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第8話 調査を決意


「これが連続誘拐犯か?」

 魔法大臣の『フォルスト・サンロック』が縛られている像を見て言った。

 サンロックは信じられない。という表情で像を見つめる。


「誘拐犯というよりは誘拐犯に操られていた人形といったところでしょうか…」

 ザインがそう感想を言うと、


「詳しく調べる必要あるようですね」


 と、ザインの家の玄関から声がした。

 ザインとサンロックが声のした玄関を見ると、そこに居たのは文部省の副大臣『カム・ネ・リスアン』であった。

 切れ長の目をし、紺のジャケットを羽織ったリスアンは家の中に入ってくるやいなやジッと像を見つめた。

「ふむ。魔力や聖術などの類ではない力で動き、更に周辺の術を使えなくする妨害術を発生させる何かしらの力を出すことができる…。これは非常に興味深い」

 リスアンはそう言うと続けて、

「聖魔術以外の超能力、気ではないようですし…、科学かぁ」

 その発言にザインは、

「そんな馬鹿な。科学なんて魔法や聖法に比べると圧倒的に技術が遅れているではありませんか」

「それは現在の話。過去のこの世界は魔法や聖法よりも科学の方が発達していた事は噂であなたも知っているでしょう?」

 と、リスアンはニヤリと笑っていった。


「リスアン副大臣、それ以上は…」

 周りに居た他の兵し達の事を気にして、サンロック魔法大臣がリスアンの話を静止した。しかし、サンロック魔法大臣の言葉に不思議そうな顔をしたリスアンは、

「おや?確か副大臣クラスの人間はあのことは知っているはずでは…。そうですか、サンロック大臣は意図的にこのことを伏せているのですね?なるほど、その点については私も賛成です。不用意に知らせる話でもありませんしね…」

 と言い、何かに納得したようでうんうん、と頷く。


「リスアン、それを運び出して、我々の研究室へ…」


 再び玄関から声がし、見ると文部大臣の『アンドレイ・フューリー』がそこに居た。リリヤの父である。


「かしこまりました。ではすぐに…」

 リスアンはすぐに部下に命じ、像を運び出す準備をする。


「私たち魔法省の人間も研究室へ立ち会った方が良いでしょうか?なんでしたら私が…」

 サンロック大臣の提案にリスアンは、


「そうですね、この件は科学が関わっている可能性が高いと思います。魔法使い達が誘拐されている事について考えれば、魔法にも関わっているでしょう。ですから是非ご同行をお願い致したい」

 と、リスアンはサンロックを連れていった。そして去り際に、

「あぁ、そうそう。ザイン殿にはおやすみいただきましょう。無論護衛を付けます」

 そう言うと、リスアンは数名の部下たちと一緒に像を運び出ていってしまった。


「…いったいなんだったんだ…」

 突然来て嫌味な言い回しで散々不快にさせた後去っていったリスアンに対してザインはそう言葉を漏らした。






 場所は変わってザインの家の前。


「そんなことが起きていたのか…」

 騒ぎを駆けつけたルージュが表に出ていたアルバートとカインに話を聞いていた。勿論リリヤも一緒である。

 話を聞いていたルージュであったが、リリヤはそんなことよりも、


「なんで父ちゃんが入っていったんだ?父ちゃん文部省の人間なのに」

 と、リリヤはそう疑問を呟く。


「あ、出てきた」

 黒い布を巻かれた像を運び出す文部省の職員とともにアルゼリン邸を出てきた。


「あれが話にあった動く像か?」

 ルージュがアルバートに尋ねると、


「あぁ、布を巻かれているがあれに間違いだろうな」

 と、アルバートは運ばれている物体を見ながら言った。そして、

「ルージュ。俺、この事件を解決してみたい」


「え?」

 アルバートの発言に驚いたルージュ。だが、


「う~ん。そんな事を言い出すのではないかと思っていたが、いつものようにヘラヘラとし表情ではないな。本気でそう思っている目だ」

 そうルージュはアルバートの目を見ながら言った。


「当たり前だ!今回の件は自分でもかなり甘く見ていたと思う。だが、カインが襲われて、カインのお父さんが襲われて…。なにかありえない事が起きているのは俺でもわかる。俺は犯人を許せねぇ」

 アルバートの目には怒りの炎が灯っている。


「自分も僕を危険な目に合わせようとしたくせに…」

 カインはおとり作戦の事を根に持ちボソッと言っが、アルバートにその声は聞こえていなかった。


「確かに友人が襲われて頭に来る事には納得するが、あまり賛成できんな…」

 ルージュはそう言った後「う~ん」と唸り、難しい顔をして首を傾げながら、


「事件に首を突っ込むということは、この国の軍の行動を阻害する可能性がある…。しかし、私も調べてみたい気がしてきた…悪いことだと思うけどな」

 ルージュはそう言い終わると腰に下げていた剣を握りしめる。


「まぁ、とりあえず私はペガサスを返してもらう事にするよ…」

 と、リリヤは言った。その言葉にアルバートが、


「そうだ!エルフ国へ行ってみよう!」

 と、言い出した。


「おいおい、なぜエルフ国なんだ?魔法使いは多くないだろう」

 ルージュがそう言うと、


「あの像は魔法が効かなかった。なら聖法はどうだ?もしかしたら効くかもしれない。もちろん俺は聖法を使えないから例えば一流の結界を壊すアイテムとか攻撃アイテムが手に入るかもしれない!」

 と、アルバートは説明した。


「そんなに簡単に手に入るとは思えんがなぁ…。対攻撃聖魔術の札並みの物ならリース村にも売っているが…」

 リリヤはそう言ったが、


「俺は行くぜ!魔法関連の事件なら対なる存在の聖法だ!」

 と、アルバートは宣言した。


「仕方がない。アルバートを一人にしておくと危なくてしょうがない…。私も一緒に行こう」

「え?」

 ルージュの言葉に一瞬アルバートは嫌そうな顔をするが、ルージュに睨まれてしまう。


「魔法関係なら僕も何かの役に立つかもしれない。一緒に行くよ」

 今度はそうカインが言ったため、


「マジか!やったぜ☆」

 と、アルバートは喜んだ。


「そんなに上手くいくかなぁ…」

 リリヤは不安気にそう呟いた。




 一行はとりあえず父親達にエルフ国行きの事を話した。カインは反対されたが、ルグニア王国軍の起した失態を拭うためリリヤを護衛すると言ったため、ザインは渋々了承した。

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