ラーメンの麺で結ばれた
<プロフィール>
商業では粟生慧で執筆しています。
おもに電子書籍ではBL中心です。
商業の内容はほぼエロです。
「で、なにゆえに俺を誘うんだ」
俺は目の前の席に座り、ラーメンを頼む駿河に真剣な面持ちで訊ねた。
「ラーメン好きだろ、おまえ」
確かに好きだが、この前学食でキスしてきた駿河と、差し向かいあってラーメンをすする気持ちは何とも形容しがたいものがある。
「それとも、この間のことが気になってるのか」
へい、お待ちとチャーシュー麺が二つ、俺と駿河の前にどんと置かれる。
「食えよ」
促されるままに割り箸を割ってラーメンをすすった。駿河は俺の様子など気にもとめずにチャーシューを食っている。
「まぁ、アレだ。おまえの顔が見たかったから」
俺は訝しげに駿河を見やった。
「あそこで面を食わずにおまえを食ったら、どんな顔するか、見たかったから」
呆然とする俺にちらりと視線を向け、駿河はまたラーメンを食いだした。
その頬がラーメンの熱さとは別に真っ赤になっているのがわかる。
「そうなんだ……」
友人の好意に対して、俺はこれからどんな態度をとればいいんだろう……。
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なお商業収録作品は除外しております。
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