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第14話 古代の人形達との戦闘


「おいおい。なにがあったんだ?」

 アルバートはキョロキョロと辺りを見回して現状を把握しようとするが、周りには慌ただしく動いている博物館の職員しかおらず、数人いた客達は既に避難を開始している。


「すみません。私は聖法省の人間ですが、何かあったのですか?」

 と、ファルゼンが係員の一人をつかまえ聞いてていた。


「あぁ、政府の方でしたか…。ちょっと問題がありまして、文部省の方から古代の人形が急に動き出したと連絡がありまして…、どうやらこっちに向かってきているそうなんですよ。申し訳ありませんがすぐに避難を…」


「人形がここへ向かうと言っていたのですか?」

「えぇ。信じられませんがそのようです…」

「わかりました…」

 ファルゼンはそう言うと、他のアルバート達や他の民間人と一緒に素早く館を出て、皆とは別の方向である文部省の方向へと向かう。


「おい、ファルゼン!何処へ行く!?そっちは危ないんじゃないのか?」


「私のことは大丈夫!リリヤ達は早く避難してください」

 リリヤの制止を振り切りファルゼンはおそらく人形が来るであろう方向へと走り出す。


「ちっ。あいつ…」

 リリヤもファルゼンの後を追う。


「おいおい!なんであの二人はあんな方へ行ったんだ!?」

 ルージュは驚いてそう言った。


「仕方ねぇなぁ~」

 とアルバートは言い、二人と同じく文部省の方向へ走る。


「……」

 ルージュも無言でアルバートの後を追ったため、残されたカインは、

「ちょっ。みんな待ってよ~」

 と、一番遅れて走っていった。





 ファルゼンは周りのエルフ達が逃げている中、一人道の中央に立っていた。


「来ましたね…」

 と、ファルゼンはニヤリと笑みを浮かべながら言った。

 ファルゼンの目の前50メートル程先に博物館で見た人形や5年前バラバラに分解した人形と同型の人形が3体こちらへ向かって来ていた。


「<!?>」


 人形達もファルゼンに気が付いたようだが速度を落とさずに近づいてくる。


「うわぁ…本当に浮いてやがる」

 後から到着したアルバートもその光景が信じられないようで、食い入るように人形達を見ている。


「シャインシャワー」

 いきなりアルバート達の横から攻撃用聖術を出すファルゼン。何本もの光りの線が人形達に向って行くが、全て避けられてしまった。


 そしてすぐ近くまで来た人形たちの中心に居た人形は、


「<今の聖術反応…。ハハハハハ、また会ったなクソガキ!随分と成長したようで…>」

 と言った。


「おや?もしかして5年前遺跡で私がバラバラにした人形ですか?ずいぶんと流暢に言葉を話せるようになりましたね…」

 と、余裕な表情で答えるファルゼン。


「三体も居る…」

 最後に到着したカインは唖然としていた。


「<ククッ…。"あっぷでーと"したのだよ!ここで合ったのは何かの縁だ。とりあえず死ね!ゴルァァアア!!>」


 いきなり流暢に会話をする人形の胸が開き中央から筒が少し出たと思った途端、筒の先端が光り出した。


キュイイイイイイイイイン!

 という音が人形から出た筒から聞こえる。


「あれは…?まずい、皆避けて!」

 ファルゼンの声により全員筒の先端が向く方向から離れる。


シュポーーーーン!!!


バリバリバリ!


 そしてその瞬間今まで居た場所へ人の顔ほどの球体が甲高い発射音の後にバリバリと音を立てながら飛んでいく。


 そのまま球体は近くにあった家に当たり、


ズーン!!!


 と音を立て家に大きな穴を開ける。


「おいおい、なんだあいつ!?あんなの俺達が昨日戦った奴とは全然違うぞ!」


 アルバートは両手で頭を抑えながら言った。


「兵士達が来るまでここで戦うしかありません」

 まだ逃げ切れていなかった周囲の人はパニック状態となり、悲鳴をいたるところで上げている。


「早く終わらせます。シャインシャワー!シャインシャワー!シャインシャワー!」

 連続で呪文を唱えるファルゼン。三体中、一体は攻撃が当たり爆散した。


「おいおい!そんな広範囲攻撃したら建物どころか人まで…」

 リリヤがそう言うと、


「射線上に人はいません!それに、建物に構っている余裕はありません!!」

 と、ファルゼンは言うと、再び広範囲攻撃を続けた。


「ちぃい…」

 今度はリリヤが折りたたみ式の弓を展開し、攻撃を受け動きが鈍っている人形に攻撃をした。今度は五年前と違い矢の先は尖っており殺傷能力も高い。更にリリヤの聖術による貫通力アップで攻撃力が増している。


