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④
変質者の彼は餌に群がる虫のようにカバンを拾いにゆく。
それを見下ろす私はまるでどこかの国の王様になったようだ。
気分が最高潮になり、世界のすべてが幸せだ、と思い
突然自分の下着を脱ぎ始めた。
するりと細い足から肩から、薄く透けたレースが落ちる。
「お前よぉおおおおお、困ってんだるぉおお!土産だ!!!!」
彼女は腕を振りかぶった。
淡い水色と黒のストライプが、ひらひらと彼の方へと舞い落ちる。
変質者は驚きおののきながら、しかしそれをしっかり手に握る。
彼女はいいことをしてやった、と満足げにベランダからの風景を楽しみながらまた缶を傾けた。
遠くでパトカーのサイレンが聞こえる。
あれ、あいつヤバいんじゃない?
まぁいいや。今夜は涼しいな。