<待ち伏せ>
「う、ううん、あ、おはよう、すっちゃん…」
「きゅううぅ…」
朝、眠たい…。すっちゃんも眠たそう…。
そういえばマナちゃんはちゃんと寝てるかな? 寝れてるといいんだけど、まだ寝ていたら起こそう…。
そうしてベッドから起き上がる。すっちゃんはまだ動かないみたい。
「ガチャ」マナちゃんの部屋の扉を開けた。ちゃんとベッドの上で寝てるみたい、よかった~。
すると、マナちゃん、急に起き上がるっ。
「おはよう、、、」
「わっ、びっくりした~‼」
「そう…? むにゃむにゃ…」
そういいながら立ち上がるマナちゃんまだまだ眠たそう…。そういえば、急に起きたけど、そんなすぐに起き上がれるのすごいよね~。普通の学生やサラリーマンは日々の疲れがたまっていくにつれて、朝起きるのがどんどんつらくなっていく…。「蓄積ストレス」がものすごい…。マナちゃんもちょっと前まで「トラップ」の配置や常に人間が来ないか警戒していて疲れているはずなのに、こんなにすぐに起き上がれてる。さすが魔法使い‼ あ、でも全然朝に起きられない魔法使いが主要人物の漫画・アニメを見たことあるような…。まあそれは置いておいて-------- 今日は村へ出発するんだったね。
「マナちゃん、村、行こっか」
「行こ、私は準備できたよ」
後はまだ寝ているすっちゃんは…。あれ、いない。
どこに行っちゃった? え、近くで「ぽよっ、ぷよっ」と音が聞こえるような--------。
「きゅいいっ」
「わっ、びっくりした~、もう起きてたんだね」
「きゅう」
すっちゃんは物陰から急に飛び出した!
--------------びっくり! 心臓止まるかと思った…
「よしじゃあ しゅっぱ~つ」
「ガチャ」そうしてまたまた始まった冒険…。
グリーンパンサーも私とマナちゃんで倒しながら先に進んでいった。マナちゃんはやっぱりすごい。補助もできるし攻撃魔法も使えて、回復魔法も使えちゃう。回復魔法は自分では「あまりいい回復魔法ではないんだけど…」というけど十分すごい…。そうしている間に村が見えてきた。
するとマナちゃんが、何かを教えてくれるという。
何を教えてくれるんだろう、村が少し見えたら急にそう言いだした。村を警戒しているみたい。
「マナちゃん、何を教えてくれるの?」
「ちょっと逃げるための魔法を教えておこうかな、と思ってね。一つはスピードステップ、もう一つはワープ」
そういうことで、逃げるための二つの魔法をいろいろ教えてもらい、会得することができた。
「強化魔法」は自分や仲間を強化することができて、スピードステップはその強化魔法の一つ。自分のスピードを速くできるという。
もう一つは「移動魔法」遠くの場所に一瞬で移動できるワープだ。ただ一度に移動できる距離は村と家の半分くらい。
移動して5分程度は足が動かなくなるそう。あと、村からかなり離れないと、「移動魔法」は使えないらしい…。
あとあと、「移動魔法」はMPをごっそり使うそう。それ効果を一緒に受けた生物も一緒にMPがなくなってしまうんだとか。
まあ、そういうことでいろいろ教えてもらった。村で何かあったときはこの魔法で逃げよう。
私たちはまた村へ向かって歩き出した。
村の周りはスライム一匹もいなく、しーんとしていた。村はなんと城壁で囲まれており、入るには門を通らないといけなそう…。
そういえば、ここに来る途中商人を数人見かけたがみんな私たちから離れていってしまった。そのことを考えるとちょっと嫌な予感がする。
けどまあ、大丈夫なはず。私は人間だし、マナちゃんとすっちゃんのことも敵意がないことを伝えればわかってくれるはず。
そうして村に近づくと、やっぱり大きい城壁。50mはありそうだ…。
そう考えながら、ふらふらと門のほうまで行くと…。
「とまれ‼」と声がして、全身鉄の防具を着た騎士に囲まれた。
多分、これは待ち伏せにあってしまったようだ。商人が「魔物が来る」と村に伝えてしまったのかな…?警戒されていたようだ。
「…………」
マナちゃんは何かを考えているような顔をしながら黙っている。
ここは私が何とかしないと。すっちゃんはぷるぷるしながら、目が点になってる、きっと怖がってるに違いない。
「私たちは通行できないですか…?」
「無理だ、魔物を連れたよくわからん奴にここを通すわけにはいかない。何なら討伐命令すら出ている。もういいか?」
討伐命令だなんて、私たちは何もしてないのに…。
そういいながら、一斉に切りかかってきた。
「うっ」
私、マナちゃん、すっちゃん全員、急いで転がり避ける。
「マナちゃん、すっちゃん、攻撃はしないで」
「わかった、交渉で村に入れてもらうんだね、でももう結構きつそう…」
「きゅういー‼」
相手は人間、マナちゃんは人間を傷つけることは多分しないはず。
すっちゃんも優しいスライムだから、私の言うことを多分聞いてくれる。いさとなったら逃げればいい。
そう思っていた、けど…。