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③
バタバタと街灯に仄青く照らされた階段を駆け上がり、扉を開く。
変質者は私のマンション裏庭に待たせてあるし、あとはこの安物のカバンをベランダから放り投げるだけ。
好きなだけマスこきやがれ。
アルコールの力で高揚した気分でカバンの中身をざらざらと出す。
彼女はなんだか冒険をしているような気分だった。
楽しくなった彼女は、冷蔵庫から発泡酒の缶を取りだし、プシュッと小気味良い音を響かせた。
カバンを振り回し、大股でベランダのガラス戸を開ける。
「おぉおおおおおい、いっるぅうううううう????」
叫びながら下を見下ろすと、やはり小動物のようにびくびくした彼が庭の端にいた。
缶をあおり喉を鳴らす。秋に入って風が冷たく心地よい。
「っはぁ~~~~っ!!おら!!!受け取れぇええ!!」
全力でカバンを放り投げ、それは綺麗な弧を描いて芝の上に落ちた。