対価は寿命1年分です
街の路地裏、少し埃が目立つ古着屋、その奥の普段は誰も入らない部屋で買えるものがあると聞いた。
「お、、邪魔します」
「おー、入り入りぃ。あっ!、お茶とかいりますぅ?」
「い、いえ、、、お気遣いなく、、、」
第一印象はチャラいお兄さんだった。髪は茶髪で、付けていたピアスが紫色に鈍く光っていた。すらっとした体形で、目は細いのにも関わらず、瞳孔は僕をはっきりと見つめていると悟った。時間が経てば経つほど、つかみどころのない人物のように思えた。
「でぇ、、何をお探しで?」
「いえ、、探してるものはなくて、、その、、、」
「えぇ~!!、、探しているものが無いんでしたら私共には何も————」
「僕を受験に合格させて下さい!!!」
「————へい」
さっきまでと変わらぬようなチャラい言葉使いだったものの、その”へい”という言葉にはどこか重みがあるような風に感じられた。
”じゃあここ座ってくだせぇ”といってこの店員さんは木製のアンティークチェアに僕を座らせて、胸ポケットからクシャクシャのメモ用紙とペンを取り出した。
「っっっとじゃあ君、名前は?」
「あっ、はい、、ええと、、、鷺 優斗と言います」
「はいはいはい、、なるほどなるほどなるほどぉ、、、じゃあ行きたい大学は?」
「東京大学です」
「うんうんうん、、、じゃあ対価は寿命1年分ですねぇ」
「は、、、はい」
僕は突如として強烈な眠気に襲われた。
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「いいんですか?、、、寿命1年なんて。あれじゃ格安もいいところですよぉ」
「良いんすよ、、ああいう輩はまたここに来ますしね。まったく、、、楽な商売ですよ」