「うりゃっ!!」


 リリヤが矢を放つと、シュピュッ!という音の後に、矢はカコン!と音を立てて人形に突き刺さる。


「ひぃぃ。サンダーピラー」

 カインは物陰に隠れながら矢が刺さった人形に雷魔法を浴びせた。上空から一筋の柱になった雷が人形に突き刺さる。


「<ピギャァァアア>」

 雷に撃たれた人形一体は崩れるように倒れる。


「<ほぉう。なかなかやるようだな…>」


 おそらくリーダー格である中央の人形。つまり五年前バラバラにされた人形は更に高く空中に浮かびファルゼンの攻撃を躱していく。


「飛んだだと?」

 ルージュが驚き少しの間固まってしまった隙に、ルージュの真上を通過しカインの所まで行ってしまった。


「うわ!?」

 逆さで目の前に現れた人形の顔に驚くカイン。


「ちっ!」

 舌打ちをしながら一番カインの近くに居たアルバートがリーダー各の人形に切りかかる。


「<ふん!>」

 人形は腕を硬化させアルバートの剣を受け止めるが、


「はぁあああ、"高震"!」

 と、アルバートが剣に気を込め高速の低振動を与える。


「<んお?>」

 スパンと綺麗に切れた人形の腕に人形自身は驚いている。

 その隙に、


「カイン!避けてろ!」

 ルージュの声で、アルバートはカインの襟首を掴み力を込めて引っ張る。

「ぐえ!」

 カインから奇妙な声が発しられたが気にしない。


「"気陸津波きりくつなみ"!」

 ルージュが剣を宙で切り上げると、自身の気によるエネルギーが地面を這い、人形に当たる。


「<おぉお!?>」

 人形はそのまま吹き飛ばされる。


 ファルゼンとリリヤは残りのもう一体を倒し、今度はリーダー格の人形を攻撃目標にした。


「どうやら強化されているのはあの一体だけですね…。どうしてでしょうか?」

 ファルゼンは構えながら不思議そうに呟く。


「おい、ファルゼン。あいつの中から変な気配がしないか?」

 リリヤがそう言うと、


「そうですね…。魔力…では無いようですが、邪悪な気配がしますね」

 ファルゼンも首をかしげていると、


「<よくも…よくもぉぉぉおお!一度ならず二度までも!私の邪魔をしようというのか!犯罪者どもぉおお!>」

 人形は狂ったように騒ぎまくる。まぁ、元から狂っているようであったが…。


「犯罪者はあなたでしょう。町を壊しておいて…。博物館にはなんの目的が?」

 ファルゼンがそう尋ねると、


「<グゥウ!私は同型の防衛ロボットの反応がある場所へ向かっていただけだ!>」

 と、人形は答えた。


「なるほど…。しかし、私は五年前同様、あなたに興味が出ました。あなたが博物館に行くことができるとしたら、再び私に分解された後になるでしょう…」

 そう言うと、ファルゼンはニヤリと恐ろしく冷酷な笑顔を見せる。

「うわぁ…」

 他のメンバーはその顔を見て引いていた。


「<くぬぬぬぬぅぅう~!やれるものならやってみろぉお!>」

 人形はそう言うと、片腕を飛ばしてくる。


「うわ、腕が来た!」

 カインは驚き、構えが少し崩れる。


「<おぉ?こんな事が出来るのか…。まぁいい、存分に使わせていただこう!名付て"ロケットパンチ"だ!>」

 どうやら人形本人もできるとは思ってはいなかたらしいが、器用にコントロールして五人の方へ腕を飛ばしてくる。


「このぉ!」

 アルバートが切りかかるとヒョイッと避ける腕。


「ちぃい、おらよぉ!」

 剣を切り返し腕の軌道方向へ持っていくと、急に人形の腕がビリビリと光り出す。


「あぁ?」

 アルバートはなんだかわからなかったが、そのまま剣を当てる。が、


「おりょりょりょりょりょ!?」


 急に体が痺れてしまった。


「電気系の術か!」

 ルージュがそう言うと、剣に風を纏わせアルバートの居る方向へ突きを行う。

 そのまま吹き飛ぶ腕とアルバート。

「うぅう…」


 と、ふらつきながら起き上がったアルバートは慌てて構える。


「<くひょひょ!ざまぁないなぁクソ餓鬼!>」

 人形は笑い声を上げ、再び胸の筒を光らせる。


キュイイイイイイイイイン!!


 という音が鳴り響く。


「リリヤ」

 ファルゼンはリリヤに指示を出すと、


「わーってるよ」

 と、リリヤは弓を構え人形の胸から出ている筒の穴に向け射った。矢には聖術を込め、通常の倍の速さで飛んでいった。


「<ん?>」


 自身の胸に違和感があった人形は、ゆっくりと覗き込む。強力なショックカノンを撃とうとしたため覗き込む事は危険な行為であったが、不思議なことにショックカノンを発射できる感覚がない。自分自身がバラバラになりかねない程のエネルギーを込めているので、不発だとエネルギーが逆流し、様々な箇所が壊れるかもしれない。

「<ひぃいいい!?>」

 人形は自身の体を見て悲鳴を上げた。

 ショックカノン砲の砲口には矢が突き刺さっていた。通常の矢ならばエネルギーで燃やしてしまうが、聖術でコーティングされているため矢は形を保ちつつ深々と突き刺さっていた。そのためその周りからエネルギーが漏れ胸全体に亀裂が走っている。


「<くそぉぅ!私は『連邦』の最新型で…ガガッ>」

 人形の声が割れ出した。


「<ガ…ギギ。まだ、まだばげだのが…(また負けたのか…)>」

 人形はそう言うと胸からボン!と破裂音を出し倒れた。


「「「「「………」」」」」

 アルバート、カイン、ルージュ、リリヤ、ファルゼンは静かに倒れた人形を見つめた。


「倒せたのか?」

 ルージュはジリジリと近付く。


 その横をスタスタと通り過ぎ、ファルゼンが人形を蹴飛ばす。

「あいつ、根性あるな。怖いもの知らずか?」

 と、アルバートが呟く。


「さて…」

 ファルゼンはしゃがみ込むと胸ポケットあら工具を取り出す。


「クククッ。中身を拝見させていただきますよ」

 そう言うとファルゼンはこの人形だけに感じた違和感を確かめるため、人形の胸を開き出した。


「おいおい!何もこんなところでやらなくてもいいだろう?」

 リリヤがそう言うと、


「何を言いますか!文部省の連中に奪われてからじゃ遅いんですよ!」

 と、ファルゼンは文句を言って再び解体作業に入る。



「さぁて、なぜあなたがこれほどまで力を得たのか…。現代の技術ではあなたを強化するのは無理ですからねぇ…」

 満面の笑であった…。


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