村長
しばらく待っていたら村長らしき人物が兵とともに村から出てきた。
前にも思ったがこの村は村というよりは前哨基地、要塞のような村だ。村をぐるっと一周、砦が囲んでいて、上からも攻撃できるようになっている。
魔物が攻めてきた時の対策だろう。前回私たちが来たときは上から撃たれ、逃げることになってしまった。
さっきから上を警戒しているが今回は上に兵は誰一人としていないようだ。
村長の登場に合わせて奇襲を受ける、なんてことはないようだ。私たちを信頼してもらえたのだろうか?
でもまだ油断はいけない。十分に気を付けておこう。
「あなたがこの村の村長さんですか?」
「ああ、そうだ。君たちは村に何をしに来たんだい?」
年は地球の年齢でいう50代前半といった感じだ。毛は灰色でひげが生えている。
「買い物だったりがしたいのと私たちの一番大きい目標が魔物と人間の戦争を止めることなのでちょっとだけ村の方に魔物・魔族のことを理解してもらうため村長さんと話をしたいと思っていました」
「ほお。まあ、買い物くらいなら…、いや、うむ…。村の兵士を数十人くらいあなた方の見張りとして一緒に行動するということでどうかの…?」
「いいんですか? では、それで入らせてもらってよろしいですか?」
「分かった。まだここにおれ。兵を呼んでくる」
どうやら村に入ることを認められたようだ。兵士がいても、全然いい。ただ、一つ心配なのは…。
こういう場面では魔物などに不信感を抱いている人が射殺や暗殺を試みたりするケースを漫画や小説などで見たことある。私たちは現在、その標的とされかねないだろう。十分注意して動く必要があるだろう。
「入れてもらえるみたいだけど、魔物に不信感を抱いている村の住民などからの攻撃があるかもしれないから注意してね」
「分かった」
皆一同、頷いた。どうにか警戒して、無事に帰還できるといいんだけど…。
すると12人の兵士を連れ、村長が村から出てきた。
私たちを村の中に入れてもらえるようだ。念願の村、と言ってもスタート地点だ。まだまだ、立ち止まってはいられない。