同じ特進科(優秀な生徒が集まる学級)の奴も数人いるがな」


「そんな、危険だよ!」

 と、カインは校舎に返そうとするが、

「危険なのはわかってる。だが、ここに居る兵士達がやられて学校全体に火でもつけられればどっちにしろ終わりだ!だったら中等科の奴らだけでも守ってやるのさ」

 自分と同じ歳である友人達の意見に反対できず、(状況的にも反対できる余裕がない)仕方なく一緒に戦うことにした。


「へへっ。先輩に僕の魔法の成果を見せてあげます!」

 カインの後輩であるザイックはそう言うと、雷系の魔法である『サンダーピラー』を唱え、傀儡達の真上から雷を落とし豪快に傀儡達を燃やしていく。


「やるなぁ"特進"の奴、俺たちも!」

 そう言うとカインの友人達も傀儡たちに攻撃を始めた。

教師達からは、学生達は教師達の後ろに立ち、教師の援護をすることを条件とし、戦線に立つことを許された。


「カイン!広域大魔術の準備に入るから手伝って!」

 ミサネはカインを呼んだ。


「いったいなんの術を!?」

 カインがそう尋ねると、


「カインが得意な系統、広範囲雷撃の術、『ドゥナーヴァイド』よ。天候も操らなきゃいけないから集中しよう」

「あ、あれを!?わかりました…やりましょう!」

 カインは一時戦線を離れ、後方で校長をはじめとする教師達と大魔術の準備を始めた。



「これほどの人形…いったいどうやって」

 ファルゼンは聖術を放ちながら冷静に分析を始める。


「これも古代の人形なのか?」

「いえ、この程度の人形であれば現代の技術でも作成可能です。これは魔術で操る『傀儡』ですね。しかし、これほど大量の傀儡を作り操るのは難しいので、生産方法と操る方法はもしかしたら古代技術かも…」

 ルージュの問いにそう答えたファルゼンは再び傀儡が出てきた経路を探り、敵の本拠地がどこかを割り出そうとする。


「もう矢がねぇし!!こうなったら自分の聖術で矢を作るしかねぇ!」

 リリヤは持っていた矢を使い果たし、カンシャクをおこした。

 そして何気にとんでもない高等な術を使うと宣言している。


「おい!そこの弓使い。矢ならここに沢山あるから使え!」

 同じ弓使いの兵士が駆け寄り、軍の弓を大量に置く。


「おぉ、ありがと!」

「はぅ!?」

 リリヤの笑顔でまた一人若者が犠牲になった。


「これだけ大量にあれば、あの技が出来るな」

 そう言うとリリヤは矢を六本持ち、人形達に向け射った。すると、六本とも傀儡の頭に命中する。

 そして更に後ろにいた傀儡も巻き込み、計12体の傀儡を仕留めた。

「よっしゃ!どんどん射ってやるぜ」

 リリヤは戦場に矢の雨を降らせた。



「うりゃぁあああ!クローゼ流剣撃『ドラゴンクラフ』」

 アルバートは気を剣に込め、思い切り振る。すると、剣圧が傀儡達を横まっぷたつに切り裂いていく。


「はぁ、はぁ。これで一気に十体は倒しただろう…」

 アルバートが周りを見回すとまだまだ傀儡達が向かってくる。


「限がねぇ!」

 アルバートはそう言うと、異変に気付く。


「(あれ?もう夜になったのか?)」

 空をチラッと見ると暗雲が広がっていた。


「え?」


 一雨くるのか?そうなれば視界が悪くなりこちらに不利ではないか、と考えてると、




「「「「『ドゥナーヴァイド』」」」」




 大勢の声が響きわたる。すると爆音と強い光がアルバート達に襲いかかる。

「うわぁ!」

 アルバートは思わずよろけてしまった。いや、アルバートだけではなく周りで戦っている仲間達もだ。


 しかし、更に痛い目に遭ったのは傀儡達である。先ほどから一面に広がっていた暗雲から数え切れない程の落雷が発生し、傀儡達に襲いかかる。そして雷に撃ち抜かれた傀儡達は赤々とした炎を体中に纏わせ、カタカタと関節を鳴らしながら体を崩していった。




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