<シェイプシフター>
「私、そんなに…」
「うん、でも大丈夫だと思うよ! リョウくんももうじき目を覚ますと思う‼」
「よかった~…」
それにしてもどうやって竜の力を制御できるようになったのだろうか…。
すごく気になる…。聞いてみよう!
「そういえば、その竜の力ってどうやって制御できるようにしたの?」
そう聞いた途端、目の光が消えた。
「竜の力はいろいろ試行錯誤して制御できるようになったの。でもまだ完全には制御できてなくて長い間ずっと使っているとまた暴走してしまう…。だから、まだあまり使えないんだよね…」
「そうなんだ…」
「試行錯誤」と言っても何をしたのかはわからない。あまり言いたくないのだろうか、それとも自分でもあまりわからない?
でも何がともあれ、みんな無事でよかった…。本当に大ピンチだった。アンデットウルフの群れに囲まれただけでも今の私たちでは大変な試練だ。
なのにまさかマナちゃんが暴走をしてしまうなんて。今考えなおすと悪夢だ。とても思い出したくはない。
すると、リョウくんが動き出した。目を覚ましたようだ。
「う、ううん…? ここ、は…? 家、なのか?」
「うん、目が覚めたみたいだね! あ、まだ動かないでね」
「ああ、マナ…」
微妙な反応のリョウくん。まだマナちゃんを少し心配しているようだ。
「マナちゃんはもう大丈夫だよ。それよりリョウくんは大丈夫?」
「ああ、俺は大丈夫だ。レナは?」
「よかった… 私も大丈夫‼」
いつの間にかすっちゃんも起きている。ただまだ眠たそうにゴロゴロと転がっている。
そうして仲間全員が起きた。ほっとする、もうだめかとまで思った。でも、今回もお互い助け合い、生還することができた。
そういえば私たちが森に戻った理由は食糧確保だ。
結局食料は…。
「結局食料は確保できなかったね…」
そうボソッとつぶやいた私。しかしその声に反応するようにマナちゃんが声を上げた。
「私が取ってきたよ‼ 迷惑をかけてしまったお詫びがしたくて…」
マナちゃんは「魔族」。「魔物」は食べ物が必要だけど、その中の区分の「魔族」は食べ物が必要ない。
なのに私たちのために取ってきてくれたようだ。お詫びなんていいのに…。
え…、そういえばすっちゃんはスライム。「魔物」だ。何かしら食べていないといけないはず、だよね?
「マナちゃん、すっちゃんって何も食べなくていいの…?」
「それは…」
そう言い、すっちゃんを見た。すっちゃんは首を縦に振った。
………? すっちゃんの首ってどこだ? それはさておき、何かの合図を送ったようだ。
「あ、もういいんだね。すっちゃんはスライムじゃない、「シェイプシフター」という種族の魔物だよ。「魔族」に分類される。レナちゃんの様子をうかがっていたみたい。もう言い出そうと思っていたけど恥ずかしくて話せなかったみたい…」
すっちゃんがシェイプシフター⁉ シェイプシフターはどんな生物にも化けられる怪物としてゲームだったり、漫画などで見たことがある。
スライムだと思っていた正体がシェイプシフターだったんだ! まさかそうだと疑うはずもない…。まったくわからなかった…。
すると辺りが光りだした。
その瞬間、目の前にマナちゃんと同年代くらいの女の子が現れた。