第16話 ルグニア王国立魔法学校
一行は無事エルフ国から出ることができ、魔界国へと向かっていた。
魔界国へ行く途中に、ルグニア王国を一度通り、魔界国へ向かう。
「そろそろルグニア王国から出て魔界国へ入りますね…一旦休憩をしましょうか」
ファルゼンがそう提案すると、
「ん?近くに町か村があるのか?」
と、アルバートが問いかける。
「この近くに魔法学校があるんだよ」
カインがそう答えた。カインの表情いつもより明るいようだった。
「あぁ。カインが通っていた学校か~」
アルバートが納得する。しかし、
「え?ちょっと待って。魔法学校に泊まるのか!?」
と、アルバートは疑問を感じカインに聞く。
「あぁ。いや、学校近くに村があって、そこにある宿に泊まるんだよ」
カインがそう答えると、
「へ~。魔法学校の近くってそんな感じなんだな」
と、アルバートは言った。
「ん?カインは魔法学校に通っていたのか?」
リリヤは興味が湧き聞いてみた。
「二年程通っていたんだよ」
と、カインが言うと、
「え?魔法学校って二年制なのか?」
リリヤの疑問に思う。
リース村にあるルグニア王国最大の聖術学校は中等科三年制で高等科三年の合計六年だ。
ルグニア王国では聖術よりも魔術の方が使用人口が多いため、聖術学校よりも少ない二年という期間で卒業という言葉に驚いたのだ。
「えっと、中等科と高等科は共に三年制で、僕は中等科に通っていたんだ!」
と、少し自慢気に言った。
「…あ、えっと。ゴメンな、変なこと聞いて…」
いきなりリリヤは謝る。
「え?いや、そんなことないよ…?」
カインも戸惑う。
「リリヤ何か勘違いしているんじゃないか?カインは通常六年の魔法科目を二年で終わらせただけだぞ」
と、ルージュが補足の説明を入れた。
「え?あぁ、何か暗い事情で二年しか居られなかったのかと思った…アハハハ」
そうか、それでさっきあんなに誇らしげに語っていたのかと納得するリリヤであった。
「ははは…」
カインはそれに対して苦笑いだった。
「そろそろ付きますね」
エルフ国のペガサス便は高度を下げ、着陸準備に入った。
ルグニア王国立魔法学校。
ルグニア王国の歴史上最も古く伝統がある魔法学校である。
ルグニア王国出身の魔法を扱う有名人は大体ここの卒業生である。
いくつかあるルグニア王国の魔法学校の中ではトップの実力を持つものしか入学できず、卒業した者は魔法を使う就職が有利になる。
更に、ルグニア王国では聖法よりも魔法が重視されている傾向が有るため入学希望の生徒は多く、魔法を目指す者にとっては最難関な場所でもある。
そんな入るのも厳しい学校でたった二年で卒業となったカインは相当な実力者と言える。
「うわぁ!懐かしいなぁ何も変わっていないし」
カインは卒業してまだ二年しか経っていないが、懐かしさを感じていた。
だが、カインがいた頃とは少し違い、ルグニア王国軍の姿がいたる所で見ることができる。
「やっぱり誘拐事件が多いせいか?」
アルバートが兵士達に気付きそう言ったが、
「今は春休みだから、学生はそれぞれの家に居ると思うんだけどなぁ…」
と、カインは言った。
「ん?カイン…?そこにいるのはカイン・アルゼリンか!?」
後ろで女性の声がし、その声に聞き覚えがあるカインは慌てて振り向き、
「ミサネ先生!お久しぶりです」
カインは笑顔になり、ミサネという人物に挨拶をした。
現れたミサネという教師は若く、20代後半の容姿の女性であった。
典型的な魔女の黒い服、トンガリ帽子であるが、黒い服は決してダボついた感じではなく、むしろドレスに近い。
「久しぶりだね、今日はどうしたの?もしかして遊びに来てくれたのかな?」
と、ミサネはニコリと笑顔を見せ言った。
「いえ、申し訳ありません…。今僕は魔界国へ行く途中にここへ休息をとりに寄ったんです。でも先生のお元気そうな顔を見れてよかった」
カインがそう言うと、
「あら、嬉しい。でもこんな時に旅行?カインは優秀な魔法使いだから狙われるかもしれないよ?」
と、ミサネが言った。
そういうミサネの言葉には少し注意するという感じがある。
「ははっ」
既に狙われた(父親が狙われ、そこに一緒に居合わせたからであるが)カインは乾いた笑いをする。
「もしよければ友達と会っていく?」
と、ミサネは校舎へと誘う。
現在中等部を卒業して二年経っているので、カインの同級生は高等部一年である。
しかし、カインはミサネの言葉に喜び懐かしむよりも驚いて、
「え?学生がここに居るのですか!?」
と、ミサネに聞いた。
「そうなの。特に地方で警備体制が甘い場所から来ている子は魔法学校に預けていた方が安心。という親御さんが多いからね…こうして王国軍にも警備を依頼しているの」
「そうだったんですか…」
事件の一部を見ていたカインは複雑な気持ちであった。あんなエルフ国で戦った人形やルグニア王国で戦った像がたくさん現れたら確かに地方の村々では守りきれないだろう。だからといって今この学校や学校がある村に居る兵士達だけで守りきれるのか…と不安であった。
校舎の中に入るとカインが通っていた当時のまま何も変わらない風景がそこにあった。
「へぇ~、このポスターまだあったんだぁ。うわぁ、あの人生徒会長になったんだぁ」
など、カインから当時を懐かしむ言葉が次々と出てくる。
「おや?君は…」
カインの目の前から一人の老人が歩いてくる。
「校長先生!」
カインは再び懐かしいという表情になる。
「おぉ!やはりカイン君かぁ。遊びに来たのかい?」
校長先生も嬉しそうだ。
「いえ、魔界国に行く途中で寄りました。ですので、休んだ後すぐに出てしまいます…。また今度、是非遊びに寄らせていただきます」
カインはミサネにしたのと同じ説明をする。
「そうかそうか。確かに今の時期遊びに来る訳はないだろう。例の誘拐事件が落ち着かん限りはなぁ…。ともかく、ゆっくりしていくといい」
校長先生のその言葉に、
「有難うございます。」
と、カインは礼を言った。




