ぷよっとお話‼
「それで、この世界に来ちゃってね~」
「ええ⁉ そんなことがあるんだ…」
「まだ来たところだからよく知らないんだぁ、ちょっと教えてもらえないかな?」
「全然いいよ! この世界は魔物と人間が暮らしているんだよ、私は人間みたいな姿をしてるけど魔物っていうのは知ってるよね? 今は魔物と人間が戦争中、というか人間側から一方的な攻撃を受けてしまってる。私は戦場から逃げてきたんだけど今も最前線は魔物がたくさん住んでいる、人間が言う「国」の中で起こってる。私が住んでたところはもう、人間に侵略されちゃった…。レナちゃんのお家があるここは魔物でも人間の領土でもないところになるよ」
マナちゃんがもともと住んでいたところは侵略されちゃったんだ…。
でもそれならなんで私と友達になってくれたんだろ……。マナちゃんは人間を恨んでいてもおかしくないはず。
いや、そんなことは考えるより聞いたほうが早い。返答しづらそうだったら、すぐ話を切り替えよう。
「あの、マナちゃんの故郷は{人間}に侵略されちゃったのになんでわたしと友達になってくれたの?」
「うーん…」
「あ、いやいや、答えずらかったら別にいいんだよ、ちょっと気になっただけで…」
「ううん、大丈夫だよ。私は人間にも悪い人間と優しい何も悪くない人間がいると思うんだ。別に全員が全員、私たち魔物に戦争を起こそうだなんて思っていたわけではないと思う、特にレナちゃんは最近この世界に来ただけだから、戦争に乗り気ではないはず、しかもレナちゃんは優しい」
「え、私が言うのも違うけど出会ったばかりなのにそんな優しいなんて言いきれるの?」
まだ出会ったばかりだ。「私がいい人間でやさしいか」
なんてそんなすぐにわかるだろうか? もしかしたら優しそうなだけでだましているのかもしれない、そうマナちゃんは考えなかったのかな?
マナちゃんはどう私を見ているのかな?
「直感っ、レナちゃんは多分いい人っ!」
「え‼ まあでもそう言ってくれてありがとねぇ」
マナちゃんはやっぱり優しい。ダンジョンで住んでいたけど、別に人を苦しめたくてダンジョンに住んでいたわけじゃない。
あくまで襲ってくる人からの自己防衛のため。
そういえばダンジョンってことは何人かの人を殺してしまったのだろうか…。いくらマナちゃんでも襲ってくる人にまで優しくするのは無理だよね?
一応聞いてみよう。
「そういえば、ダンジョンってどんな感じに作ってたの?」
「ダンジョンは侵入を防ぐ作りにしてたよ、侵入してもトラップに引っかかると入口まで戻される仕組み。だから多分私のトラップでは誰も傷つけていないはず。外壁も魔法で絶対に壊れない壁にしてたから、破壊されることもなかったよ」
「すごいっ、襲ってくる人も傷つけないようにしてたんだね‼」
「えへへ、ありがとね~」
マナちゃん、すごすぎる‼ 自分を傷つけに来るような人にも優しくしていたなんて。私より全然優しいよお。
あとマナちゃん、ちょっと照れてる…。こんなすごい構造なのに誰にも褒められなかったのかな..。
本当に友達も作れず仲間もいない、一人で寂しかったよね…。よし、これからは私がいい友達にならないとねっ。
そういえば、明日は村に行く予定。マナちゃんについてくるか聞いてみよう。
「マナちゃん、明日村に行こうと思うんだけど一緒に来ない?」
「………、村に魔物が行って大丈夫かな?」
「あ、そういえば…」
「うーん、じゃあついていこっかな? ダメだったらここに帰ってきてお留守番しておくよ!」
「え、良いの? じゃあ明日はすっちゃん含め3人で村へ行こう‼ ダメだったらすっちゃんもマナちゃんといてね」
「きゅうい‼」
そうして、新たな旅の方針も決まり、眠りについた。
まさか明日、大ピンチが待ち受けていることをまだ誰も知らない…。